ひふみんから藤井聡太四段へ 究極の世代間コミュニケーション 天才が天才に渡したバトン 其の五



歩切れは毛切れより痛い?!

前回の記事では、ぱっと見て単なる銀交換でも、その裏に隠れた価値を計算すると、どちらの銀が価値のある銀かが分かるということを書きました。先手の銀は5手かかっていて、後手の銀は3手しかかかっていないのです。単なる銀交換だと、後手は2手分、手を得したことになります。

また、持ち歩の数が、藤井四段の方にたくさん溜まっています。これは、鉄砲でいえば、銃弾をたくさん蓄えているような感じです。

ひとたび攻めの手番が回れば、火の出るような猛攻を浴びることは明らかです。なので、加藤九段としては、反撃の手番を渡す前に、何としても決定的な戦果をあげておきたいところです。

しかし、今現在、加藤九段に持ち歩がありません。一歩でもあれば、55歩と打てるのですが・・・。ない袖はふれません。ですが、その一歩を何とか手に入れる手順はないのでしょうか。

前回の局面を再度掲載します。


 
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強引に歩を取りに行く手順?

▲6三銀 △4三銀 ▲2五桂 △2四銀 ▲1三桂成 △同 銀


▲63銀△43銀の交換を入れてから▲25桂です。

前回の記事でも書きましたが、先手の▲37桂は、一手▲25桂と跳ねるだけで、相手の香車と交換することが出来る可能性がある、と書きました。まさしくこの手順がそれを証明しています。

この▲25桂に対し、後手は△24銀と逃げました。これは、後手にとっては、守りに大きな役割を果たしている守りの銀と、ともすれば遊び駒になることもある先手の▲25桂とは交換出来ません。

そのあと、先手は▲13桂成と端に成り捨てます。これも、桂馬を捨てたという表現だけだと、たいしたことのないように思えますが、玉の急所のこびんである13の地点を守る13歩を強引にむしりとった、と表現したらどうでしょう。歩は人間の体に例えれば皮膚のようなものです。それをはぎ取られたのです。かなり大きな一手だと私は思っています。

この変化は、矢倉で言うと、”スズメ刺し”の将棋でよく現れます。この手をはじめて見た時は、”桂馬をただで捨てるなんてなんともったいないのだろう”って思っていましたが、将棋を指し続けていると、その感覚が変化していきました。”桂馬一つで、最終的には敵陣を突破できるので安いものだ”っていうように。

城攻めでいえば、城門をこじ開けたような手です。城門をこじ開けて後続の兵がどっと城内に押し寄せる、そんな映画とかのワンシーンをイメージさせますが、この桂馬を成り捨てたということは、後続の兵隊にあたる、先手の14の歩、19の香車、そして遠くから睨み続けている68の角が、後手陣の矢倉城にどっと押し寄せてくることを連想させます。

 

続きは次回に。チャオ!

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