ひふみんから藤井聡太四段へ 究極の世代間コミュニケーション 天才が天才に渡したバトン 其の四



まさに”棋は対話なり”!

前回の記事では、歩がはじめてぶつかったばかりなのに、抜き差しならない局面に突入するにおいがぷんぷんするというお話で終わりました。先手の銀と後手の桂馬の競争。どちらが早く相手の玉に殺到するか、矢倉の醍醐味でもあります。

矢倉は、組上がった後は、すでに勝敗が決着しているような水面下の争いである戦型ということを書きました。では、お互いに組上がってどちらもほぼ互角という場合はどうなるか?

この場合は、”先手必勝”の言葉通り、先に殺到した方が勝ちやすいです。(必勝とまではいかないですね(-_-;))。なので、どちらが早く敵の玉に迫れるかは、この局面からのテーマとなると思います。

Sponsored Links

中央の戦いに持ち込む先手。対応する後手

▲5五歩 △同 歩 ▲同 銀 △6五桂 ▲6六銀上 △6三銀


この△64歩と▲65歩がぶつかっているのをそのままに、▲55歩と先手はつきました。この手を手抜くのは難しいのかなって思ったのがパッと浮かんだ感想でした。きっとそれはそれで別の展開になるのでしょうが、私には難しくて分からないのでスル―します。

素直に後手は△55同歩ととり、先手▲同銀と出た形が、とてもいい形だと思いました。攻めの銀は5段目に出れば成功と言われますが、果たしてどうでしょうか。

後手は△65桂と跳ねました。△64歩を突いてからの桂跳ねなので、▲66銀と出られた後、桂取りの先手になりません。

私は、後手がここで△54歩と打って局面をおさめるのかな~って見ていました。だって一歩得ですもの。

でもなんか先手からの▲54歩を誘っているかのように、△63銀でした。先手に打たせた方が得ということなのでしょうか・・・・(?_?)

先手、後手の誘いに乗る!

▲3七桂 △8五歩 ▲5四歩 △同 銀 ▲同 銀 △同 金


先手は、▲37桂馬と跳ねて、遊び駒の活用です。この桂馬は、端に活用して、香車と交換する可能性のある駒です。後手も、力を溜めて、△85歩と飛車先の歩を伸ばします。飛車に喝を入れる歩突きです。見えないけれどもオーラを感じる一手です。

居飛車系統の将棋、特に私の場合は矢倉ですが、たくさん指していると、この飛車先の歩というのは、非常に重要だと私自身、骨身にしみています。この歩をただ突き捨てられるだけで、矢倉の玉は一気に弱体化しますし、何よりも飛車が後ろで圧力を加えているので、ただの歩ではないです。本局の将棋でも、この歩の凄みが出てきます。

さて、先手は、打てと言われている▲54歩をとうとう打ちました。△同銀▲同銀△同金までは一本道です。先手は攻めの銀を、後手の攻めの銀と交換しましたので、銀交換自体は、互角の取引のように一目見えます。

しかし、先手の銀は、交換するまでに、

▲48銀、▲37銀、▲46銀、▲55銀、▲54銀、と5手かかっています。

一方後手の銀は、

△62銀、△63銀、△54銀、と3手です。

どちらが銀交換で得をしたかは一目瞭然ですね。

そして、持ち歩の数を見て頂くと、先手の持ち歩はゼロです。いわゆる歩切れの状態です。後手は3歩を手持ちにしています。この差も大きいです。先手にとって、一歩でもあれば、55歩と打って、金を取ることできますが、残念ながら歩切れです。

”歩切れは毛切れより痛い”と言ったのは、故米長邦雄永世棋聖だったかと思いますが、まさしく痛いです。

続きは次回に。チャオ!

前の記事:ひふみんから藤井聡太四段へ 究極の世代間コミュニケーション 天才が天才に渡したバトン 其の参

次の記事:ひふみんから藤井聡太四段へ 究極の世代間コミュニケーション 天才が天才に渡したバトン 其の五

棋譜一覧表を表示する

加藤一二三vs藤井聡太!戦型は相矢倉。最初で最後の天才対決。ひふみん矢倉をありがとう!』に戻る

Sponsored Links