藤井聡太六段 対 杉本昌隆七段。なるか師匠への恩返し。迎え撃つは伝家の宝刀四間飛車。小林九段の思いも重なる戦法。



師匠に対する恩返しとなった一局。

千日手の一局目だけを記事にするつもりでしたが、やはり指しなおし局も記事にしたい欲求にかられました。繰り返しになりますが、その対局というのは、2018年3月8日に、大阪市福島区の関西将棋会館で行われた第68期王将戦の一次予選2回戦で、藤井聡太六段(15歳)が、師匠である杉本昌隆七段(49歳)と公式戦初の師弟対決となる対局です。

この対局は、一局目が千日手で、前記事でもご紹介しました。本当は、その対局に感じたことを記事にして終わりにするつもりだったのですが、こんなに勝負にこだわった師匠と弟子がいったいどんな将棋で決着をつけたのか?そんな思いから記事にしようと思いました。

では早速ですが、先手番を握った藤井聡太六段の戦略と、後手の杉本七段の戦型はどうなるのか?私は、杉本七段が四間飛車の名手であることを知っています。以前、杉本七段の兄弟子にあたる小林健二九段が話していたのを覚えています。

それは、小林九段は、かつては居飛車の将棋をよく指していたそうです。しかし、心機一転四間飛車を得意戦法にしてさらに活躍します。その四間飛車を教えてくれたのが杉本七段であった、という話です。

小林九段と杉本七段はともに板谷進九段の弟子でした。しかし、板谷九段が急死したことで、当時まだプロになっていなかった杉本七段の師匠となったのが、小林九段であったとのこと。この小林九段と杉本七段の中には、とても強い絆を感じます。また、そういう意味では孫弟子となった藤井六段にも、やはり強い絆を感じざるをえません。

このような人と人のつながりの中で、今回指しなおし局で見せる、杉本七段の戦法は、ほぼ100パーセント四間飛車でしょう、そう私は思っていました。そしたら、当たりました。
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いざ!

では、棋譜に参ります。いざ!

▲2六歩 △3四歩 ▲7六歩 △4四歩 ▲4八銀 △3二銀▲2五歩 △3三角 ▲6八玉

△9四歩 ▲5八金右 △4二飛▲5六歩 △7二銀 ▲7八玉 △5二金左 ▲5七銀

△6二玉▲7七角 △6四歩 ▲8八玉 △7四歩 ▲9八香


先手藤井六段の戦法は居飛車穴熊。藤井六段が最も自信を持った振飛車対策だと思います。対する後手杉本七段は、四間飛車。やはりこの戦法か、と感じました。四間飛車は振り飛車の中の王さま、王道中の王道です。最強の弟子に対して、最も自信を持って受け止めることができる戦法はやはりこれしかないと思いました。

風雲急を告げる局面へ・・・

△7三桂▲6六歩 △9五歩 ▲9九玉 △7一玉 ▲8八銀 △6三金▲3六歩 △8二玉

▲6七金 △4三銀 ▲7八金 △8四歩▲6八銀 △8五桂 ▲8六角 △4五歩 ▲5七銀


△73桂で角桂両取りを狙ってきました。当然それを防いで先手は▲66歩です。後手は、穴熊の弱点である玉頭を攻めるべく端歩を突き越してきます。これに対し、先手は粛々と穴熊を目指していきます。後手も高美濃囲いに組んで、玉を固めます。

先手は松尾流とよばれる穴熊囲いを目指します。▲68銀の瞬間、角の逃げ道が限定されているのを見て△85桂と跳ねます。これにより先手は▲86角と逃げざるを得ません。角筋が逸れたこともあり、後手は45歩と角道を開け、先手玉を遠くその睨みの中に入れます。

この△45歩は、角道を開けたにとどまらず、飛車のさばきも狙っています。四間飛車の△45歩は、”伝家の宝刀”、”切り札”と言われるほどの一手である所以は、この角と飛車が両方ともに働いてくるところです。

さて、風雲急を告げる局面になって参りました。このあといったいどうなるの?

続きは次回。 チャオ

前の記事:藤井六段vs杉本七段師弟対決実現も一局目は千日手。千日手はどんなふうになったのか。また、どんな対局内容だったのか。後編

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