其の弐 米長流急戦矢倉。 藤井聡太六段の二度目の連勝をくい止めた棋士、井上慶太九段。思い出される米長哲学と玉頭位取り。



美しい矢倉の形

前回までの局面を再度掲載いたします。

矢倉の中でも昔ながらの形です。飛車先の歩を伸ばした矢倉は美しいです。いいか悪いかは別にしても個人的にしっくりきます。矢倉の理想形について前の記事で紹介しましたが、この▲25歩と伸ばした形から、この歩の陰に角を据えるという攻めの理想形が浮かんできます。ま、▲25歩は後から突いてもいいんですが(笑)。

さて、ここから先手がどのように駒組みを進めていくかが注目されるところです。

 

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後手、急戦の意思表示?

▲4八銀 △3二金▲5六歩 △5四歩 ▲5八金右 △4一玉 ▲6六歩 △7四歩▲6七金 △7三桂

先手の▲67金までが順当に来た感じですが、後手の△73桂は意思を表明した一手です。どんな意思かと言えば、

「私は守りよりも攻めを重視しますネ!」

ということです。

矢倉は、がっちり組上がってから攻めていく場合、だいたい△31角とひいて△75歩の交換から手をつける感じです。そして、歩を交換してから銀を進出していくのがセオリーです。この桂馬を跳ねたことで、歩を交換したら桂馬の頭を狙われてしまいます。また△73銀と出る手自体がなくなりました。

ということは、△31角から△75歩は可能性が低いです。

ということは、角は居角で使うということを暗に示しています。

確実ではないですが、そんな匂いがぷんぷんぷんぷん・・・・・すーはーすーはー

します。

 

出現!米長流急戦矢倉。

▲7八金 △5二金 ▲6九玉 △6四歩▲3六歩 △8五歩

これは・・・、なんと・・・「米長流」ではないかーーーーーッ!

米長流急戦矢倉。故米長邦雄先生が指された形で、米長流と呼ばれる攻めの破壊力抜群の布陣です。

実は、私が将棋でかつてどうしても勝てなかった方がおり、はじめてまぐれで勝ちを拾った戦法がこの米長流でした。それ以来この米長流は私にとって特別な、思い出に残る戦法です。

 

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米長哲学

また、米長邦雄先生は、言わずとしれた大棋士です。米長先生は、将棋だけでなく、米長哲学と言われる独特の哲学があって、たいへん勉強させていただきました。

この米長先生のお話の中で、テレビの解説の時に話されたのか、あるいは本で読んだのかは覚えておりませんが、ある方が米長先生に恋の相談をします。

米長先生:「そんなに好きなのか?」

相談者:「はい。」

米長先生:「ならば土下座して頼みなさい」

このエピソード。

私がここから連想したのは、吉田松陰の言葉です。

「至誠にして動かざるものは未だこれあらざるなり」

誠意を尽くせば動かせないものなど存在しない。

この言葉に通じるな、と思いました。

 

米長流玉頭位取り

かなり、横道に逸れてしまいましたが、逸れたついでに米長先生のお話をもう一つ。

米長先生の将棋には、対振り飛車の将棋に「玉頭位取り」という戦法が多く出てきます。この「玉頭位取り」とは、「ぎょくとうくらいどり」と呼びますが、何とも重厚感漂うかっこいい戦法名だと思いませんか?名前のとおり、カッコいいんです。

この戦法は簡単に申せば、振り飛車相手に矢倉を指すようなイメージです。矢倉といっても銀立ち矢倉とよばれるもので、相手の美濃囲いに対して上から圧迫するような形になります。

私、この米長先生の玉頭位取りが大好きだったんです。って今でも大好きなんですけど。指す人がプロもアマも含めてほとんど見かけません。この戦法をいつか記事にします。

すみません、脱線に次ぐ脱線ですが、次回から本線に戻ります。

チャオ!

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