先手矢倉対後手雁木。増田四段が現代に蘇らせた雁木の優秀性を感じた一局。前編



2017年9月12日の新人王戦の対局です。対局者は先手が斎藤慎太郎七段、後手が増田康宏四段です。

斎藤七段の先手矢倉に対し、後手増田四段は雁木の駒組み。雁木を現代に蘇らせた棋士である増田四段がどのように先手矢倉と対するか。先手矢倉に対する雁木の優秀性を感じた局面があったので記事にしてみました。

この局面までの参考手順を下記に示します。

▲2六歩 △8四歩 ▲7六歩 △3二金 ▲7八金 △8五歩▲7七角 △3四歩

相掛かりの出だしから、横歩取りにもなりそうでもありますが、この局面では角換わりにも見えます。

しかし、後手が角道を止めて変化します。ここからうそ矢倉と言われる形で、後手が矢倉を目指したい時に用いられました。しかし、この形を目指しにくい理由として、先手に飛車先の歩を切られてしまうというデメリットがあったと思います。

▲8八銀 △4四歩 ▲2五歩 △3三角

角を使って24歩の交換を防ぎますが、先手に79角と引かれると、飛車先の歩交換と抱き合わせて角交換までされてしまって、先手が有利と考えられていたと思います。実際に本譜でも先手は角を引いてきました。

▲4八銀 △4二銀 ▲5六歩 △4三銀 ▲6八角

ここから、囲いあいが進んでいきます。

 △6二銀▲3六歩 △5四歩 ▲6九玉 △5二金 ▲3七銀 △4二角

ここで、角交換に行けないとおかしいのではないかと思います。△4二角と引いた手を無駄にするためにも、ここで▲2四歩とついて行けば、角交換と飛車先の歩交換を実現できると思います。

しかし、角交換して△2三歩▲2八飛車とした後、8筋から交換されてしまって、飛車先の歩交換を後手にも許してしまいます。なので、ここで▲2四歩と行かなかったのかな、と思いました。

▲7七銀

実際に銀を上げて、後手の飛車先歩交換をふせぎました。矢倉のメリットは、77銀と銀で飛車先歩交換を防ぎつつ、玉の囲いの守りにもなる点です。逆に雁木は、飛車先の歩交換をふせぐには金を上げるしかありません。形が悪くなるため、歩交換は最初から甘受しています。

△7四歩 ▲5八金 △7三桂 ▲6六歩 △4一玉▲6七金右 △6四歩 ▲3五歩 △同 歩 ▲同 角

先手は、角で3筋の歩を交換して、攻めの理想形を作ろうとします。

△6三銀▲3六銀

こんなに簡単に36銀形をつくらせてしまっていいのか?って矢倉党にはびっくりすると思います。私は、かなり(@_@;)状態です。

矢倉を指す人にとって、気付いたら作戦負け、という矢倉戦ならではの特徴を骨身に知っていることと思います。矢倉の序盤は、36銀の理想形をつくらせないことを水面化で争いながら進められてるといっても過言ではありません。

なので、そんなに簡単に36銀形を作らせて、一方的に攻められてしまう展開になってしまうのではと、はらはらして見ていました。

すると、やはり反撃していきます。

6筋から仕掛けていき、桂馬で銀に当てて、薄くなった8筋の歩交換を実行します。矢倉で77の銀は、先ほどのメリットの反面、桂馬の効き筋になってしまうという点がデメリットです。

△6五歩 ▲同 歩 △同 桂 ▲6六銀 △8六歩▲同 歩 △同 角 ▲8七歩 △6四角

▲8七歩と角を追い返しますが、これを打たないと、△6四角と飛車取りに引かれた時、飛車を逃げると、△8九飛車成りと成りこまれてしまいます。手順に△6四角と飛車取りに逃げます。

▲5五歩 △8五飛

飛車取りを▲5五歩と防ぎます。後手は浮いた桂馬を守るために△8五飛車と浮きます。

 

この局面から、実際に先手はどのように攻めていくか?また後手はどのように反撃していくか?

続きは次回に!チャオ。

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