其の参 棋は対話なり。 藤井聡太六段の二度目の連勝をくい止めた棋士、井上慶太九段。破壊力満点!米長流攻めの44銀。



米長流、急戦矢倉!

前回、米長邦雄先生の十八番、米長流急戦矢倉の出現に、かなり舞い上がり、脱線に次ぐ脱線をしてしまい申し訳ありませんでした。

気を取り直して前回までの局面を再度掲載いたします。

この戦法の最大の長所は、飛車と角の効きが、先手玉が通常囲うところである88の地点に集中していることです。

さすがに、先手はどれだけ勇気があっても88の地点に玉を入城させることにはびびるでしょう。

 

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攻めの理想形、美しき44銀形

▲7九角 △6三銀 ▲3七銀 △4四銀

この▲79角を見てびっくりしました。ふつう△22角が先手の99香車を睨んでいる時に、角を▲79角と引いてしまうのは守りが薄くなって指しにくいところだと思われます。

おそらく後手の△33銀が△22角の角道をふさいでいるため、今なら引けるということで▲79角と引いたのだと思います。

△63銀▲37銀の交換をしてから、△44銀と出た手が、眼目の一手です。

この手が米長流の破壊力を高めた手と言っても過言ではないと思います。一見△33銀を守りに効かせて飛車先の歩交換を防いでいるように見えますが、攻めの態勢を作り上げるための時間稼ぎ的な意味もあります。後手は最初から玉を22の地点に囲う気はありません。

この△44銀を見て、先手の飛車先の歩交換を心配します。先手としても飛車先の歩を交換できれば大きいと思うと思います。

しかし、飛車先の歩交換をすれば、先手は一手を後手に献上します。この一手が急戦において大きいのは言うまでもありません。

この局面の△44銀がすごくカッコいいと思うのは私だけでしょうか?この瞬間の後手の陣形の美しさが大好きです。

棋は対話なり!

▲4六銀 △6五歩 ▲3五歩 △6六歩 ▲同 銀 △8六歩▲同 歩 △3五歩

先手は、△44銀と繰り出した手に対して、55歩からの仕掛けを防いで▲46銀と出ました。後手は、角の効きを活かすべく、△65歩と突っかけます。この歩を先手が▲同歩と取ると、おそらく△55歩と突くのではないかと思います。

以下、▲同歩△同銀▲56歩△66歩▲同銀△同金▲同角(うまくいきすぎな変化です。)

が狙いだと思います。実際にこうはならないと思いますが、後手の狙い筋として根底にあります。

一方的に攻められないようにするため、先手は▲35歩と突きました。

これを△同歩なら▲同銀△同銀▲同角と今度は先手が一方的に攻めてしまおうという意図です。

なので後手は同歩と取らず、△66歩▲同銀として、8筋の飛車先の歩交換を防いでいた▲77銀をずらし、△86歩▲同歩と突き捨てたあとに、△35歩と手を戻します。

”あなたにも指させてあげますが、私にも指させていただきますよ。”

そう会話しているような手順です。

「棋は対話なり」そんな言葉があります。まさしく対話をしているような手の流れに感じます。このような手が多く見られると評された棋士もまた米長先生でした。

米長先生の将棋の中には、「ここであなたはどう指しますか?そうですか、あなたがそう来るなら私はこうします。」と、そんな会話をしているように感じさせるような手順が多くあったという話を、米長先生の対局を見ていた時によく解説の方が話されていたのを覚えています。

将棋は、相手あってのものです。自分勝手な読みでは成り立たないことを教えてくださります。

 

次回に続く!チャオ!

 

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