勝負に勝つため、勇気と忍耐が必要な待つことの大切さを歴史に学ぶ!



受けの大名人大山康晴対東海の鬼花村元司

受けの大名人大山康晴対東海の鬼花村元司の矢倉の棋譜です。先手は花村先生、後手大山名人です。なぜ、この対戦カードを選んだのか、受けの達人と言えば真っ先に思い浮かぶのは、大山康晴十五世名人です。しかしその受けがどれほどのものなのか、あまり知る人は今では少なくなってしまっていると思います。それを今の時代で学ぶには、当時攻め将棋の強い棋士との対局を並べてみるのが一番ではないかと思います。

そんな思いから、東海の鬼の異名で恐れられた花村先生との対局を並べています。今回は三回目です。一回目は『将棋を強くなりたい!受けの基本は大山康晴名人の実戦の棋譜から学ぶ』に、二回目は『将棋名人戦の相矢倉。先手、攻めの理想形対後手、一手前の周到な受け!』に書いていますのでよろしかったらそちらもお読みください。

前回の局面を再度掲載します。

△34歩と自陣の傷を消した局面です。この局面から、先手はどのように仕掛けていくのでしょうか。

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後手4手繰角の理想の攻撃陣を構築!

▲7九玉 △9四歩 ▲8八玉 △2二玉 ▲2七飛 △8四角 ▲3七桂 △7三桂

先手も後手も強い戦いをするために、まずは玉の囲いを進めていきます。先手は、角の睨みを避けて飛車を▲27飛車と浮きます。後手は、先手の飛車の動きを見て、今度は△73角からのラインではなく、△84角と理想の攻撃陣を整備しにかかります。

後手のこの角は、四手繰角と呼ばれます。角がこの位置にくるのに4手かかるからこのように呼ばれているそうです。とにかく、この位置の角は先手の攻めを牽制することもありますが、6筋に睨みを利かせています。

実際にこの位置の角は、理想的で、桂馬の攻めを援護する絶好の位置です。後手は攻めの銀が守りについているので、桂馬の活用が攻めの布陣には不可欠です。後手が△73桂馬と跳ねたところで、金銀両取りがかかっていますが、先手はこれをどう受けるでしょうか?

先手、桂跳ねを防ぐ巧妙な手損の受け。後手、銀を引きつけて待つ。

▲6六銀 △6四歩▲9六歩 △6五歩 ▲7七銀 △4二銀右

先手は巧妙に6筋を受けました。普通は▲66歩と受けるのが自然ですが、後手からの△65歩の攻めが見えています。これは一度手が付くとなかなか後手の攻めを振りほどくことはできません。

なので、先手は後手との争点をつくらないように、▲66銀と出たんですね。このとき、▲57金が角成りを防いでいるのがかねてからの先手の狙いですね。

この銀が出たことで一時的に先手の玉頭が薄いです。しかし今は後手の△84角が飛車の効きを遮っています。これを見越した上での▲66銀なんですね。

後手はこの銀を狙って△64歩と伸ばします。この歩が後手にとっては味がいいですね。△65歩と突くと桂馬がとべなくなりますが、それでも△84角の効きが通るのはとても大きいです。

△65歩によって、先手は一度出た銀を再度▲77銀と戻るので、手損になります。しかし、手損をしてもこの筋に争点を作るよりは良いと判断したのですから、よほど▲66歩と突くとまずいと判断したのでしょう。

個人的に好きなのは後手が△42銀右と銀を引きつけた手です。一見消極的な手に見えますが、これぞ大山流と言いたくなるような手待ちです。

この形で攻めてくるならどうぞ、そのかわり強烈な反撃を覚悟してくださいね。

そう言っているような手です。なんともかっこいいではないですか。

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地面が腐るほど待つ

先ほどの話で、後手が△42銀右と引きつけた手についてもう少し。

こういう待つ手って、すごく勇気のいる手だと思います。待つって凄く消極的な印象があると思うんですが、実は日々の生活の中で、この『待つ』ってすごく大事なことだって痛感することが多々ありました。

昔読んだ小説で題名は忘れてしまいましたが、戦国時代の豊臣秀吉について、語られた一節がありまして、その中で、確か小牧長久手の戦いの時だったと思いますが、その時、秀吉を、『待つとなったら地面が腐るまで待つことのできる男』と、徳川家康が評していました。

待つことで天下を握った徳川家康が、自分と同じかそれ以上に待つことができる人物として秀吉を見ていたことが何とも印象に残っています。

私も、待つことができずに勇み足をして失敗した経験の何と多いことか。

金銀4枚の矢倉の陣形!継ぎ歩をどう受ける?激しい矢倉攻城戦始まる!』に続く。

追伸

将棋のおもしろさを伝えたい、そんな思いから、少しでも将棋の普及に貢献できれば幸いです。将棋を指して楽しい時間を過ごしましょう!座ってばかりで体を動かしたくなったら、ゴルフがおススメです。ゴルフは息の長いスポーツで将棋ととても似ています。人生を楽しく過ごすのに将棋とゴルフは最高です(^◇^)!

他にも将棋の棋譜を並べていますのでよろしかったらこちらをどうぞ。

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