藤井聡太七段19連勝ならず。近藤五段の華麗な寄せ。二枚の馬の強力な破壊力。



次に厳しい手を指せ

藤井聡太七段19連勝目前にて及ばず。自陣の3段目に桂馬を打つ腰の入った攻め。の続きです。

前回の局面は藤井七段が自陣の3段目に桂馬を打って、腰の入った攻めを繰り出そうとした局面です。

この桂馬のなんと不思議なことか。当初▲37から跳ねて、一旦盤上から消えて持ち駒になったにもかかわらず、一升左に寄っただけなのに、まったく印象が違います。なんかもったいない気もしますが、『次に厳しい手を指す』という基本原則に沿っているんですよね。

Sponsored Links

玉の早逃げ

△3二玉▲2三歩 △1三銀 ▲3四歩・・・①

玉を早逃げした後手ですが、先手は▲23歩と叩きます。これを同玉では一歩と一手を交換したようで損なので、同銀ととるか銀を逃げるか?

後手は△13銀と逃げましたが、この一手で守りの銀の効力を無効化してしまいました。かなり大きな一手と思いました。継続手の▲34歩は凄まじく厳しい手に見えます。なんせ、金がもう一枚あったら、即詰みです。なので後手は駒を渡せません。

これが、先に拠点を作ることの意味なんですね。勉強になります。

激しい攻め合い

△9八歩 ▲2二歩成 △同 銀 ▲3五桂 △9九歩成 ・・・②

これ、同香と一回でも歩を取るとダメだったのでしょうね。取りたくなってしまいますが、△99歩成が王手にならない分だけ、速度を重視する分には有利ということなのでしょうが、いきなり玉の守りの香車を損するのはかなり痛いです。

途中、▲22歩成とした手が私には理解不能な手でした。せっかく銀一枚守りを無効化できたのに、どうしてわざわざ駒を守りに活用させるような手を指したのか・・・・。単に桂馬を跳ねた方が得だったのではないか、って思いました。

Sponsored Links

強引に飛車を成る!

▲2四飛 △2三歩 ▲同桂成 △同 銀
▲3三金 △4一玉 ▲2三飛成 ・・・③

龍を作りたかった。この一言に尽きるのでしょう。桂馬で歩をむしって、金を打って龍を作ります。強引な手順に見えました。先ほどの局面で、▲22歩成と成り捨てずに▲44銀と出れば十分だったのではないかって思いましたが、やはり竜を作るの本筋なのでしょう。

後手反撃に転じる

△8九と ▲同 玉 △5一玉 ▲2一龍 △4一桂・・・④

後手は、一旦王手で89の桂馬を王手でとります。しかし大きいのはこの手によって▲89に玉が落とされたことではないかと思います。この後の手順でわかりますが、△77桂不成が王手になるのです。しかもお代わりをくらってしまいます。

龍の攻めに後手ひたすら逃げる

▲4三銀 △7七桂不成▲同 金 △8五桂 ▲4二金・・・⑤

龍を右辺から活用して先手は執拗に後手玉を追いかけます。しかし、後手は左辺が広いです。

後手飛車の強靭な守り

△6一玉 ▲5二銀成 △7二玉 ▲6二成銀 △8三玉
▲7二銀 △同 飛 ▲同成銀 △7七桂不成・・・⑥

ここまでの手順で、最も印象に残ったのは、後手の△82飛車です。この飛車は全く攻めにも受けにも働いていなかったのですが、居飛車の思想で、『居飛車は元居た飛車の位置が、飛車が最も働く位置』ということで、この飛車が守りに働きます。

後手△83玉と逃げますが、斜め駒銀の王手に対し、同飛車ととります。この時取り返した駒が王手にならず、手番を後手が握ることができました。ここから待望の反撃△77桂不成がさく裂します。

八方睨みの66馬

▲8八玉 △7六桂
▲7七玉 △6六銀 ▲同 銀 △8八角 ▲6七玉 △6六角成
▲5八玉 △6七角 ▲4七玉 △3六銀 ▲3八玉・・・⑦

ここから、後手の攻めが途切れません。連続王手で先手玉は右辺まで逃げ伸びます。ここまでの手順で印象に残った手は、66に馬を配置できるようにするため、先に△66銀▲同銀を効かせてから△88角を打った手です。この66の馬が起点となって攻めが続きます。

因みに△36銀を▲同玉と取ると、△45角成▲25玉①△35金▲24玉△34馬。

①で▲25玉ではなく▲26玉だと、△24香▲同龍△27金▲25玉△36銀。

①で▲25玉ではなく▲37玉だと、△45馬▲47玉②△46香▲58玉△48香成▲同玉△47銀▲同玉△46馬左▲58玉△47金▲67玉△77金。

②で▲47玉ではなく、▲38玉に対しては、△37銀▲同金△同馬▲同玉

△35香▲26玉③△27金▲25玉△36馬▲24玉△13金。

③の▲26玉ではなく、▲28玉は△37金▲17玉△27金▲同龍△同馬。

③の▲26玉ではなく、▲48玉は△38金▲58玉△68金▲47玉△37香成。

主要な変化はこんな感じで詰むかと思います。

後手華麗な収束

△2七銀打
▲同 龍 △同銀不成 ▲同 玉 △4五角成 ▲3六金 △同 馬
▲同 玉 △3五歩 ▲2五玉 △2六金・・・⑧

華麗な収束ですね。投了図から▲同玉は△36金▲25玉①△26飛車で詰みです。①で▲25玉ではなく▲17玉だと、△27飛車▲18玉△17香。

駒が余りません。お見事です。

最後、手番を得てからの近藤五段の攻めは全く途切れることなく滑らかでした。となると、先手藤井七段の攻めの急所が微妙に外れていたのでしょうか。

19連勝の記録更新を見ることができなかったのは残念でしたが、手に汗握る攻め合いの将棋をみせてくださってありがとうございました。

とても素晴らしい将棋でした。藤井七段のまた別な歴史的記録更新と、近藤五段のこの一戦に勝って自信をつけ波に乗っての御活躍を祈念しております。(#^.^#)

前の記事:藤井聡太七段19連勝目前にて及ばず。自陣の3段目に桂馬を打つ腰の入った攻め。

次の記事:相矢倉ならぬ相雁木。中学生プロ棋士の先輩渡辺明棋王に挑む藤井聡太七段朝日杯連覇をかける。

棋譜一覧表を表示する

藤井聡太七段の順位戦連勝記録を止めた男、近藤誠也!』に戻る

Sponsored Links