ひふみんから藤井聡太四段へ 究極の世代間コミュニケーション 天才が天才に渡したバトン 其の六



映画のワンシーンのように、城門をこじ開けて城内殺到?

前回の記事では、先手の矢倉城攻めの口火を切る、”▲13桂成”を決行したところで終わりました。城門をこじ開けて後続の兵がどっと城内に押し寄せる、そんな映画とかのワンシーンのように、先手の14の歩、19の香車、そして遠くから睨み続けている68の角が、後手陣の矢倉城にどっと押し寄せてくる展開にはたしてなるのでしょうか?

前回までの局面を再度掲載します。

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加藤流のすごさ。時代を作る側の人。

ところで、この加藤流がどうして今でも根強く人気があるのでしょうか?このことに疑問を持たれる方も多いかもしれません。

そもそも、なぜ加藤流という名前なの?

私も昔、疑問に思ったことがあり、自分なりに調べたりしたことをまとめてみます。(間違えていたらご容赦くださいませ)。

”加藤流は、加藤九段の名前が冠せられていますが、普通の矢倉とどういう点が違っているのでしょうか?”

自分の問いはこれでした。

これには、”飛車先不突き矢倉”という矢倉の形が指されるようになったことが大きいです。

”飛車先不突き矢倉”というのは、その名の通り、飛車先を突かない・・・?ちょっと説明不足ですね。飛車先の歩を突かない矢倉という意味です。

飛車先の歩を突かないというのは、昔の矢倉を指していた人にしてみたら、ガリレオガリレイの地動説くらいの驚きです。少なくとも私には。(でも当時の人の立ち場で地動説聞いたわけじゃないのよね。笑)。

要するに”飛車先の歩は、いつでも突けるから後回しにしましょ”ってことですね。あまりにも単純な理由です。

矢倉は、序盤で水面下の駆け引きが行われており、序盤では角道を止めて角交換を拒否したり、飛車先を先手だと▲25歩まで伸ばさなかったり、そういう意味では、急に駒がぶつかって攻め合いという展開になりにくいです。

”急戦矢倉”という形は別ですが、矢倉の場合、急戦を狙っているときは、その兆候がどこかに現れます。角道がずっと通したままだったり。なので、その兆候が現れてから飛車先の歩を突いていっても十分間に合うということです。

急戦のにおいもせず、じっくり組み合っていく矢倉の場合、飛車先の歩はいわゆる”不急の一手”と言われて、文字通り急ぐ必要のない一手ということになり、その一手を違う手に使った方が得ではないかっていう考えが出てきました。

このように、飛車先の歩を突くことを後回しにする矢倉が主流(?)となりました。しかし、そんな時代に流されず、先手なら▲26歩と飛車先の歩を突く矢倉を指し続けたのが加藤九段です。

加藤九段がなぜ、飛車先不突をしなかったのか、私にはわかりません。しかし、加藤九段は、己の信じた道を突き進まれる方です。時代を作ってきた側の方です。加藤九段がそうしたのならきっと正しいのでしょう。

棒銀の優秀性

私が思う中で、加藤流が飛車先不突きの矢倉と大きく異なるのは、先手で言うと1筋の端歩を突き越しやすいというところです。

これは、加藤流の場合、状況によっては棒銀を狙っているというのがその理由です。棒銀がある状況では、後手としては端歩を受けることができません。(棒銀で端歩を受けずらい理由は、機会があれば後で記事にしたいと思います。)

加藤九段は、棒銀を愛されています。加藤九段は棒銀戦法を振り飛車対策においてかなり採用されています。棒銀戦法の優秀性を信じているからだと思いますが、矢倉の場合も、棒銀は有効な戦法です。

個人的に感じることですが、加藤九段は棒銀を軸に戦法を組み立てられているように感じます。

今回の対局も、後手の立場として、加藤流に対して端歩を受けにくいので、端歩を突き越す流れとなり、この▲25桂跳ねから▲13桂成の手順が強烈な攻めになっているんだと思います。端歩が▲15まで突き越されていると、非常に脅威です。

かなり脇道にそれましたが、どうしても、加藤流について書いておきたい衝動にかられてしまいました。この加藤流から加藤九段のすごさが少しでも伝わればと思います。ひふみんの愛称で親しまれている加藤九段の将棋指しとして一面、魅力あふれるギャップのお話でした。

次回から棋譜の続きに戻ります。チャオ!

 

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