雁木と矢倉の評価の違いは根本的な将棋の思想の違いでは?横歩も同じ歴史を抱える。



なぜ今雁木?

最近雁木という戦法が流行っていることを耳にして、えッどうして?って思ったので、そこのところを自問自答してみました。

雁木は、江戸時代の初めに檜垣是安という人によって創案されたと言います。ですから雁木は歴史ある戦法です。その雁木がなぜこれまで指されてこなかったのでしょうか?

組みやすいし、形は奇麗だし・・・。

その理由は、私が思いつく限りでは、飛車先の歩を交換されてしまう。この一事に尽きるのではないでしょうか?一時的に飛車先の歩の交換を角で防いでも、引き角から歩と一緒に角まで交換されてしまう。

そうなると、歩を自分だけ守りに打たされて、相手に歩を持ち駒にされてしまう。全く交換された側は特にならない。だから、飛車先の歩を交換させないように、苦心してきたのではないかと考えています。(間違っていたらごめんなさい。)

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将棋の純文学。矢倉の出現した理由とは?

飛車先の歩の交換を防ぐために生まれたのが矢倉であると思うのです。矢倉は銀で歩交換を防ぐので、棒銀とかで交換されることを警戒すればそうそう交換されるものではないです。

しかし、仮に交換された場合には、歩と一緒に銀まで交換されるので、交換された方は損しかないです。

だから、雁木ではなく、矢倉にして飛車先の歩交換を防ぐのだ!ということになって、雁木から矢倉に移っていったと思っています。

しかし、ならばなおさら今雁木が流行っているのはどういうことかなのだろうか?そんな疑問を、将棋がめちゃくちゃ強い、ある方から興味深いお話をお聞きしました。

雁木を流行らせたのは、コンピュータだということでした。昨今の電脳戦や、スマホで事件などにも表れておりますが、コンピュータの目覚ましい進歩が背景にあり、そのコンピュータが採用している戦法に雁木があるとのことでした。

雁木は人ではなくコンピューターが流行らせた?

雁木を流行らせたのは、人間ではなく、コンピュータということになと、次の疑問は、コンピュータは、飛車先の歩の交換がされるのが不利ではないと思っているのではないか?ということです。

飛車先の歩の交換をされるというのは、そんなに大したことではないのか、それともむしろさせた方が得になることがあるのか、そんな疑問がわいてきました。

今まで「飛車先交換三つの得あり」を信条に将棋を組み立ててきた思いもあり、「飛車先歩交換を許すことが大したことがない」とは、口が裂けても・・・。しかしとは言ってもきっと何か理由があるのだろう。自分なりに思いつく限り、歩交換をさせた側の得を考えてみました。

う~~~ん

ウ~~~ン

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駒の損得より手得?横歩取り後手有利の根拠。

相手が、交換するために費やした手は、例えば先手が歩交換したとして、26歩、25歩、24歩、24飛、28飛 で5手。

反対に後手は、32金の1手。

あまりに単純ですが、あらためて考えるとすごいことなのかもしれません。

というのは、横歩取りの後手番で指される理由の一つは、先手が横歩を取らせる手に手数をかけさせ、後手はその分手得を生かして戦うということがあるからです。

横歩を取らせることをどう考えるかで、戦法への見方が変わった歴史がありました。昔は、「横歩三年の患い」と言われて、横歩をとったら悪くなる。という時代がありました。

しかし、駒得重視の考えから逆に「横歩取るべし」という考えが優先される時代もありました。その後、中座飛車戦法で再度後手の横歩取りが流行したことは記憶に新しいです。

「横歩を取る」という駒得と「横歩を取らせる」という手得の優劣の戦い。

このことが、「飛車先の歩交換をすることが得」というのと、「飛車先の歩を交換させることが得」ということの関係に近いのではないか、そんな気がしてきました。

根本的な思想の転換?

そのように考えると、雁木と矢倉の戦法の移り変わりは、別な様相を帯びて見えてきます。単なる流行りというのではなく、根本的な思想の転換、という様相です。

「飛車先の歩を交換して」持ち駒にするという実利と「飛車先の歩を交換させる」ことによる手得の優劣の戦い。

手得というのは、目に見えません。横歩の場合では、歩得という形で目に見えますし、飛車先の歩交換という場合では持ち駒にした歩も目に見えます。

しかし手得は、その先の運用の仕方によっても、得にも損にもなってしまいます。はっきりと目に見えない得をどうとらえるか?将棋の奥の深さを感じさせられました。

雁木と矢倉の関係を考えながら、思いを巡らし、横歩のことにもつながって、歩を交換されたらダメって頑なに思っていた自分を反省させられました。でも矢倉を指し続けてきた自分にとっては、雁木に慣れるには時間がかかりそうです。

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