羽生永世竜王誕生。前人未到の永世7冠 継続は力なり 歴史的偉業達成 



将棋の羽生善治さんが四七歳という年齢で、12月4日(月)と5日(火)に行われた第30期竜王戦第5局で、渡辺明竜王に勝ち、4勝1敗の成績で、竜王をとりました。5局とも熱戦でしたが、内1局しか居飛車対振り飛車がなかったので、振り飛車党の方には、少し残念だったかなと思いました。

第1局:戦型 相掛かり 96手で先手羽生さん勝ち

詳しくはこちらの記事で紹介しています。よろしければご覧ください

羽生永世竜王誕生 竜王戦第一局を将棋盤で並べてみた 主人公は馬?

第2局:戦型 先手矢倉後手雁木 129手で後手羽生さん勝ち

第3局:戦型 先手ゴキゲン中飛車後手居飛車穴熊 109手で後手渡辺さん勝ち

第4局:戦型 相矢倉 105手で後手羽生さん勝ち

第5局:戦型 角換わり腰掛銀 88手で先手羽生さん勝ち

5局通して、羽生さんの強さが際立った将棋ではなかったか、と思いました。

全局の中で、個人的に圧巻だったのは、第1局目の相掛かり戦で、先手をもった羽生さんが、飛車を殺される変化で、飛車を取らせている間に、相手の喉元に食い込むようにして、攻めを継続していたのが印象に残りました。

その一連の手順の中、攻めが切れたように思われた局面で次に何を指すのだろうと、見ていたところ、77手目24歩と打った手が、相手の立場に立ってみると、ズシリと音がするような重しの手であるように感じました。

たった一枚の歩を置かれただけで、こんなに厳しいのか、と思いながら、この歩が飛車で抜かれてしまうのでは、とはらはらしながら見ていると、手順に王手で81手目の23金打ち。その歩は抜かれることなく、大きな拠点として活躍しました。

これがまるで何かに導かれたような手順で、渡辺玉が極端にせまくなりました。そこから先は鮮やかに決められました。

 

羽生さんが永世竜王を奪ったということが、どれだけすごいことなのか。このことを語る上で、2008年の第21期竜王戦に触れないわけにはいきません。

これは100年に1度と言われるくらいに伝説に残る名勝負と言われています。この時指された将棋の内容もさることながら、この勝負にかかる意味というのも凄かった。

この勝負は、連続5期で渡辺竜王にとっては永世竜王になるかどうかがかかっており、当時の羽生さんも同じく通算7期で永世竜王になれるかどうかがかかっていました。

この勝負に3勝4敗で羽生さんは敗れました。3連勝した上での4連敗ということで、何か見えない力が働いていたという感じがしたのを覚えています。

羽生さんが凄いのは、激闘を経て、敗れたにも関わらず、2010年にまた立ち上がってリベンジしたことでした。

この2010年の竜王戦挑戦も、またしても渡辺竜王に4勝2敗で敗れてしまいます。それからおよそ7年越しで挑んだ今回の快挙。この経緯を見て更にすさまじいと思うのです。

全力を尽くした末に、届かなかったという失意の中で立ち上がり、2010年にリベンジを狙うも届かず、普通の人間であれば諦めてしまうと思います。しかし強い思いを持ち続けて、三度目の正直とばかりに勝ちました。

かつて大山康晴十五世名人が次のような主旨のことを書かれていました。

一時力と言って、一回は力を発揮できるものであるが、大事なのは、勝ち続けること。それがとても難しいのだ。

若手も入り乱れて棋界最強を決めるとも言われる竜王戦でのこの快挙。

 

自身の著書においても次のように書いておられます。

以前の私は、才能とは一瞬のきらめきだと思っていました。しかし今は、十年、二十年と、ひとつの物事をずっと長く続けること、継続することが、一番の才能ではないかと思います。

引用:才能とは続けられること p47

七冠達成に感動するとともに、四七歳という年齢になっても、将棋界の最前線で活躍し続ける姿こそ称賛に値すると心の底から思いました。

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