★一石三鳥の角が切り開いた反撃の糸口。
前回の記事で、先手の反撃は、角で先手を取った局面から始まったことを書きました。
先手は、後手の弱点である2筋に狙いを定めて▲24歩です。いよいよ先手の攻めが加速しそうな予感がしてきました。
前回までの局面を再掲載します(^◇^)。

この▲24歩を見ると、やはり居飛車の将棋は最後はここか~って思ってしまいます。この歩を突いただけでプレッシャーがかかります。なんとも悩ましい歩ですが、対応を誤ると一気に形勢を損ねてしまいそうです。
★迫力の桂跳ね。ただし銀が玉にきず。
△2四同 歩 ▲同 桂 △3一金

この▲24歩△同歩▲同桂の跳ね出しがめちゃくちゃ迫力のある跳ね出しだと思いました。ただ”玉にきず”な感じがあるのは▲26銀ですね。これが総大将である飛車の効きを妨げているのが残念です。
もし、この銀がなければ、
▲12桂成△同香▲23飛車成
で龍を作って次の▲12龍で香車を取り返せば駒損もなくなります。
それにしても後手の最弱点である角頭がむき出しでめちゃくちゃ無防備に見えます。▲23歩と打たれたらどうするのでしょうか?
★後手、挟撃体制の構築。寄せの網を絞る!
▲3四歩 △3六桂 ▲2七飛 △2三歩 ▲3五銀 △4八桂成▲7九玉

先手は▲23歩と打たずに▲34歩とじっと取りこみました。次に▲23歩と打つことができれば、最高ですね。
▲23歩△44角▲35銀△62角▲65歩△同銀▲55角・・・。
みたいな感じになればいいですね。(かなり都合が良すぎる変化ですかね(-_-;))。
ただ、次の後手の△36桂がすごい手だと思いました。これに対して、先手はさすがに2筋に飛車を置いておきたいところだと思います。なので縦に▲27飛車と逃げました。
この後、”敵の打ちたい場所へ打て”と言わんばかりに後手は△23歩と打ちました。”この手は先手が打ちたかったのに~~”って感じだったのですが先に後手に打たれてしまい残念な感じです。
それでも先手は▲35銀と出られたので、飛車の進路を石のようにふさいでいた銀をどかすことが出来ました。こうなると、
▲12桂成△同香▲23飛車成。
の狙いが生じています。
仮にそれが実現すれば龍を作ることに成功し、12の香車を取り返すこともできるので攻めに困りません。
★受けの森下、本領発揮!絶妙の玉寄り!
後手も挟撃体制を築くべく△48桂成としました。そこで先手は攻めの継続を図るのかなと思いきや、▲79玉と寄りました。この手が不思議で不可解な手でした。
≪心の声≫
まだ大丈夫では?
でも危ないのかな?
一瞬玉の早逃げ八手の得?
こんな感じで悩んでました。
うーーーーん・・・うーーーん。ぐーぐーぐー
寝てるやんけーーー!こら寝るな!起きろ!
ピッキーん 閃いた!
もしこの▲69玉の状態で攻め合いに行った時、先手は桂馬を渡す確率が高いです。
例えば、▲12桂成△同香▲23飛車成
となった時に、後手が△87桂馬と打ったとします。参考図を掲載しますと、
<参考変化>

こうなります。この局面、いきなり後手から△59と金▲68玉△58成桂で詰み筋が生じています。先手はこの桂馬を取らないわけにいかず、そうなると後手の攻めの方が先に先手に届きそうです。
つまり森下九段は、後手から△87桂馬と打たれた時に、79への逃げ道が塞がれてしまい、△59と金からの詰めろになってしまう変化を避けて、安心して攻め合うために、今の内に▲79玉と寄ったのだ!!!!(確信を持った名探偵の表情。「まちがいない!」)
なるほどーーーーー!さすが受けの森下!素晴らしい!
と独りで感動に浸りました。
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