森下卓九段に挑む愛弟子増田康宏五段。矢倉対雁木、居飛車2大戦法の勝負。



★注目の師弟対決

2018年3月28日に行われた第44期棋王戦の予選で、森下卓九段対増田康宏五段の師弟対局がありました。

この対局は、単なる師弟対局ではなく、矢倉対雁木の戦法対決の一戦でもありました。

森下九段と言えば矢倉の大家として有名です。戦法の名前にもなった森下システムは現在でも指されている有力な戦法です。

一方の増田五段は、「矢倉は終わった」と衝撃的な発言をし、江戸時代に指された古風な戦法である雁木を引っさげて現代の将棋界に新風を巻き起こす存在です。

雁木戦法が流行り出した陰に、増田五段の影響があることは間違いありません。

このように注目すべきは、師弟対決のみならず、矢倉対雁木の戦法対決という居飛車党にとっては垂涎の対局であること必至です。
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★先手矢倉対後手雁木

さて、それでは棋譜に参りましょう。

▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △3四歩 ▲7七銀 △3二金
▲5六歩 △6二銀 ▲2六歩 △4二銀 ▲4八銀 △7四歩
▲7八金 △4一玉 ▲6九玉 △5四歩 ▲5八金 △5二金
▲6六歩 △4四歩 ▲7九角 △4三銀


典型的な矢倉の出だしから、後手の雁木の片鱗が出現したのが図です。

先手が矢倉で、後手が雁木ですが、それぞれの特徴としては、まず、角に注目すると、一目瞭然です。先手の矢倉は引き角で角を使おうとしますが、後手の雁木は居角です。

これは、後手の雁木からすると、もし先手の玉が▲88玉と矢倉城に入城すると、角の睨みの中にわざわざ入ってくることになるので、後手の攻めの威力が強力になります。

まさに飛んで火に入る夏の虫です。

しかしその反面、居角であることが災いして、先手の飛車の圧力を正面から受けることになります。また、居角であることは、後手玉の囲いにも関わってきて、深く堅く玉を囲うことができません。

お互いそれぞれに弱みと強みを持っている感じです。

★飛車先の歩交換の是非

▲2五歩 △3三角


この局面では、先手が▲25歩と突いて後手は△33角と受けました。たった2手しか進んでいませんが、私は、これまで矢倉が雁木よりも指されて来た理由がこの局面に現れていると思います。

”飛車先の歩の交換は、交換した方が有利となる。”

この鉄則が矢倉戦法が指される骨子だと思っています。この局面で見ると分かりますが、先手は、▲24歩から飛車先の歩の交換が出来てしまいます。

手順は、▲24歩△同歩▲同角△同角▲同飛△23歩▲28飛。

こんな感じで、飛車先の歩と角を交換されてしまうのです。

なので、△33角と上がらず、単に飛車先の歩の交換だけをさせてしまう場合もあるのですが、これが居飛車党の感覚だと、先ほどの鉄則に反しているため、やりにくくて仕方がありません。

自分が飛車先の歩交換ができずに、相手にだけされてしまうと、かなりリードされた感じがしてしまいます。

少なくとも、私が雁木を指さなかった理由はこれが原因でした。

いよいよ、ここから本格的な戦いに入って行きます。

続きは次回に。チャオ!!

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