其の五 継ぎ歩と垂れ歩に見る矢倉と雁木の違い。 藤井聡太六段の二度目の連勝をくい止めた棋士、井上慶太九段。



盤に並べる気持ちよさ

記事の回数は今回で5回目になりますが、変化手順ばかりで本譜手順は一向に先に進まない、そんな状態で申し訳ないと思いつつ、しかし一見単純に見える変化の中に、切り捨てた変化が無数にあり、その中で興味がある変化を考えるのはとても楽しいものですね。

この変化を盤に並べると、楽しいですよ。私は、この時盤で並べるのが大好きです。変化を並べたあと、本手順に戻る時、「一体どこまで並べてたんじゃーーーッ」って戻る局面を忘れてしまう時があります。

今はパソコンがあるので、簡単ですが、昔は、慣れるまでは2個盤を持ってきてやってました。変化用の盤と本手順用の盤。慣れてきたら1個の盤でできるようになるのですが。

おもしろいのは、パソコンが進んできた今でも、盤に並べる時は、楽しくなります。やっぱり駒を触るのが好きなんですね。書体とか見ていて飽きません。またまた脱線して今度は戻ってくることができなくなってしまうので、駒についてはまた別の記事にしたいと思います。

前回までの局面を再度掲載いたします。

角を成ってもいいよっていう手ですね。しかし、成ると馬を捕獲されてしまうことは前回記事で書きました。

なので、成りません!”ならぬことはならぬものです。by 会津什の掟”

 

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手番を握った先手の次なる攻めは?

▲4六角 △6四歩 ▲7七桂 △8一飛

先手、角を46の好所に引きました。この角の位置はかなり良い位置です。これに対して△64歩と受けました。せっかく交換した歩を打たされた感じがして後手としては不満な感じがします。

▲77桂馬と跳ねて飛車を5段目から引かせます。これは何かの時に飛車を2筋方面に転回されないようにしたものと、玉側の桂馬の活用を図る手で、先手としてはかなり気持ちがいいのではと思いました。

後手が▲81飛車と引いた後、先手に手番が回りました。

 

継ぎ歩と垂れ歩に見る矢倉と雁木の違い

▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2三歩 ▲2八飛 △4五銀▲3五角 △3四銀 ▲2六角 △3五歩

「どうして?」って思いがしてなりません。

”なぜ、先手は垂れ歩と継ぎ歩をしなかったのだろうか?”

飛車先の歩交換をしただけで終わってしまいました。欲が無さすぎではないでしょうか。

▲24歩△同歩▲25歩△同歩▲24歩(下参考図)

これで先手は歩切れになるかもしれませんが、それを差し引いてもすごく良いのではないかと思います。少なくとも、先手が攻める展開で後手が受けるのに苦労するのではないかと思っていたのです。

ここから後手が受けるとしたら、△26銀、△36銀、△34銀、△44角、(他にもあるかも)とあると思いますが、どの手がいいのかはわかりません。多分いろいろな変化があってどれも一筋縄ではいかないのだと思います。

矢倉の方が優れていると思う理由の一つに角頭の守りの強さがあります。そもそも矢倉の場合、最初の▲24歩を33にいる銀で同銀と取ることができるので、継ぎ歩とか垂れ歩の変化を極力回避できるようになっているのが良い点です。

いわば矢倉は、継ぎ歩や垂れ歩の厳しさを知っているからこそ、それを前提にした陣形だとも言えるかなと思います。雁木の場合、角頭が無防備です。この継ぎ歩と垂れ歩がどれだけ厳しいか見極めることが雁木を指す上で生命線ではないかなと思います。

後手△45銀から巧妙に角を追って、継ぎ歩と垂れ歩の変化を消してしまったように見えました。

何となく、落ち着いた感じの局面に見えますが、先手が銀を手持ちにしていて持ち歩が多い点や、後手の攻めの銀があまり働いていない点、先手に手番がある点などから、先手に分がある局面と思います。

続きは次回に。チャオ!

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