角の活用に手数がかかるが、それで悪いか?



後手矢倉の魅力

受け将棋の達人中の達人と言われる大山康晴十五世名人。大山名人が後手矢倉に絞って棋譜を並べています。並べ続けてみて思うことは、後手矢倉の魅力ですね。

『なんでこんなに攻められなきゃならないんだ』。そんな風に思うこともありますが、受けの好きな人にとっては最初から覚悟が決まります。『よし、受け切ってやろう』と。

逆の先手の立場では、『なんとかして攻めつぶしたい!』って逆に心理的なプレッシャーを背負うことにもなります。

将棋は攻めばかりではどうしても勝てなくなると言われます。受けを鍛えるということが将棋の進歩に繋がると考えればまだまだ伸びしろがあるとも思えます。

なので、今回もまた受け将棋の棋譜並べにいそしむのです。

第1回目は、『『日本一の攻め』の攻めを受け止める。受け将棋の魅力とは?』に書いています。今回は2回目です。では早速ですが前回までの局面を再度掲載します。

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銀ばさみ?

▲4六歩 △4四歩 ▲4七銀 △3一角 ▲5七角 △4二角
▲7九玉 △5一角 ▲3八飛 △6五歩

後手が△54銀と出てきました。次に△45銀と出ると、56歩と36歩のどちらかの歩を取れる状態になります。それを防いでの▲46歩と思いますが、この△45銀が成立するかどうかは簡単には分からないところです。

例えば、後手の△45銀に対して、先手が▲46歩と突きます。すると△36銀あるいは△56銀と歩を取れますが、ちょうど『銀ばさみ』と呼ばれる形になっています。歩が一歩でも入れば、銀頭に歩を打たれて銀が詰んでしまいます。

それを防ぐ形で、後手は手を作れるかどうかが焦点となります。もし序盤で歩得することができれば、後手はアドバンテージを取ることができますが、失敗すると、銀一枚を損してしまいます。

無難に▲46歩とましたが、先手の▲46角と出る手が消えているのが何気ないところですが、大きな一手の気がします。

角の働きの差

先手が角を▲79角と引いて自由に角が使えるように成るのに対し、対照的なのは後手の角ですが、△31角、△42角、△51角と手をかけますが、未だ角の働きは未完成です。

『そんなにたくさん手を掛けなければ角を使えないのか』そんな思いが渦巻きます。それを嫌って工夫をされた結果、5筋を突く矢倉が主流になったとも言えます。

△54歩の一手があれば後手の角も効き筋が大きく広がるからです。しかし、手得して、角が直ぐに使えるようになることが、無条件で良いのかと言われると、それほど単純ではないのが将棋の魅力です。

具体的に言えば、この角の働きを制限していた△53の歩は、相手からの攻め筋を受け止める役割も時として果たすからです。また、銀矢倉を構築する選択肢も残しています。

遅ればせながら、後手は△65歩と突きました。この手は先手が▲66歩を突かないのを咎めて位を先に取ったという意味のほかに、角の働きの可能性を大きく広げてた一手です。いつか出るであろう△73角の味があります。

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先手、一歩を手持ちにする

▲3五歩 △同 歩 ▲同 飛 △3四歩 ▲3八飛 △7三角
▲8八玉 △3一玉 ▲3七桂 △2二玉

この一旦38に飛車を寄るという手が少し違和感を感じるかも知れません。居飛車の飛車の定位置は28ですから。そこからわずか1路飛車を寄る手が、『さっきまで2筋を伸ばしていったのに、2筋から攻めていかないのか?』そんな思いを浮かばせます。

これは、3筋の歩を交換することが矢倉戦の常道とされます。この歩を角で交換しに行くのが自然なのですが、先手は▲46歩と突いてしまってあるので出来ません。なので飛車で交換しに行くんですね。

この3筋で交換した一歩をどう攻めに活用するか、ここに先手矢倉の攻めの面白さがあります。逆に言えば後手は、そのあらゆる筋に順応して行かなくてはなりません。

鞘におさまった刀

後手は、待望の角を73の理想的ポジションに配置します。先手は、桂馬を活用します。飛車の頭に桂馬が乗る形が異形ですが、この形は結構矢倉戦には表れます。

この桂馬は後手の角の睨みを受けています。この桂馬が居ることで、仮に4筋から後手が攻めてきた時、その歩の交換を防いでいますし、仮に4筋の歩が切れたとしても、ダイレクトに19の香車が取られないようにしています。

飛車の働きも、桂馬が跳ねた瞬間に一気に効き筋が通ってきますので、一時的に鞘におさめられた刀だと思っておいた方がよいです。この刀を抜くタイミングを探るのが先手のこれからの方向だと思います。

追伸

矢倉の魅力は攻めなのか、受けなのか?どちらもだとは思うのですが、どっちが魅力と感じるのかって自分に問いかけると、意外と受けるのも悪くないなって思えるから不思議です。

棋譜を並べてばかりで実戦に縁遠いです。

受け将棋を磨いて時を待つことにします。(^◇^)

 

あなたの将棋ライフが楽しいものでありますように!(^◇^)!

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