藤井聡太六段 対 杉本昌隆七段。なるか師匠への恩返し。迎え撃つは伝家の宝刀四間飛車。小林九段の思いも重なる戦法。其の四



先手、牛若丸のような柔らかい感じの受け。

前回までの局面を再掲載します。


藤井六段の▲89玉寄りを見た時、攻めの角と桂馬と香車の効きが集中している99の地点から、目標となっている玉を一マスだけずらすことで、かなり先ほどまでの状態よりも守備力が上がった気がして不思議という話をしました。

まるで剣豪が最小限の動きで敵の切っ先をかわす姿をほうふつとさせます。また、伝説の五条大橋の牛若丸と弁慶と伝説も。がちがちの穴熊から一転、玉を一つひらりとかわす柔らかさというか軽さというか・・・そんな印象をもった話をしました。

ほんの地味な玉の動きですが、とても大きな一手であるように感じました。藤井六段は角使いの名手です。なので、角の力を熟知していて、その受け方も熟知しているのでは?って思いました。
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手順前後は同一の局面にならない。将棋の奥深さ。

△9七香成▲同 香 △同桂成 ▲同 銀 △3六歩


後手△97香成としましたが、ここで成らないと、▲85桂と跳ねられてしまいます。そこで△97歩と打っても、一歩を余計に失うのと、形が悪くなる感じがします。

例えば、△97香成ではなくて、△36歩を先に突いた場合を考えます。

△36歩▲85桂△97歩▲同香△同香成▲同銀。

ここで、桂馬を取り返すために△85歩と突くと、玉頭の空間が空いて、84香車とか打たれるとかなりいやな感じがします。

【参考図】


本譜と参考図の局面を比較すると、一見同じ局面に見えますが、かなり違う感じがしませんか?一手手順をちがえると、全くことなる局面が生じるのが不思議ですが、これこそ将棋の奥深さと言えますね。

いずれにしても、▲89玉寄りが活きています。きれいに敵の角の睨みを外しています。まさに紙一重ですね。飛車はないけど、飛車があったら詰んでいます。

あと、最後の△36歩は角の逃げ道を開けているのもありますが、将来△46飛車と走った時に、▲37角の王手飛車を防いだ手のように思います。

後手の攻めの主役は角。この角を執拗に責める先手。

▲4五香 △同 銀▲同 歩 △3五角


やはり後手の急所の駒は角なのですね。先手はこの角をどかしにいきます。▲45香△同銀▲同歩で、後手はやむをえず角を△35角と逃げます。▲24飛車の走りを防いでいる角でもあります。
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先手、鉄壁の受け。三枚当たりの後手、次手どうする?

▲4六銀打 △9一香 ▲9四歩 △6六歩▲同 金 △4五飛 ▲6八角 △9四香 ▲9五歩

△同 香▲9六歩


先手は執拗に後手の角を責めます。▲46銀打により瞬間後手の角は行き場がありません。この角さえ封じてしまえば、後手からの攻めの力を弱めることができる、ということだと思います。

後手は角を逃げることができないので、△91香と急所の端を攻めます。銀取りをどうするのかなって見ていたら、▲94歩と垂らしました。香車でとれば、歩の連打で香車を取る狙いです。

後手は△66歩と金頭を叩きました。この手に対し、同銀だと、46に打った銀がただで取られてしまうので、同金よりありません。この同金により、▲57銀に対する紐が切れました。これを見越して、△45飛車と走ります。この飛車を取ると、57銀が宙ぶらりんになるので、△57角成と成られてしまいます。

これを防ぐために、▲68角と▲57銀に紐をつけました。このタイミングで後手は△94香車と走り、歩の連打で、▲96歩まで進み、後手の香車がとられそうな局面です。

今現在、後手の飛車、角、香車、の3枚が当たりになっています。このあと、後手は何を指すのか?非常に悩ましい局面だと思います。

続きは次回に。チャオ!

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