其の七 終盤入口のねじり合い、馬の守りは金銀三枚。久保王将の迫力の寄せ対藤井聡太四段の鉄壁の守り。



飛車を捨てて、成桂を突進する先手!

前回の局面はこの成桂と飛車の両取りを後手の自陣龍でかけられたところです。ここが分岐点ですかね。

▲5三成桂 △7四龍 ▲4二成桂 △同 金
▲2五香 △3三馬

▲53成桂は、飛車を取らせても、成桂が働き、後手玉の守備駒を剥がすことができれば勝負になるとみての決断の一手ですね。その結果、後手玉の守りは金一枚になってしまいました。

先手傘にかかって攻めこみます。手始めは、25香車うちです。何としても▲26桂馬を跳ねたい!です。

この桂馬は攻めの急所の駒なので、この駒が働いてくれるかどうかが先手の生命線です。後手は△25金とただでとれる香車ですが取れないところです。まるで毒饅頭のような香車です。

後手はこの猛攻を支えきれるかって不安です。持ち駒を見ても、守りに適当な駒がありません。うん、援軍こない・・・って思っていたら。

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やっぱり自陣に馬引きは最高にかっこいい!

△33馬と自陣に馬をひきました。

これです。この馬の自陣への引きつけ。私はこの馬ひきが大好きです。馬を引いたあとの美しい陣形は、なんとも言えないものがあります。

馬の存在感は半端無いです。馬の守備力は金銀換算で3枚分に相当すると言われます。

かっこいいです。

遠くから玉を守るために、帰ってきてくれて、しかも、超頼り甲斐がある。さらに守ってばかりではなく、敵陣にプレッシャーをかけ続けて、反撃のリスクを減らしてくれるという。

最高です。馬ひき。

自陣龍は、確かに強いんですが、なんか、似合ってないというか。やっぱり馬だといいんですよね。

馬を見て思いだすこと

昔、将棋を覚えたての頃に、香車をとって、隣の桂馬も取りたくてとったら、そこで桂馬の駒得に行かずに、馬を自陣にひきつけることができれば強くなる、と師匠に言われたことがあります。

桂馬を一枚得することは、桂馬一枚の得でしかないが、馬を引きつけて、守備力を高めて、相手の手を封じることは、桂馬一枚の得に勝る、その判断が出来るようになれば、更に強くなると、そういう意味だと後になって理解しました。当時は、そんなことは全く理解できず、目先の利益しか見えませんでした。

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金底の香車、岩より堅し?

▲2四香 △同 馬 ▲5一銀 △3二金
▲4二金 △3一香 ▲4一金打

▲24香車に、同馬。この瞬間、後手の金駒は金一枚です。残りは全て先手が持っている勘定です。先手は大駒がないかわりに金銀を7枚持っていることになります。

さて、先手はどこから手をつけるか。

やっぱり敵金を狙って攻めますが、遠いです。▲51銀です。角なら近く感じますが、銀です。当然先手は、金を逃げて、△32金です。その△32金をしつこく狙って、▲42金です。

この金取りは損ではないか?なぜなら遠く24の馬が効いているので、同金同銀成同馬と清算されてしまうと銀を一枚損してしまうのではないか、とそう思いきや、そこで34桂跳ねが王手馬取りになる仕掛けなんですね。そこまで読んでるから損はしないんですね。すごいです(-_-;)。

そうなると、角が取られてしまい、桂馬を得しても、割に合いません。こんな玉の守りが薄い状況で、大駒の角を渡してしまったら・・・。なので、清算はしません。

後手は、△31香車と打ちました。堅いです。金底の歩岩より堅しと言いますが、金底の香車もなかなかどうして。香車の守備力は、強いと思う瞬間がありますが、金底の歩を連想させるからでしょうね。

しかし香車の場合、歩とは違って反撃の含みもありそうです。この場合もそうです。香車の効きが34の地点まで間接的に効いています。桂馬を安易に跳ねることができません。

久保王将、1段目に金を打つ迫力の寄せ

こうやって受けるものなのだな〜と感心してみていると、▲41金打の超重い打ち込み。この打ち込みをみて、なんかすごい迫力を感じました。

というのは、一見して、重い、の一言です。指す人によっては納得もします。しかしですよ、指した棋士が軽いさばきの代名詞、久保王将なんですよ。

全くイメージがつきません。

そんなところからでしょうか、この金打ちには、執念というか理外の理というか、そんなオーラを感じました。

終盤入口でのねじり合い、続きは次回に。チャオ!

前回の記事:其の六 中盤のねじり合い、飛車角の攻め対小駒の攻め。久保王将の中飛車対藤井聡太四段の急戦。

次回の記事:其の八 藤井聡太四段、自陣角で美濃囲いの急所を攻めつつ必死の防戦。

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