其の六 銀は引く手に好手あり。2回連続の銀引き! 藤井聡太六段の二度目の連勝をくい止めた棋士、井上慶太九段。



後手守備の構え。銀を角頭の守りに配置する。

前回までの局面を再度掲載いたします。

後手が△35歩と打って、何となく落ち着いた感じの局面に見えます。後手は、先手の角と飛車を抑え込んでいきたいところですが、持ち駒の銀を投入してしまったので、攻め駒が不足しています。先手は逆に銀を手持ちにしており、歩も3枚と豊富です。この後、先手はどのように攻めを組み立てるのか注目です。

 

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銀は引く手に好手あり。引いて引いた銀。

▲5七銀 △6五桂▲6八銀 △7七桂成 ▲同 銀

「銀は引く手に好手あり」と格言にありますが、それを地で行くような、先手の▲57銀と引いた手がすごくやわらかくていい手だな~って感じました。この銀を引いたことで、▲46銀から▲35銀と出る手も視野に入れていて、後手が催促されている感じがします。受けにおいては、次に▲66歩を打たれると、後手からの△22角を活かした攻めが効かなくなりそうです。

後手は△65桂と桂交換を挑みました。▲同桂と取ると、手順に△65歩と歩が伸びてくるため自分から取りにいけません。しかし、これまたやわらかい手が出てきます。連続して二度目の銀引き▲68銀です。攻めると見せかけて、受けに活用する。老練な手順ですね。

△77桂成▲同銀とした手がとてもしっかりしています。矢倉の形が構築されました。

 

削るような攻め

△6五歩 ▲4六桂 △4五銀▲3五角 △3四歩 ▲2六角

後手の△65歩は、角道を先手陣への直射を確保する手です。やはりここが急所なのですね。

先手は▲46桂としましたが、△34銀を動かさないと、先手の角と飛車が働きません。この桂馬に対して、後手は銀を逃げますが、その時浮いた△35歩を角で取られて先手の角道が再び通りました。△34歩と打たれて▲26角と引きました。

この一連の手順で、余り局面が動いていないようにも見えますが、先手井上九段の巧みな攻めが底光りしています。というのは、後手の持ち駒を見ると歩がありません。先手の持ち歩は4枚になり、角道も通りました。

派手な攻めばかりが攻めではなく、こうして相手の体力を削るような攻めも攻めなんですね。勉強になりました。

 

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なぁぁんと。なぜ竜ができた?

△6六桂 ▲6八金寄 △8七飛成

と、先手の余裕のある攻めに感動していましたら、「あれッ?」っていう局面が出現しました。

飛車が成られた?それともわざと成らせた?

この局面を見て、先手が指しやすそうだという印象は全くなくなってしまいました。ほんとにまるで霞のように消えてしまいました。雲散霧消です。

後手の歩切れが解消されたこと。後手に竜ができたこと。

こうなるともはや私の目には後手優勢に見えます。

△66桂馬に対して▲88金と寄れなかったのでしょうか?仮に寄れなかったなら、それまでの手順の中で、竜を作る手順を回避することはできなかったのでしょうか?

それとも、もしかしてもしかして、竜を作らせても先手が優勢であるということなのでしょうか?

頭が混乱してきました。

続きは次回に。チャオ!

 

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