藤井六段vs杉本七段師弟対決実現も一局目は千日手。千日手はどんなふうになったのか。また、どんな対局内容だったのか。後編



師弟対決の実現。一局目が千日手。千日手に込める藤井六段の気迫。

2018年3月8日に、大阪市福島区の関西将棋会館で行われた第68期王将戦の一次予選2回戦で、藤井聡太六段(15歳)が、師匠である杉本昌隆七段(49歳)と公式戦初の師弟対決となる対局が実現しました。

この対局は、一局目が千日手で、指しなおした対局で藤井聡太六段が111手で勝ちました。本来、勝った将棋に目がいくところですが、あえて千日手の将棋を記事にしてみました。

そうした理由は、やはり後手の有力な戦術として現代では千日手を狙うことも珍しくなくなりました。後手が千日手にするメリットは、指しなおし局で先手番を手にすることができる点です。そうまでしても勝ちたかった、と藤井六段は思ったのかなって思ったら俄然興味が湧いてきました。

前記事よりの続きです。

前回までの局面を再掲載します。


 

後手の攻めの銀が64に来たところで、そのままにしておくと、75歩から銀交換を狙われて飛車先の突破をされてしまいますので、▲88飛車とまわり、攻められる一手前に受けた局面です。
Sponsored Links

木村美濃vs銀冠。持久戦に移行。

△7三桂 ▲6六銀 △2四歩 ▲4六歩 △2三銀


△73桂と跳ねて、攻め味を後手が見せた手に対し、先手は、▲66銀と対抗します。その後、玉の守りに双方手をかけます。後手は△24歩から銀冠を目指します。銀冠が構想としてあったので、△22銀がとても理解できました。確かに、銀冠は組めれば堅いですよね。

▲4七銀 △5四歩 ▲3六歩 △2二玉 ▲3七桂 △3二金


先手は、見慣れない形ですが、囲いに名前がついています。”木村美濃”です。木村美濃は、かつて木村義雄14世名人が多用したことからその名がついたと言われます。囲いとしての堅さは、余り堅くないと言われる見方もありますが、よくツノ銀中飛車を指した時に出現しやすいです。

きっと、下段飛車と相性のいい囲い何だろうなって私は個人的に思っています。一番の弱点は57の地点ですね。ここにと金とか作られたり、桂馬が跳ねてきて57桂成とかされると、結構もろいです。47の地点が金でなく銀なので仕方ないですが。これも中飛車と相性のいい理由かもしれません。

後手は銀冠に組むことができました。形がとてもきれいで、桂馬が使いやすい点で矢倉との違いがあります。局面はなんとなく持久戦模様です。

 

先後同型?手詰まり模様?

▲2六歩 △4四歩 ▲7七桂 △3三桂 ▲8九飛 △8一飛


双方ともに、玉の囲いに手をかけます。双方とも桂馬を跳ねて、飛車を下段に引きました。この局面を見ると、居飛車と振り飛車の違いはありますが、木村美濃の▲47銀を▲27銀に入れ替えれば鏡のように全く同じです。

▲6八金 △6二金 ▲5七銀 △9四歩 ▲9六歩

Sponsored Links

まとめ

双方飛車側の金をバランスよく配置して、端歩を付き合いました。以下千日手の手順を記します。

△5三銀▲6六銀 △6四銀 ▲5七銀△5三銀▲6六銀△6四銀▲5七銀△5三銀▲6六銀△6四銀▲5七銀

以上千日手指しなおしとなりました。

この一局をとおして見ていた感想です。双方慎重に駒組みを進めて、先手は鉄壁の守りの陣形を敷き、後手は最初急戦で攻めを敢行しようとしました。しかし、先手の守りを切り崩す成算がいまいちだったので、銀冠の堅陣をしき、守りに切り替えて、持久戦となりました。しかし戦期がつかめず双方同じような陣形になって手詰まりになった、とそんな印象を持ちました。

藤井六段の将棋をこれまでも注目してきました。藤井六段の攻めは、まったく糸口がないようなところからでも、まるで予想もしないような小さな隙を見つけて攻めつぶします。そんな藤井六段が、攻めに慎重になった理由は、きっとどうしても負けたくない勝負だからではないか。そんなふうに感じました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。(^◇^)

前の記事:藤井六段vs杉本七段師弟対決実現も一局目は千日手。千日手はどんなふうになったのか。また、どんな対局内容だったのか。前編

次の記事:藤井聡太六段 対 杉本昌隆七段。なるか師匠への恩返し。迎え撃つは伝家の宝刀四間飛車。小林九段の思いも重なる戦法。

棋譜一覧表を表示する

天才藤井聡太の居飛車穴熊!振り飛車破りの棋譜を並べてみた!』に戻る

Sponsored Links