其の四 矢倉らしい水面下の戦い。 藤井聡太六段の二度目の連勝をくい止めた棋士、井上慶太九段。継ぎ歩と垂れ歩の力。



相手のいいなりにはなりません!

「棋は対話なり」という話を書いて、そのような手順の応酬が続きます。

前回までの局面を再度掲載いたします。

▲35歩を突かれてから△同歩と取り返すまでの間に、後手藤井六段は6筋と8筋に手を入れました。ただ単に相手のいいなりに応じるというのではなくて、自分もこうしたい、という主張をした感じです。この手が入っていることで将来得するということなのでしょう。その効果がどう現れるか・・・

 

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流れるような手順

▲同 銀 △同 銀 ▲同 角 △8六飛▲8七歩 △8五飛

先手は▲35銀から銀交換をしていきます。その結果▲35同角と飛びだした角が、▲71角成りと、馬を作りつつ、飛車取りの先手に成る手を狙っています。この瞬間、飛車を△86飛車と走ります。

まるでこの飛車走りを見越したような、△86歩の突き捨てでした。この△86歩を突き捨ててなくて、▲35角と出られた後では、△86歩に対して▲同歩と先手は素直に取ってくれません。一旦▲71角成りと成られた後に、▲86同歩と取られたら、馬を作られただけ損してしまいます。

この△86同歩を、▲35同歩と突かれて、△同歩と取り戻すまでの間に指したことがすごいんですよね。ほんとにちょっとしたところなんですよね。

 

角成りを誘ってる?

もっと驚いたのは、当然の▲87歩の受けに対して、私は△81飛車と引くのだろうと思っていました。そうすれば手順に角成りを防いで、まさに流れる水のようです。

しかし、指されたのは△85飛車でした。・・・・(唖然)

▲71角成りはどうするの?

・・・

・・・

一瞬分からなかったんですが、成られた後のことを想像していておぼろげながらわかりました。

間違っているかもしれませんが参考までにお示ししますと、

▲71角成△62銀(銀交換したから銀持ってるじゃん)▲61馬△51金 馬捕獲ミッション完了!

△51金のところですが、最初△81飛車と引いてもいいのかなって思ったんですが、それだと▲72銀と打たれて、△同銀▲同馬で逃げられてしまいます。興味があれば是非盤に並べてみてくださいませ。

 

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もうひとつの気になる変化

実は、この△85飛車と当てた局面ですが、盤に並べて考えているうちに、一つ疑問が生じたので、書かせてもらいます。

それは、

「△35歩と歩を取り返す前に、なぜ△85歩と継ぎ歩をしなかったのだろう?」

という疑問です。

もし仮にですが、後手が△85歩と継ぎ歩をした時に、先手が▲同歩と取ったとして、同様に進んだら次の図のようになります。

うん、大成功です!

しかしきっとこうはなりません。△85歩の継ぎ歩を先手は▲同歩とは取らないのだと思います。ではどうするのか?

・・・(思考中)

 

継ぎ歩を甘んじて受けて反撃を期す

△85歩▲34歩△86歩▲88歩(下図)

先手は継ぎ歩をさせて、▲88歩と受ける。これで結構先手陣はしっかりしているのだと思います。対して後手にとっては、次の▲35銀をぶつけての銀交換と、もうひとつ厳しい手があります。

それが、▲24歩△同歩▲25歩△同歩▲24歩

です。継ぎ歩と垂れ歩のコンビネーションです。次に▲25飛車と走ると、角頭の受けがありません。

これが継ぎ歩の威力です。

先手は、もしかするとこの手順を誘ったのかもしれません。継ぎ歩を甘んじて受けて、その実、反撃を狙うという深謀遠慮の手だったのでしょうか。

表には出ない細かな変化がたくさんあります。まさしく矢倉らしい、水面下の戦いが垣間見られた気がします。

 

続きは次回に!チャオ!

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