将棋 光る歩の成り捨て。恐るべき雁木の破壊力。増田雁木陣の鋭い攻め!森下卓九段に挑む愛弟子増田康宏五段。なった!恩返し。



★玉頭に突然出現した”馬”

前回までの局面を再度掲載します。

馬の陰に香車をセットして、後手が詰めろを狙ってきたところです。

馬がほしくてもとれません。取るとまずいのは前回記事の通りです。

さて、先手はここでどう指すのか?

 

Sponsored Links

★玉の早逃げ!

▲8九玉 △9八馬 ▲7九玉 △5九と

馬を目の前に成られてしまい、このまま放っておいたら詰みだし、馬を取っても一手一手。いったい先手にどんな手が残されていたのか?その答えが▲89玉の早逃げです。それでも後手は△98馬と王手をしてきます。玉を端から追い出した後に指された次の一手が驚愕でした。なんと△59と金です。

と金のタダ捨てです。この手はせっかく出来たと金を捨てるのでもったいないように思います。しかし、捨てることで手に入るものが後手には何かあるのですね。先手は同金と取るのが当然な一手の気がします。その効果は次の項で。

 

★守備駒を無効化。

▲同 金 △6七歩成▲同 金

と金を△59とと捨てた後手の狙いはいったい何なのか?先手は当然の▲同金ですが、こうすることで実現する利益は、局面を見る限り、金の守りが3段目に効かなくなったことです。これが一体どれくらい効いているのでしょうか?この手の継続手で後手は△67歩成りと成り捨てました。せっかくの拠点まで捨ててしまいました。太っ腹です。

 

Sponsored Links

★じわりと一歩進んだ銀。そして投了。

△6六歩 ▲6八金引 △7六銀 ▲投了

金をつり上げておいて再度△66歩と打ちました。先手は▲68金と逃げましたが、仮にこの手を同金とするとどうなるのでしょうか?

私の結論として、単純に同銀と交換して良いと思います。この後、先手が▲同角として、△67金と打たれると、66の角取りと△88馬として銀を取られる手がすこぶる厳しいです(参考図)。

因みに、仮に△88馬とされた手に対し▲同角と取ると、△78銀と打たれて詰まされてしまいます。かといって同玉では△87飛車成以下の詰みです。

≪参考図≫

 

したがって、先手は▲68金と引き、後手は△76銀と出ました。この銀出がとても重厚な感じのする一手だと思いました。この手が指されたあと先手の投了となりましたが、まだ投了には早すぎるのでは?って思う局面です。しかし、先手は投了しました。

この投了図以下どうなるのでしょうか?投了図を再掲載します。

この局面で後手の手番として考えると、後手は持ち駒が歩しかないので、詰むとすれば△88馬と指すところです。そのあと▲同玉と取ると△87飛車成りとされるとかなり危険なように思いますが、▲79玉と逃げて詰みではないようです。

また、△88馬に対して、▲69玉と逃げたとしても、△67歩成とすると、やはり先手玉が助かりそうもありません。いずれにしても先手玉は詰みではありませんが、一手一手の展開です。

対して先手は、後手玉にそれ以上早く迫る手がないと思われます。仮に先手が▲33歩成りと指したとしても、まだすぐに後手玉が詰むわけではありません。

なので先手にとって勝ち目がないとの判断から、先手の投了という結果になったと思います。

 

まとめ

雁木対矢倉の戦いも終わってみると、雁木の攻め対矢倉の受けという展開になりました。これは先手矢倉をもった森下九段の受けの棋風もあるかと思いますが、雁木は、居角であることから攻めの威力は抜群であると思います。

矢倉は銀を繰り出して攻めていきましたが、後手の桂馬の攻め足が速く、角との連携が素晴らしいという雁木の特徴が発揮されたと思います。

角の攻めに対して、角で対抗しなくては持たないと考えると、矢倉も引き角ではなく居角で戦うことになりますが、囲いの視点から考えると、矢倉の囲いと雁木の守備の構えでは、最初から囲わない雁木のほうに安定感を感じるから不思議です。

森下九段にとって、雁木陣から飛車先の歩交換を先に許した段階で苦心をすることになったような印象が残ります。逆に言えば、そのすきを見事に増田五段が突いたとも言えます。雁木の攻めがさく裂すると、受けの名人森下九段でもしのぐことはできないことが分かりました。

雁木と矢倉の戦いはこの後も続きそうです。このテーマに沿ったおもしろい対局があれば今後も記事にしたいと思います。その時はどうぞよろしくお願いします。

最後までお読みくださりありがとうございました(^◇^)。

前の記事:将棋 馬の陰に怪しげな香車。増田雁木陣の鋭い攻め!森下卓九段に挑む愛弟子増田康宏五段。なるか、恩返し。

棋譜一覧表を表示する

Sponsored Links