矢倉の柔軟性を知る
今回の記事は、矢倉が好きな方で、矢倉を指しているけれど勝率が伸びないという方に対して、参考になればと思い書きました。
臨機応変に形を変える矢倉城についてです。
将棋をはじめたての人が知る戦法の一つに、矢倉戦法というのがあります。
矢倉というと、囲いの形が有名なので、その形だけを真似ようとすると思います。
『形だけ真似てもしょうがないでしょ!』っていう人もいますが、形を知ることは重要です。
矢倉は、指していると、いろいろな形に変化していきます。その中で現れる形の中に覚えておいて損しない形があります。
矢倉を表現する形容詞
矢倉を表現する形容詞と言えば、『堅い』という表現よりも、『厚い』って表現がぴったりくると思います。
これは初心者の方にはあまりしっくりこないかもしれませんが、矢倉に指し慣れてくるとなんとなく実感すると思います。
矢倉は厚みを学ぶのに最適ということを『先生が私に矢倉戦法を勧めた理由とは、厚みを学ぶことができるから。』で書きました。そのくらい矢倉は手厚い囲いです。しかし、堅い囲いにもなるのです。
手厚いと堅い、どう違うのって疑問に思いますよね。ここでは堅いについて書きたいと思います。
矢倉が堅いと表現される形
矢倉の囲いで自分が一番堅いって思う瞬間は、この形です。

銀がなくなって、金が二枚縦に並んだ形です。この形、見るからに堅いと思うのですが、そう思えない人もいると思います。
この形がなぜ堅いのか?
ズバリその理由は、78金が取られたら、77金で取り返して、78の地点に常に金を置いておくことが出来るからです。
『矢倉を構成する金銀の重要度比較。78金、77銀、67金の守備力調査』の記事でも書きましたが、矢倉を作る金銀の中で、78金が最も大事な駒です。
この駒が取られても、78金が再形成される形が強いことは感覚的に伝わると思います。
つまり、大事な78金を取らせても、再度取り返したとき、78金の形になれば、耐久力があるのだということです。
この形は、『ここからは息を止めて、呼吸せずに攻め続けます』っていう、そんな意気込みの形です。グラップラー刃牙を読んでいる人ならわかると思いますが、無呼吸連打です。
この形になったら相手に猛攻をしかけることが出来ます。
だから、相手に対して攻め合って勝てるって思えば、積極的にこの形になるように進めていけばいいんです。
この形にどうすればなるの?
『そんな、簡単に言うけどさ〜、それが難しいんでしょう!』
って声も上がってきそうです。
はっきり言ってその通りです。
まさしくそこが腕です。
自分も悩んだから分かります。
なので、かける言葉があるとすれば、『実戦の中でコツをつかみ取れ!』となります。
ただ、それでは元も子もないので、私が最初に考えたことを紹介したいと思います。
強引に堅い矢倉を作る
かつて、この形がどう言う時に出現するのか、そんなことを考えたことがありました。

この局面を見てもらうとわかりますが、この時、普通、銀は逃げますよね。
ほぼ条件反射だと思います。駒得と駒損を意識していると、桂馬と銀は銀の方が価値が上であると刷り込まれていると思います。
しかし、局面によっては、銀よりも桂馬の方が価値が高くなる時があります。
この局面になったら、まず、『これ逃げずに居られるかな』って考えるのが一つの基準になります。
それこそ、この基準は実戦を重ねて手に入れるしかないです。
仮にここで、後手が、銀をとってくれれば、同金寄るとした手が、ぴったりです。
ほとんどの人が銀を、とってきます。
その時の、気持ちをどう持つかが大事ですね。
『あー、大事な、銀が取られた!』って思うか、
『俺に桂馬を渡したな!』って凄むのか。
この辺が銀を逃げるかどうかを判断する基準になると思います。
まとめ
矢倉には、戦いの流れの中で、堅い囲いになることができます。
その堅い囲いにタイミングよくできるのかどうかが、矢倉で勝利をものにできるか否かの鍵です。
矢倉の攻め合いで負けてしまうって方は、この形を出現するような展開にもっていくことを考えてみたらいかがでしょうか?
これまでの矢倉とはまた違った手ごたえを感じることができるかもしれませんよ。