其の九 狙い澄ました自陣角。 藤井聡太六段の二度目の連勝をくい止めた棋士、井上慶太九段。金底の歩、岩より堅し。



やわらかな飛車浮き

前回までの局面を再度掲載いたします。

飛車を逃げるのに、▲29飛車とか▲26飛車とかもあると思いますが、いずれも飛車を攻められて飛車の動きが窮屈になってしまい、下手すれば取られてしまいそうです。この▲25飛車は▲65飛車の転回を見せて先手を取っています。

この位置に逃げる変化を作るための▲79玉寄りだと思うとすごいなと思います。もし玉寄りがないと▲36飛車の王手飛車がかかってしまいます。まさに深謀遠慮。

 

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狙い澄ました自陣角!かっこいい。

△5五桂 ▲同 歩 △3四角

敵もさる者です。この浮き飛車に対する対抗策を用意していたかのような手順です。

まず△55桂打ち。

この手は、単純に▲65飛車の転回を防ぐためだけだと指された瞬間は思いました。単なる犠打だと。しかし、▲55同歩に対して次の△34角打ちが狙い澄ました自陣角です。

そうなんです、自陣角なんですよ。わたしこれだけで本望です。この気持ちは私の記事をお読みくださてっている読者の方には伝わってくれているかと思います。

この手の狙いは、飛車取り。・・・だけではないですね。真の狙いは△67角成の切りこみです。

▲67同金に△78金の王手で詰みです!

実質、王手飛車と同じくらいの手です。

これだから藤井六段の将棋は最後の最後まで目が離せません。

 

飛車角交換の攻防

▲4五飛 △4四歩▲2六桂 △4五角 ▲同 歩 △4七と

飛車をただで取らせるわけにはいきませんから、▲45飛車と逃げます。しかし、ここで△44歩と突いた手が、飛車をあわよくば歩で取ろうという手です。

根本の角をどうにかしなくてはなりません。また、少なくとも飛車は角と交換したいのが人情です。そのためには角取りに何か駒を打たなければなりません。そんな思いから▲26桂馬と角取りに打ちました。

後手は、△45歩▲34桂△同金となるのは、桂馬を一枚多く手に入れることはできますが、守りの金が上ずって守りが薄くなる上に、後手を引いた感じがしますので面白くないと思います。

なのでその▲26桂馬に肩透かしをくわせて、△45角と飛車を取りました。なので先手の桂馬は▲26に残ったままです。

 

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金底の歩、岩より堅し

飛車を持ったら敵陣に打ちこみたくなるのが人情です。私は、△29飛車と打ちこみたく思っていました。王手桂馬取りです。二枚目の自陣竜を作り、ほとぼりがさめるまで受けに回るというものです。

しかも今なら、先手は歩切れですので、▲69歩と金底の歩を打つことができません。ここで何か持ち駒の銀や桂馬を歩のかわりに打ってくれれば、それだけ先手の攻め駒を減らすことができます。

ちなみに「金底の歩、岩よりかたし」この言葉、底歩のことを言っていますが、はじめて聞いたときから、とてもぴったりな表現だなって思っていました。

金と歩、たった二枚の組み合わせが、二枚飛車の攻めさえシャットアウトできるくらいの堅い防波堤になることは、自分が攻め手になったとき嫌というほど味わいました。

なので、攻める側が底歩を打たれる前に攻めるのは攻めの常道だと私の心の中では鉄則になっています。

しかし指された一手は△47とです。

うーーーーーん。(理解不能)

とにかく先手に歩が入る前に飛車を打ちこみたーーーーーい!

 

次回に続く。チャオ!

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