其の七 心強い自陣竜。 藤井聡太六段の二度目の連勝をくい止めた棋士、井上慶太九段。桂頭を攻める巧妙な手順。



なぜ竜が?

前回までの局面を再度掲載いたします。

わざと竜を作らせた、と言ったら驚くでしょうか?普通驚きますよね。攻めのゴールの最終的な終着点は玉をとることですが、その前の段階で目指す場所が、飛車を敵陣に成りこんで竜を作ることではないでしょうか。

わざと竜を作らせるというのは、どう考えても私の理解の範囲を大きく超えています。びっくりです。

 

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後手、心強い自陣竜!

▲8八歩 △8二龍 ▲3七桂 △4六銀 ▲同 歩 △4四角

先手当然の▲88歩です。△89竜と入られたら、ぞっとします。”馬は自陣に、竜は敵陣に。”と言いますが、敵陣に侵入されたらひとたまりもありません。

とはいっても、竜はやはり強い駒です。自陣に居て守備にも絶大な力を発揮します。また飛車の斜めに弱いという弱点がありません。ある意味完璧な駒です。これが一枚自陣にいるだけで、どれだけ後手玉が安心することか。超心強いです。

しかし▲88歩の一手で自陣に竜が帰ることを見越していたのであれば、やはり竜を作らせる変化に井上九段は自分から踏み込んだのではないでしょうか。だとしたらすごいとしか言いようがありません。

 

攻め駒を蓄える手順。

▲37桂はすごく味のいい手です。遊び駒を活用して、銀取りをかけ後手の守備銀の進退を聞いています。後手は、銀桂交換をして、角もぶつけてきます。攻め駒をどんどん蓄えようとしている手です。

藤井六段の棋譜で凄味を感じるのは、この攻め駒を増やしていく手順だと私は思います。総攻撃に入る前に、どんどん駒台に攻め駒を貯めておく事前準備。

それでいて自陣の弱点も消しています。おそらく先手の狙い筋は、5筋なのではないかと思います。53の地点に駒を集中させて攻め込もうとしていて、その主役となる駒が▲26角なのだと思います。

だから後手は根本からそれを消しさろうと△44角のぶつけを行ったのだと思います。しかし、この手を先手は逆用していきます。ある意味△44角のぶつけから始まったつばぜり合いが、波紋として広がり局面が動いていきます。

 

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桂頭に空間をつくる巧妙な手順

▲3三歩 △同 桂 ▲3五歩 △5一玉 ▲7九玉 △3五角▲同 角 △同 歩

▲33歩は鋭い手だと思いました。この歩を手抜けば王手で金を取られてしまいます。なので対応が必要なんですが、さてどうしたものか・・・。△33同金と取ると、▲45桂と跳ねた手が金取りでかなり味がいいです。次に▲53銀打ちとかされると、後手の危険度は格段に上がります。

△33同桂と取りました。これが自然な取り方だと思いますが、▲35歩と指した手が秀逸な一手で、私は一秒たりとも浮かびませんでした。ここで後手は自玉の危険度を下げるために△51玉と逃げました。早逃げです。先手は歩を▲34歩と取りこむのかなと思って見ていたので意外でした。

仮に▲34歩と取りこむと△36歩と攻め合いに持ち込まれるのが厭だったのでしょうか?複雑すぎて分かりません。しかし、先手もお付き合いして▲79玉の早逃げでした。この辺は呼吸というものなのでしょうか。

結局後手から△35同角と取りました。先手も▲35同角と取りましたが、その結果、桂馬の頭に空間が出来ました。きっとこれが大きいんですね。

さて、ここから先は危険なにおいがプンプンします。

続きは次回に。チャオ!

 

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