空海-KU-KAI-美しき王妃の謎 空海の見た風景を再現!印象に残ったワンシーンに思う空海の持ち帰った密教とは。



空海は大好きな歴史人物の一人です。その空海がついに上映されました。日中合作で空海を映画にする企画があり、まさに、日本での上映開始前から注目し、その記事を書いていました。

参考:空海が映画に!染谷将太主演丸刈りで気合十分。日中合作映画、日中の架け橋に!



それがついに上映され、ついに私はそれを見てきました。その思いを記事にしたいと、強烈に感じたこともあり、筆をとりました。

ちなみに、私は、原作である夢枕獏氏の『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』を全巻読んでいますので、小説の中の空海像がすでに出来上がっています。

小説を読んだ時に、空海がどのような風景を見ていたのか、ということを空想していて、映画では、その姿がとても壮大で美しく表現されていて驚きました。玄宗皇帝の時代に絶頂を迎えた長安の都は、その栄華を残していて、その美しい都の様子がありありと描かれていました。

 
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この物語の主人公は空海ですが、物語を通して、非常に存在感のある登場人物がでてきます。まるで空海が中国の歴史の中をのぞき見ていくようにして進んでいく感じです。

なのでこの映画を見る前に、玄宗皇帝の時代背景、特に玄宗皇帝の寵姫である楊貴妃と、その楊貴妃のせいで引き起こされたとも言われる安史の乱についての知識を入れておくとおもしろさが倍増します。

空海が長安で起こった奇妙な事件を探偵のように解明していくのですが、空海がホームズとすればその相棒のワトソン役は白楽天です。詩人の白居易で、長恨歌(ちょうごんか)の作者として有名です。

この長恨歌は、歴史の教科書では見たことがある方も多いと思うのですが、私は中身をまったく知りませんでした。しかし、この映画を見て、この歌が映画の中で大きな意味を持っていたことから、受験勉強の知識から程遠いくらいに私の中で飛躍しました。

長恨歌は、玄宗皇帝と絶世の美女楊貴妃の恋物語だったのです。
空海と楊貴妃が時代的にどんな関係にあるのかも、この映画からよくわかりました。楊貴妃という女性が、その美しすぎるが故に、悲運な最後を遂げました。

楊貴妃に思いを寄せる男たちが、楊貴妃のために行動を起こします。そのことがこの物語の原動力となっています。

確かに、絶世の美女と呼ばれる女性について、楊貴妃こそがこの物語の主人公であると言ってもおかしくないのです。

この楊貴妃にたどりつくまでには時がかかります。物語の最初は、奇妙な事件から始まります。皇帝が不審な死を遂げるのです。その皇太子も亡くなってしまいます。

皇帝の不審な死に遭遇した空海は、当時、青龍寺の門をくぐることはできず、密教をもちかえることを諦めて、日本に帰ろうとしていました。しかし、白楽天と出会い一緒に謎解きを始めます。

映画のタイトルである「妖猫伝」にも表れていますが、怪しい黒猫が事件を引き起こします。この猫が、空海や白楽天を楊貴妃の謎へと道案内をしていくのですが、この猫の迫力が妖しい力の印象を強めます。この猫も実はこの映画の主人公と言ってもおかしくないです。

この映画の印象として、空海以外にも複数の主人公的存在感をもった登場人物が出てきます。そういう意味ではそれぞれの主人公のそれぞれの物語の集合体のような構成に感じます。そのそれぞれの物語の中を空海が旅するように。

 
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あと、特筆すべきは映像の美しさですね。空海が海を渡る時の海のうねりの中をすすむ船の映像が出てきますが、これはかなり迫力ある映像だなって思いました。当時海を渡るということがどれだけ危険であったのか、そういった状況を如実に伝える映像でした。

空海は、膨大な知識量と論理的で聡明な頭脳をもった天才であると、ずっと思っています。映画を見終えた今もその思いは変わりません。しかし、だからこそとても印象に残ったワンシーンがあったのでご紹介します。

海を渡る船の中で、赤子を抱いた母親が空海の隣に座っています。船は嵐に見舞われ、沈む寸前の状況でした。船内は樽が転がり海水が船内に侵入してきます。空海は母親に「怖くないのですか?」とたずねます。母親は、「今子供が眠ったので安らかな気持でいます。」とこたえました。

この後、船は大破します。空海も海の中に沈みます。この時空海は、海中で、「これまで覚えた経典や文字も何も(頭に)浮かんでこない。あるのは、安らかな母親の姿だけ。」だったと回想します。

(映画館で見て記憶していたのを思い起こして書いているので一言一句正しいかはわかりません。でもこのような言葉だったと思います。ごめんなさい(-_-;))

私はこのシーンが脳裏から離れません。

なぜなのか。

あとで、理由を付けるとすれば、きっと空海という天才が、死の間際に思ったものが、論理的な何かではなく、まるで母親に抱かれた時のような安心感であったのではないか。

そう思った時に、空海が持ち帰った密教とは、子が母に向けた安らぎ、あるいは母が子の寝顔を見た時の穏やかな気持ちそのもののことなのではないか。

そう思ったら、空海が伝えた密教によって、1,200年以上の間に、どれほどの人々が救われたのだろうか、という思いを抱きました。

このように映画を見て空海を感じることができて、私はこの映画を見てよかったと心の底から思いました。

 

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