矛と盾。雁木の強烈な継ぎ歩攻めに対し、矢倉必死の防戦。森下卓九段に挑む愛弟子増田康宏五段。なるか、恩返し。



★継ぎ歩の威力!

局面は、先手の攻めの銀が角を抑えるか、それとも後手の雁木の角の睨みが消えないうちに、攻めきるか、速度争いの様相を呈してきました。ここで後手の指した手が△86歩~△85歩の”継ぎ歩”(つぎふ)攻めです。

”継ぎ歩”って、△85歩って打った局面は非常にゆっくりしているように見えるんですよね。一見すると”のろま”な手って感じなんですが、これがなかなかどうして。

前回の記事でも書きましたが、実は、私、矢倉で最も大好きな攻めが”継ぎ歩”なんです。

前回までの局面を再度掲載します。


この継ぎ歩の魅力って、まさにゆっくりしているようで速いという見た目と現実の厳しさのギャップがすごいってところなんです。

もし、先手がこの歩を放置した場合、よほど先手に早い手がないと、△86歩と取りこまれた手が、相当に厳しいです。

だからと言って、仮に▲85同歩と取ったとします。そうすると、△85桂と跳ねられてしまいます。

以下一例をあげますと、▲86銀△88角成▲同金△39角▲38飛△84角成。

のように攻められてしまいます。後手は馬が手厚く、先手は金銀の連結がばらばらにされてしまいました。

因みに、▲86銀ではなく、▲66銀と逃げると、△86歩と垂らされてしまいます。一応その図を参考までに掲載します。


この△86歩と垂らされた局面は、先手にとって鬼のように厳しいです。次に後手から、△97桂成~△87歩成があります。

桂馬を成り捨てて歩を成る手順がかっこいいのであえて図を掲載しました(^◇^)。

なので、継ぎ歩は相手にしてもよくないし、相手にしなくてもよくないんです。非常に厄介です。

 
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★雁木陣の好調な攻め!

▲7九角 △8六歩 ▲8八歩 △6五桂▲6六銀 △6四銀


先手は後手の継ぎ歩攻めを受け止めるために、▲79角と引いて88にスペースを作り、△86歩の取り込みに対して、▲88歩と受けました。後手の攻めの勢いを止めるためには仕方なしというところだと思います。

しかしこうなると、先手は矢倉城に入ることができません。雁木陣と比較すると、むしろ雁木の方が玉が安定しているように見えるから不思議です。

後手は追撃の手をゆるめず、△65桂と銀取りに跳ねてきます。先手は▲66銀と銀を逃げますが、その手を見て、じっと△64銀と力を貯めました。この手によって攻めに厚みが増した感じがします。銀は桂馬ほど軽快な動きがないですが、一手でも敵陣に迫ると、その圧力は大きいという印象があります。

攻めの銀が5段目に進出できれば銀の顔を立てることができると言われるのもうなづけます。

 

★手裏剣、△48歩。駒は取らせて働かせる。

▲3七桂 △4四角 ▲4五桂 △4八歩


先手も▲37桂と置き駒の活用を図ります。後手の攻め駒は、桂馬も銀も働いています。先手の桂馬が働かなくては対抗できません。ここで、後手は△44角と逃げました。この手は、次に▲45桂跳ねを見越して先に逃げただけの手のように思いました。

しかし、次の△48歩を見て、「おおッ、なんじゃこりゃー。すご~~~」って思いました。

雁木を指すのをためらった理由の一つに、この△45歩の伸びすぎな感じが気になるところでした。

この歩は先手の桂馬に狙われてしまう駒になってしまいますし、取られて、持ち歩にされて攻めに使われるのも癪~ッて思ってました。

でもこの△48歩を見て、認識を改めました。この歩は取られることによっても働くのだって気付きました。ほんとに勉強になりました。

この歩のすごさは次回に。チャオ!

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