藤井聡太六段 対 杉本昌隆七段。なるか師匠への恩返し。迎え撃つは伝家の宝刀四間飛車。小林九段の思いも重なる戦法。其の弐



風雲急を告げる局面へ・・・

師弟対決の千日手指しなおし局の続きです。先手は松尾流とよばれる穴熊囲いを目指します。▲68銀は松尾流穴熊に組むのに必要な手順です。この後▲79銀とできれば完成しますが、この瞬間、先手は角を引く動きができません。この一瞬を突いて、後手は△85桂馬と跳ねます。

この桂馬を先手で跳ねることが出来たのが大きいと思います。まず、角道を逸らしたこと、先手玉の急所である玉頭である端に狙いをつけたこと。しかし、デメリットもあります。後手玉の守りが薄くなったこと。具体的には玉のこびんが開いたことです。

後手は45歩と角道を開けます。この手は、先手玉を遠くその睨みの中に入れています。角のすごさは、このレーザー照射のように、じーっと睨んでいるだけで凄みのあるところだと思います。睨んでいるところに小駒が殺到していく感じです。これこそが角の目に見えない援護射撃と言えます。

また、前記事では触れませんでしたが、最初松尾流穴熊を目指して引いた▲68銀を△57銀と戻したました。手損ですが、ここまでの手順を誘ったとも言えるかも知れません。後手の△45歩は角だけでなく飛車のさばきも狙っています。この狙いを事前に受けた手だと思います。
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後手、理想的な攻撃の布陣。攻めの主役は角。

さて、この後どうなる?

△5四銀▲5九角 △6五歩 ▲3五歩 △同 歩 ▲2四歩 △同 歩▲6五歩


後手は△54銀と出て、攻めの銀をくりだし、圧力を加えてきます。まさに△33角の睨みを活かしながら、△85桂馬の端を絡めて、玉を直接攻めてくる感じで、腰の入った攻めと思います。

先手は、今のままでは角の働きに差がありすぎるので、▲59角と引いて活用をはかります。後手はいよいよ△65歩と角の睨みに沿った攻撃を敢行してきます。

これに対して、やはり後手の攻めの主力は角です。これを狙って▲35歩~▲24歩と突き捨て、そのあとに▲65歩と手を戻しました。この突き捨てを入れなくて、単に▲65同歩とすると、もう永久に入らない突き捨てだと思われます。

先手、攻めの主力の後手角にプレッシャーを。

私は、この手順を見て、私の力では読み切れないなって思うのですが、先手が▲35歩と突いた瞬間、手抜いて△66歩と踏み込まれた変化を読み切っていないといけないのかなって思います。私のつたない読みですが、

△66歩▲34歩△67歩成▲33歩成△78と▲42と△88と▲同玉

こういう一直線の変化にすると、守り駒をすべてはがされた状態では先手が不利だと思います。

なので、

△66歩▲同金△46歩▲同歩△35歩という変化になるんだと思います。

次に先手から▲34歩と打つと、

△66角▲同銀△46飛車とさばかれると思います。後手がうまくやったのではって思ったら・・・。

一応参考図を載せます。

【参考図】


ここまで見ると、▲37角の王手飛車に気付きます。う~~~ん。

たぶんこういうことで、▲35歩の瞬間△66歩と行くのは、あんまり後手としてはやりたくなかったのかなって思いました。

幹(本線)から切り捨てた枝(変化)の中に、いったいどれだけのきわどい変化があるのか、そう考えると、棋譜に残る手というのは、無数の余計なものをそぎ落としたとても純粋なもの、という気がしてなりません。

続きは次回に。チャオ

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