金を活用して、守るは攻めるなり!大山康晴十五世名人の受けの呼吸!



独特の寄せ

大山康晴先生対加藤一二三先生の対局の三回目の記事です。一回目は『大山康晴十五世名人の積極的な後手矢倉。玉飛接近の祟りを受け切る?』を、二回目は『いつの間にか逆転!大山康晴十五世の受け。守りの金が玉の退路を開く』をご覧くださいませ。

大山康晴十五世名人の受けが功を奏して局面は大山優勢のまま終盤戦に突入です。ここからの収束も大山流です。駒得で優勢になると、得てして油断してしまって逆転を許しがちです。しかし、ここからの寄せの呼吸も大山先生ならではの独特なものだと私は感じます。

前回までの局面を再度掲載します。

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守りの金を引きつけて先手をとる。一石三鳥の金寄!

▲6二と △同 金▲5一飛 △4一銀 ▲1八飛 △5二金

先手はと金を捨てて、守りの金を後手玉から遠ざけてから飛車を打ちました。先手陣内にいる飛車は今にも取られそうになっていますが、逃げていられません。速度が最優先される局面なのでしょう。

こういう局面で、自分も飛車を取って相手よりも早く寄せてしまおう、とは大山先生は多分なりません。『金持ちケンカせず』といいますか、悠然としています。丁寧にと金を払って、▲41飛車の王手にも、△41銀とがっちり受けます。

『この駒を惜しまず、大事なところはしっかり守る』という姿勢を感じます。この28の飛車を取るよりも自玉周辺の手を優先するところに表れていると思います。

こうまで丁寧に攻め合いを拒否されては、先手も飛車を渡すわけにはいきませんから、▲18飛車と逃げます。何となく根負けして仕方なく逃げた感じがしますね。

その飛車を逃げたあと、回ってきた手番を活かして、再び守る。それが△52金寄。一度”と金”で玉から離された金を再度戻す。守り駒を玉に近づけて先手の飛車を責める。そして金が寄ったことで、56の銀取りを防いだことも見逃せませんね。そうして見るとこの△52金寄は1手で3手分の価値があります。(玉の守りが固まる。先手を取る。銀取りを防ぐ)

玉の守りの金銀を丁寧にはがす

▲8一飛成 △6九銀 ▲2四歩 △同 銀 ▲8三角 △7八銀成▲同 玉

先手は仕方なく桂馬を取りましたが、後手は割打ちの銀で先手玉の守りを薄くします。

先手は受け一方ではまずいと嫌味をつけて▲24歩と突きます。これを△同歩と取るのは危険です。すかさず空いた23の空間に桂馬を打ち込まれると、玉の逃げ方によっては41の銀を龍でただで取られてしまいます。

居飛車の将棋でこの24歩(後手なら86歩)は、どう対応しても難しいですね。いわゆる急所です。ただ突かれただけでも厳しいのに、飛車がいつもの場所(▲28、△82)にいたら迫力が凄いです。

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守るは攻めるなり! わずかな角の動きが詰めろ

△5七歩 ▲6八金 △6七歩 ▲6九金 △5五角 ▲7七桂 △8二金

自玉が堅いので後手は安心してゆっくり攻めていけます。△57歩、△67歩と、歩で金頭を叩いていき、先手の▲69金に対して、再度角を55の天王山に据えます。これが何と△88金打ちの詰めろです。

角がたった一升動いただけでいきなり詰めろってすごいですよね。歩二枚と角しか使っていません。

先手は守りを厚くして▲77桂馬打つとしました。 持ち駒を打たずに単に跳ねるだけでは危ないとの判断でしょうか。

しかし先手が守りに桂馬を使ったので攻撃力が落ちました。

これを見越して、ゆっくりと敵の攻め手を潰していきます。その標的が先手の龍と角です。

△82金打ちです。

凄まじいの一言です。これが攻め駒を責める受けなんですね。『守るは攻めるなり』、ということでしょうか。

 

驚愕の角きり!強襲の一手!

▲4一龍 △同 玉▲7四角成 △1九角成

この△19角成を何とみるか?さきほど、46から55に詰めろをかけた後手の角が、いきなり香車を取って成りこんできました。普通なら、角と香車の交換であり、駒得を重ねて勝利をもぎとるという人が考える一手ではありません。

角を捨てて香車を取ったという手が余りにもびっくりで、言葉を失ってしまいました。

冷静に見ると、これは、香車がほしいというのではなく、先手の守りの飛車を無効化させるための手でもあることが分かります。もし▲19同飛車と取れば、飛車は守りにも攻めにも役に立たなくなってしまいます。

▲6一銀 △6三香 ▲5二銀不成 △同 玉 ▲6一銀 △4二玉 ▲6三馬 △1八馬

この▲61銀からの厳しい先手の攻めに対し、△63香は反撃ぶくみの一手です。先手玉の68の地点に圧力を足しました。その香車を先手は放っておけません。手順を駆使して▲63馬と香車を取った手に対して、待望の飛車を取る手△18馬が実現しました。この馬によって、先手玉の守備力は極端に落ちました。

 

鮮やかな寄せ!受け切りの将棋。

▲6五桂 △同 銀 ▲6四馬 △5三桂 ▲5二金 △3三玉 ▲5三金 △6八飛 ▲投了
まで118手で後手の勝ち

先手は逃げ道を開けるため▲65桂馬と跳ねました。この桂馬を銀でとり、その銀を馬でとりに行くけれど、53桂馬と銀に紐を付けて受ける・・・目まぐるしいほどの応酬です。△33玉と上がった手に対する▲53金、この手が最終的に先手玉の死命を制することに成りました。

投了図からは、飛車を取ると、▲68同金△同歩成▲同玉△58飛車▲77玉△88銀▲86玉△85金まで。

飛車を取らずに逃げた場合は、▲89玉△88銀で詰みなので、▲77玉△88銀▲86玉

ここで、一枚金があれば詰みます。その金がどこかに落ちていないか探すと、あ、ありました。

△53金▲同馬△85金まで。

まとめ

大山康晴十五世名人の受けの特徴があらわれた、昔の将棋を取りあげてみました。最強の受けと言われる大山将棋の受けの呼吸が少しでも伝われば幸甚です。特に感動したのは、△82金と龍と角の両取りをかけた手です。この手は、相手の攻め駒を責める手です。

『攻めるは守りなり』とよく言われますが、その逆も真成りですね。『守るは攻めるなり』。相手は自分の攻撃陣が潰されてしまえば、戦意がくじけてしまいます。

こんな受けの手を指して、ライバルの心をくじいて勝つのもまた勝負の一つではないでしょうか。

最後までお読みくださりありがとうございました。(#^.^#)

他にも棋譜を並べています。よろしければご覧ください。将棋(棋譜並べ)の目次

追伸

将棋のおもしろさを伝えたい、そんな思いから、少しでも将棋の普及に貢献できれば幸いです。将棋を指して楽しい時間を過ごしましょう!座ってばかりで体を動かしたくなったら、ゴルフがおススメです。ゴルフは息の長いスポーツで将棋ととても似ています。人生を楽しく過ごすのに将棋とゴルフは最高です(^◇^)!

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