羽生永世竜王の谷川先生に対する謙虚な姿勢が素晴らしい。



将棋の羽生さんが永世竜王を獲得した12月5日から、早くも10日が経ちますが、未だ興奮冷めやらぬといった状況からでしょうか、NHKBSプレミアムで1時間にわたり「激闘!第30期将棋竜王戦ダイジェスト」と題した番組が放映されました。

番組の構成は、渡辺明竜王に挑戦する一連のシリーズについて、開催された場所の風景や、歴代竜王である佐藤康光九段や藤井猛九段のこの対局に対するコメントが収録されていました。特に印象的だったのは、対局後の羽生さんのコメントでした。

 

もしかすると最後のチャンスかもしれないという気持ちで臨んでいました・・・

 

この言葉を聞いた時、一ファンとしての寂しさも感じましたが、羽生さんの自分に対する厳しい姿勢というものを感じました。将棋だけでなく、自分の人生に対しても大局観をお持ちなのだな、と。

 

一人の人間として、人生にはビッグチャンスはそうそうあるわけではないと思います。そんな自分に与えられたチャンスに、一生懸命最善を尽くして当たる。その必死さと潔さに感動しました。

 

この番組の構成の面白さは、竜王戦5局の紹介については、羽生さんに実際に登場してもらって、しかも、谷川さんが聞き手でと、羽生さんと谷川さんと二人で第5局を振り返るという。

なんとも将棋ファンにとっては最高のおもてなしではありませんか。

 

谷川さんは、羽生さんと将棋界の一時代を築いた大棋士中の大棋士です。谷川時代から羽生時代にバトンを譲ったという歴史をみると、この二人が、永世竜王獲最後の第5局を振り返るというこの場面は、おそらく伝説になると思います。

この番組を見ていて、なによりも素晴らしいと感じたのは、羽生さんの谷川さんに対する姿勢です。

それはこんな場面からでした。

 羽生さんと一緒に第5局を振り返る時の最初の一場面。谷川さんが羽生さんに、自分と羽生さんがツーショットで映っている姿について、

谷川さん:ちょっとこういう絵は珍しいと思いますけども (笑

羽生さん:そうですね、初めてかもしれません(笑

谷川さん:今日はちょっと聞き手をつとめさせていただきます

羽生さん:いいえ、とんでもありません(恐縮

あと、大盤解説中に、手順が一気に進められるシーンがあるのですが、先手の持ち駒と後手の持ち駒をわける時、後手の持ち駒を整理していた谷川さんに、羽生さんが駒を渡すシーンがあるのですが、しゃべらなくても「お手を煩わせますが置いてください」という感じで頭を下げていた羽生さんの姿が、なんとも言えませんでした。

雰囲気を伝えるのが難しくて残念ですが、実際にご覧になられた方は共感してくださる方もいらっしゃるのではと思います。

 

普通、人は何か他人ができないような偉業を果たしたり、業界で自分が頂点に立ったりすると、尊大になってしまうところがあると思います。この気持ちは歴史をみても人間の本能のようなものなのかもしれません。人は驕ったら終わりとは先人の教えるところですが、逆に言えば驕らないことのむずかしさを示しているとも思います。

羽生さんは今や棋界の第一人者であり、歴史的大棋士に列せられることは間違いありません。

そんな羽生さんの谷川さんに対する謙虚さを失わない接し方や態度を見ていて、なんと素晴らしい人物かと感動しました。

将棋は礼に始まり礼に終わると言われます。強さだけではなく、人を心服させる徳のようなものが羽生さんから伝わってきます。

このような番組を作ってくださってありがとうございました。

自分なりに棋譜を並べて感想を記してみましたので興味のある方は読んでやってくださいませ。

第一局:羽生永世竜王誕生 竜王戦第一局を将棋盤で並べてみた 主人公は馬?

 

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