将棋の守りの駒は美しい。大山十五世名人の守りの金がしずかに動く。



強烈な攻めを受け止める術

受けの達人大山名人対東海の鬼と恐れられた花村先生の、矢倉の記事の第三回目です。何度も繰り返して申し訳ないですが、なぜ、この対局を取りあげたかと言いますと、大山康晴名人の受けの強さは伝説にまでなっています。

その強靭な受けを知るには、その棋譜を勉強するのが一番でしょう。ただ、その受けの凄さを知るためには、攻めの強い相手との対局である必要があります。

第一回めの記事にも書きましたが、花村先生は東海の鬼とよばれたほどの攻めの強さを誇る棋士です。その攻めをどのように大山名人は受けるのか?将棋ファンとして非常に気になるところではないでしょうか。

一回目は『東海の鬼と呼ばれた棋士の強烈な攻めを受けつぶして勝つ名人の受け!』に、二回目は『将棋、受けて勝つ極意を探す。強烈な攻めの受け方を名人の棋譜に学ぶ』に書いておりますのでよろしければそちらもお読みください。

前回局面を再度掲載しますね。

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先手の総攻撃開始。対する後手は?

▲1五歩 △同 歩 ▲3四歩 △同銀直 ▲1三歩 △同 香 ▲3五銀 △5七歩

▲15歩と端歩を突き捨てて、歩を取り込みます。この端歩の突き捨ても、先ほど端歩を▲16歩△14歩と突き合ったから生じた手です。先手は▲13歩から香車を吊り上げて、▲35銀と銀をぶつけました。いよいよ総攻撃です。

この手に対して、後手は、単純に銀を交換しません。これがきっと受けの勘所なんでしょうね。

ぶつけられた35の銀を取る手の前に効かしが入ります。

△57歩がその効かしの手です。この瞬間、飛車で取ると角の効きが消えるので銀がただですので角で取るしかないところです。

ひたむきな金

▲57同角 △5六歩▲7九角 △3五銀 ▲同 角 △5四金

案の上、▲57角と角で歩を払いました。そのあと、再度△56歩と角頭を叩き、▲79角と引かせたところで局面を見ると、いつの間にか、後手は、56の拠点に歩が打つことができました。

後の棋譜で分かりますが、この瞬間の効かしがその後の展開を大きく変えてしまいます。

その後、後手は悠々と35の銀を取り返します。先手はもちろん▲35同角として、後手の44の歩を取るぞ、とします。その角出に対して、44の歩を守るために、歩を取りながら出た△54金が何ともぴったりの手です。

大山名人の将棋を並べていますと、本当に金が活躍します。飛車や角のように、金は大きく動くことはできません。動いたかどうかすら分からないくらい飛車角に比べたら地味です。でもその地味な一手が何ともカッコいい。

金はひたむきな駒ですね。私は大好きです。その金の自玉を守るために、その重そうな体を一生懸命動かしている動きを見ていると、胸が締め付けられます。最後には金がいるからこそ、玉はじめ他の駒が安心していられる、そんな気がします。

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もの静かで重厚な金の働き

▲5五歩 △5三金 ▲2六角 △4三金右

先手は44の地点に角が出たいです。しかし金が守りについているので、何とか金をどかしたいので、▲55歩と金をどかしにかかります。金で歩を取ると王手金取りがかかってしまうので、後手は△53金と引きます。

その後、『大駒は近づけて受けよ』は大駒が接近戦に弱いことを意味しています。なのでその逆も真なりで、大駒は遠くから使いたいところです。『大駒は離して使え』と言うが如く、▲26角と遠くから使います。

その後の後手の金寄りが静かな一手です。この一手が大山将棋の真髄とも言える手だと思います。私は、大山十五世名人のこういう金を使う手が好きです。一見何の意味があるのかわかりません。ただ形を整えただけ、とも言えます。でも何とも言えない美しさを感じてしまいます。

この金寄りは、玉の守りに金を近づけた意味と、角の効きを開いた意味、そしてもう一つ、相手に手を渡して待つ意味、その3つがあると思います。

特に最も凄味を感じるのは、一番最後の『待つ』意味だと思います。間合いを測ると言うか、相手の攻めの踏み込みの一歩を見極めるというか、直接的なメッセージはありませんが、何となく感じるものがあります。

武道の世界では『後の先』という言葉がありますが、その言葉を彷彿とさせます。先に相手に攻めの一歩を踏ませることで、それに対応してなお且つ強烈な反撃を加えて相手を仕留めてしまう。そんなイメージに近いかもしれません。

精神的強さが出る。受けこそ度胸。勇気のある受けを大山流から学ぶ。』に続く。

追伸

将棋のおもしろさを伝えたい、そんな思いから、少しでも将棋の普及に貢献できれば幸いです。将棋を指して楽しい時間を過ごしましょう!座ってばかりで体を動かしたくなったら、ゴルフがおススメです。ゴルフは息の長いスポーツで将棋ととても似ています。人生を楽しく過ごすのに将棋とゴルフは最高です(^◇^)!

他にも将棋の棋譜を並べていますのでよろしかったらこちらをどうぞ。

 

 

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