宮城谷昌光氏の『新三河物語』。戦国時代に家康を支えた大久保一族の在り方とは。



宮城谷昌光氏の描く世界

宮城谷昌光氏の書籍は、私にとって哲学書の一つです。はじめて『太公望』を読んでから、その緻密な下調べの蓄積と壮大なスケールで描かれたストーリーにぞっこんのめり込んでしまっています。氏の何よりも素晴らしいところと感じるのは、登場する人物が発する言葉です。

その言葉は、氏の歴史観や人間観から発せられた言葉でもあるかと思いますが、その含蓄の深みというか、ただ小説として読み流してしまうのはもったいない、そう思うことがしきりにあります。

 

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『新三河物語』

今私は、『新三河物語』を読んでいます。この書籍は、氏が書いている本の中で、古代中国を舞台にしたものが多い中、日本の、比較的新しい時代、と言っても戦国時代ですから今から400年以上前のお話ですが、2,000年以上前の中国に比べればずいぶんと新しいです。

この『新三河物語』はまだ読み終えておりません。氏の小説は主人公がだれなのか、読み終えてみないと分からないところがあります。ここでいう主人公というのは、もともと氏が書きたかった人物がだれかという意味です。

大久保一族の家風

ともあれ、この『新三河物語』は、徳川家康に仕えた家来、大久保一族の話を描いたものだと『中巻』の最初を読んでいる時点で思います。大久保忠佐という人物が出てきます。この人は、大久保忠世の弟になり、大久保彦左衛門にとっては兄になります。

この大久保忠佐が、初めて自分の家来を持つとき、その家来、雉丸に向かって言う言葉です。

『戦場は、一瞬にして死地となり、墓地となる。それがわかっているからこそ、ひごろの親睦がある』

この言葉に心を打たれました。

新しく家来になろうとする雉丸にとって、大久保一族の仲の良さが珍しく思ったから、その思いを忠佐に対して話した後の忠佐の言葉です。

 

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現代にも通じる言葉

雉丸の疑問も最もだと思います。400年以上も前の戦国時代、いつ死ぬともしれぬ毎日の中で一族がどうして日々の生活で仲睦まじく生活できているのか?

その答えが、忠佐の言葉に包含されています。

明日死ぬかもしれないから、今の穏やかな家族とのひとときを大事にするのだという考え方。

この言葉は現代には当てはまらないでしょうか?その答えは否です。

平和で死が見えにくくなっている時代にあって、大震災や台風などの大災害。一瞬にして日々の平穏な生活が失われてしまう現実が身近に生じています。

先ほどの忠佐の言葉は、時代が変わっても大事にすべきことなのではないでしょうか?毎日を無為に過ごしてしまいがちな今だからこそ、大事な考え方なのかなと思いました。

追伸

久しぶりの歴史カテゴリーです。将棋もゴルフも、なんか深いところでつながっているなって思うのは、歴史に触れていても感じます。

歴史から学ぶ考え方は、将棋の勝負哲学にも、ゴルフの心構えにも参考になるところがあると思います。

この大久保忠佐の言葉は、たとえば将棋で言えば、『駒は取られる瞬間が最もよく働く』と言われるように、駒にとって生き死にが交差するその刹那が駒を一層輝かせるのだろうと思います。

ゴルフにおいても、一打一打の大切さを教わります。一打しか打てないからこそ、その一打を大切にします。その一打がどうなるかはわかりません。だからこそベストを尽くすことが大事なのだと思います。

あなたの毎日が楽しく実りあるものでありますように!(*^_^*)!

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