将棋名人戦の相矢倉。先手、攻めの理想形対後手、一手前の周到な受け!



受けの大名人大山康晴対東海の鬼花村元司

受けの大名人大山康晴対東海の鬼花村元司の矢倉の棋譜です。先手は花村先生、後手大山名人です。前回記事『東海の鬼と呼ばれた棋士の強烈な攻めを受けつぶして勝つ名人の受け!』でも、大山対花村戦を取りあげましたが、その記事で大山名人の受けがとても印象的でしたので、もう一局花村先生との対局を探してみたところ、ストライクな棋譜がありましたので記事にしてみました。よろしければまたお付き合いくださいませ。

なぜ、この対戦カードを選んだのか、そのきっかけにはこんな考え方がありましたので、繰り返しになりますが書いておきますと、受けの達人と言えば真っ先に思い浮かぶのは、大山康晴十五世名人です。

しかしその受けがどれほどのものなのか、あまり知る人は今では少なくなってしまっていると思います。それを今の時代で学ぶには、当時攻め将棋の強い棋士との対局を並べてみるのが一番ではないかと思います。

そんな思いから、東海の鬼の異名で恐れられた花村先生との対局を並べています。今回は二回目です。1回目は『将棋を強くなりたい!受けの基本は大山康晴名人の実戦の棋譜から学ぶ』に書いていますのでよろしかったらそちらもお読みください。

前回の局面を再度掲載します。

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何気ない手の中にも恐るべき狙いがある!

△3五同歩 ▲同 角 △4三金右▲6八角 △6四角 ▲4六歩

先手の3筋の交換は、歩を交換するだけではなく、手順に角が動くことで、玉の囲いへの道も開くことができます。単に▲68角と上がって玉の囲いの道を開くのと、3筋の歩を交換してから玉の囲いの道を開くのとどちらがいいのかって言われたら、歩も交換しての方が得ですよね。

後手は、△64角と出ます。この手も玉の囲いの道を開く手ですが、単に玉の道を開けただけの手ではなく、次に厳しい攻めの手を含んだ角です。もし先手が▲46歩を突かないと、すかさず△36歩と突かれてしまい、▲同銀と取ると28の飛車が取られてしまいます。

矢倉には、あんまり直接的でないなって感じる手に、ものすごく怖い狙いがあって、それを一つ一つ丁寧に対応している姿が、『水面下の戦い』と例えられる理由なのだと思います。後手が△34歩をすぐに打たない理由はここにあったんですね。

攻めの理想形

△5三銀 ▲4八金 △3一玉 ▲5七金 △7三角 ▲3六銀 △3四歩

後手の△53銀は、守りの手です。この金銀が3枚△33銀、43金、53銀と並んだ形は、総矢倉と呼ばれます。見るからに堅い、守り重視の手です。

一方、後手とは対照的に、先手の▲36銀という手は、攻めの理想形と言われる一手です。この銀がなぜ攻めの理想と呼ばれるのかについては、『▲37桂馬と跳ねることができること』というのが一つあります。通常桂馬を使うためには、桂馬の頭を狙われないように、サポートが必要です。

そして、そのサポートになる駒は飛車とか銀とかが多くなりますが、この桂馬の頭に直に乗る銀の形は、桂馬の頭を守りつつ、前線により近い位置にいて銀がいるので、一層強い攻めを睨んでいます。しかも、この位置に銀が居るには、その歩を交換している必要があります。

矢倉において、攻めの銀が飛車と角と桂馬と香車を連携させる要の駒と言えます。その役割を果たす上で、この▲36銀は理想の位置なのです。

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いぶし銀の一手

先手の攻めの銀が36に出たことで、後手は△34歩と受けます。この手は先手とは逆で、いぶし銀の受けの手です。と言うのは、先手の▲36銀があることで、先手に歩が入ればいつでも、▲34歩△同銀▲35歩という銀を詰ます手があります。

たった2枚の歩で銀の頭を叩かれると、銀はその歩をとれません。これは金でも同じです。▲34歩△同金▲35歩で金が詰んでしまいます。

なのでもし▲34歩と打たれたら後手は△42銀と引くしかありません。しかし、これでは玉の近くに大きな拠点を作られてしまいますし、先手に更に▲35銀と進撃を許してしまいます。

そうなると、玉の守りが弱くなってしまいますので、そうならないように『敵の打ちたいところに打て』と、『一手前に受けよ』とばかりに後手は△34歩と打ちました。

この一手によって、後手は自陣の傷を消すことができましたが、それと同時に持ち歩が無くなりました。先手だけが一歩を手持ちにしているので、先手が攻めの主導権を握っています。

さてこれから先手がどのように手を作って行くか、そして後手がどのようにそれを受け止めるか、注目です。

『勝負に勝つため、勇気と忍耐が必要な待つことの大切さを歴史に学ぶ!』に続く

追伸

将棋のおもしろさを伝えたい、そんな思いから、少しでも将棋の普及に貢献できれば幸いです。将棋を指して楽しい時間を過ごしましょう!座ってばかりで体を動かしたくなったら、ゴルフがおススメです。ゴルフは息の長いスポーツで将棋ととても似ています。人生を楽しく過ごすのに将棋とゴルフは最高です(^◇^)!

他にも将棋の棋譜を並べていますのでよろしかったらこちらをどうぞ。

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