藤井聡太六段対糸谷哲郎八段。屈指の好カード。伝説の棋士の得意戦法、阪田流向飛車出現!「月下の棋士」を読むと将棋が倍おもしろくなる。其の四



悠然と指した先手の▲26歩!遅い攻めに見えるが・・・

前回先手が▲26歩と打った局面で終わりました。局面を再掲載します。

それにしてもこの▲26歩は一目、”遅い”って感じさせる一手と思いました。せっかく切った飛車先の歩を再度26から打っていきます。例えるなら、せっかく刀を鞘から抜いたのに、戦いの最中に、もう一度鞘におさめた感じです。

桂馬を先にとらせておいて、桂馬を取り返しに行く呼吸。この呼吸がすごいと思うのは、裏を返すと後手に、”桂馬を取らせている間に攻める”権利を与えたことになるからです。しかも後手は一枚桂馬を余計にもらっている計算なので、後手は、時間と桂馬をもらったことになります。

Sponsored Links

全く思いつかなかった受けの一手。守りに手を入れる呼吸。

△3三金 ▲4三馬 △同金寄 ▲2五歩 △8四桂

攻めの手ばっかり考えていましたから、すごく意外でした。指された手はなんと大山十五世名人を思わせる金引き、△33金でした。

遊んでいた金を使って、馬の進退を問う一手です。この手に対して、▲21馬から、馬を活用して香車を取りに行く手もあったと思うのですが、そうなると、△45歩から飛車が働いてきてしまいます。

▲43馬と先手は飛車を取りましたが、後手は手順に同金左として守りの金を玉に引きつけました。戦いながら、金駒を守りに活用していくのがいぶし銀のような凄みを感じます。

先手は桂馬を▲25歩ととり、桂馬を取り返しました。ここで、後手の攻めの手番。△84桂は急所の桂打ちです。次に△76桂と跳ねると、先手の急所の守り駒である▲68金に当たります。

この局面を見ると、△33金とひきつけてから、攻めに転じるのと、△34金の状態のまま、反撃するのでは、後手玉の耐久力がまったく違います。守りに手をかける呼吸とはこういうものなのですね。

わずか3手で局面の様相が一変。飛車の輝きが半端ない。

▲2四歩 △7六桂 ▲2三歩成

この局面までわずか3手しか進んでいません。しかし、この3手は私にとってはかなり異常を感じさせる3手でした。

まず、先手の▲24歩です。この手を何と一手表現してよいのか・・・。

例えるなら、今まさに出航しょうとする船に乗るために、車で行かなきゃ間に合わないような状況で、悠然と桜のつぼみを見ながら歩いていくような・・。それでいて絶対に間に合って船に乗れることを確信しているような・・。

普通の人がみたら、”なんでこんなのんびりしてるのよ”って思うと思います。でも、実は、車で行ったら渋滞に巻き込まれて間に合わず、逆に歩いて行く方が結局早く着くっていうような。またはみんなが知らない近道があってそれを知っていたというような。もしくは船の出発が遅れることをあらかじめ知っているような。

つたわりましたでしょうか?私のつたない表現力ではこれが精一杯です(-_-;)。

Sponsored Links

飛車を働かせるのが最速

当然後手は△76桂と跳ねてきます。うん。当然跳ねますよね。金取りはどうするのかなって見ていましたら、何と手抜きの▲23歩成。

うーーーーん。

唸ります。

この局面をあらためて見ると、先手の▲28飛車が働く確率がぐーんと高まっています。

3手前の▲25歩が飛車道を閉ざしていた局面では、飛車が働かない展開になりそうでしたがが、この重しの歩が外れたことで、大きく飛車の活用が見えてきました。

急所の駒が何なのかを見抜く目が大事なのですね。飛車の輝きが半端ではないです。まるで沼の底で眠っていた龍の目がぎらぎら光っているような。

続きは次回に。チャオ!

前の記事:藤井聡太六段対糸谷哲郎八段。屈指の好カード。伝説の棋士の得意戦法、阪田流向飛車出現!「月下の棋士」を読むと将棋が倍おもしろくなる。其の参

次の記事:藤井聡太六段対糸谷哲郎八段。屈指の好カード。伝説の棋士の得意戦法、阪田流向飛車出現!「月下の棋士」を読むと将棋が倍おもしろくなる。其の五

棋譜一覧表を表示する

向飛車は月下の棋士を読むと好きになる!』に戻る

Sponsored Links