受け将棋を支える精神的強さ。自玉の危険度を見極める大山流の大局観



矢倉は終わっていない!

大山康晴十五世名人の矢倉について書いています。大山康晴十五世名人と言えば一八番は四間飛車です。しかし、四間飛車を愛用する前に、いろいろな戦法を指しています。その中でも矢倉は意外と言えば意外な戦法ですが、大山矢倉と恐れられたとか。

矢倉戦法がだんだん減って代わりに雁木戦法が指され始めたこの今だからこそ、かつての大棋士の矢倉を勉強する意味があるのではないか、そう思って最近は大山十五世名人の矢倉を並べています。矢倉は終わっていない、そして矢倉は必ず復活することを信じて。

こちらの将棋の最初の記事は『受けて潰せ!大山康晴十五世名人の銀矢倉から受け将棋の真髄を学ぶ。』で、今回は二回目の記事になります。

前回の局面を再掲載します。△52銀と▲63歩成りを防いだ局面です。

Sponsored Links

絶好の場所に陣取る馬。馬は自陣に!

▲3七桂 △4七角 ▲7九玉 △6五角成 ▲6六銀 △6四馬

とにかく、6筋に伸びた歩が後手には目障りです。この歩を払いたいと思うのが自然ですが問題はどうやって払うかです。後手は△47角の王手から馬を手順に引きつけて△64馬を実現しました。歩を払いながら歩切れを解消し、絶好の位置に馬を配置したことで、後手の態勢は万全です。64の馬の美しい姿。理想的です。

要所を確保

▲6五歩 △6三馬 ▲4五桂 △4四銀 ▲1五歩 △同 歩 ▲1三歩 △同 香 ▲1二金 △3一金

先手にとって、この▲65歩を打たなければ、後手から打たれてしまいます。そうなったら先手は銀を引かされてしまい、△55馬とされたら、もう手がつけられないほどの後手の厚みです。ここは急所中の急所なので当然▲65歩と打ちます。

対して、△63馬と後手は引きますが、この馬の効き筋の通りの良いこと。先手は、▲45桂馬と馬道を止めて銀取りを掛けます。後手は悠然と△44銀ですが、桂馬を歩で取りにいくならば△22銀もあったのではないかと思いました。

しかし、▲44金と『敵の打ちたいところに打て』とばかりに金を打たれると、逆に攻めの手段を与えてしまってまずいのかなって思いました。先手は端から手をつけます。▲13歩から香車を吊り上げて、空いた12の空間に金を打つ手が巧妙です。

21の桂馬取りになっていますが、後手は、『もう何も取らせませんよ』って勢いで△31金と引きました。ここまで守られると手が何もないような感じもしてきて途方に暮れてしまいます。しかし、加藤一二三先生の攻めは鋭いですね。

Sponsored Links

盤上から強力な馬を消す

▲6四歩 △同 馬 ▲2一金 △同 金 ▲5六桂

▲64歩と突いて、もう一度馬を64の地点に引きだします。そして▲56桂馬と馬銀両取りをかけました。何と、銀を助けるためには馬がどうしても取られてしまいます。この馬は盤上から消したくなかったと私なら悔しくてたまりません。先手の▲64歩に対し、△同馬と取らず、△73馬と寄る手はダメだったのでしょうか?それにしてももったいない感じがしてなりません。

先手の猛攻

△5五馬 ▲同 銀 △同 銀 ▲5四歩 △同 歩▲1五香

今現時点での駒割は、先手の銀と後手の桂馬の交換です。後手がやや弱冠駒得というところですが、先手は、5筋から殺到しようとしています。▲15香車と香車を捨てたのは、1歩を持ち駒にするためです。いよいよ先手は総攻撃をしかけます。

玉頭の攻防

△6六歩 ▲5七金 △6七金 ▲同金右 △同歩成 ▲同 金 △6六歩 ▲5七金 △6七金

後手は、先手の▲15香車にかまわず、△66歩から先手の玉頭を直接攻めていきます。持ち駒に金銀と歩がたくさんありますから、攻め駒に不足はありません。あっという間に、先手玉を守っていた二枚の金が一枚になってしまい、その金も執拗に攻められてしまっています。

 

激しい攻め合い 受け将棋を支える心の強さ

▲5三歩 △5七金 ▲5二歩成 △同 玉 ▲5三銀 △6三玉 ▲6一角

先手も防戦ばかりでは埒があきません。端で手にした歩を使って▲53歩から攻め込みます。後手は52の銀取りにかまわず先手玉の最後の守り駒の金を△57金と取りました。この瞬間は、後手の攻めの主力の金が先手玉からわずか一路ですが離れてしまいました。一瞬薄氷を踏む思いがします。

この瞬間先手玉は、飛車の横効きが効いていて、一手の余裕があります。なのでここぞとばかりに先手は攻めていくので、この攻めを後手がかわせるかどうかが焦点になりますね。

いつも思いますが、相手に下駄を預けると言いますか、受け将棋が好きな方は、この自玉がきわどく詰まないという状況に対して、かなり精神的に耐性があるのでは、と痛感します。もし何か読み抜けがあれば負けですから。そのプレッシャーに耐えるのはたいへんだと思います。

攻め将棋が好きな人は、相手が間違えてくれれば勝てる部分もありますし、仮に攻め間違えても攻めが切れてしまうという辛みはありますが、詰まされて即負けというわけではありません。

先手は▲53銀から攻めて、後手△63玉と逃げた後、先手は▲61角と打ちました。この角は凄い角です。果たして後手玉の危険度はどれくらいなのでしょうか?

将棋の基本!一手前の受け、玉の早逃げ、受けの技術がたくさん学べる将棋』に続く。

 

追伸

将棋のおもしろさを伝えたい、そんな思いから、少しでも将棋の普及に貢献できれば幸いです。将棋を指して楽しい時間を過ごしましょう!座ってばかりで体を動かしたくなったら、ゴルフがおススメです。ゴルフは息の長いスポーツで将棋ととても似ています。人生を楽しく過ごすのに将棋とゴルフは最高です(^◇^)!

他にも将棋の棋譜を並べていますのでよろしかったらこちらをどうぞ。

Sponsored Links