反撃があってこその受け。『端玉には端歩』で華麗なる収束。中央の金の厚みが局面を制す。



後手万全の体制

受け将棋が高じて、反撃のタイミングが分からないで悩んでいる方はいませんか?後手が陣形的に優勢になってからどのようにして先手陣を攻めていくか、これも受けの将棋を勉強する上で大事です。

実際に受け将棋に偏ると、ずっと受け続けるようになってしまい、反撃の糸口があるのに見落としてしまいがちです。

受けも、反撃のタイミングを知らなければ、せっかく相手の攻めを受け止めても、相手玉を攻めて勝利を手中にすることができません。反撃のタイミングを勉強することも受けに強くなるための重要な要素であると思います。

1回目は『6筋を突く昔の矢倉は美しい。戦後まもなくの棋譜が教えてくれた角の使い方』に、2回目は『何もできずに終わった。もっと強くなるために守る技術を一層磨く!』に、今回は3回目の記事です。

さっそくですが局面を再度掲載します。

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躍動する桂馬

▲5九飛 △9三桂 ▲7二歩 △同 飛 ▲7三歩 △同 飛 ▲7四歩 △8五桂

後手は、万全の銀矢倉の構えです。飛車角の大駒が急所に居て、55の金が大いばりの状況です。しかも、飛車を深く引いて先手に手番を渡して一呼吸置いたところでは、後手理想の体制と言えると思います。

ここからどのように攻めるのか、後手は、先手の手を見てから決めようという雰囲気です。

先手は、▲59飛車と5筋からの反撃を狙います。これに対して、後手は、遊んでいた桂馬の活用を図ります。△93桂馬と端に跳ねた桂馬が銀取りです。

先手はこれを放置することはできませんので、飛車先を歩で連打します。7筋方面に銀が進軍できれば、先手を取りながら銀取りを回避することができます。

後手は▲74歩と飛車取りに打たれた歩を放置して△85桂馬と跳ねて銀をとりました。この瞬間、後手は先手陣を攻めつぶす方針を取ったことが明らかになります。

飛車を捨てるというのは相当な覚悟です。背水の陣を布いたと言っていいですね。

後手の激しい攻め

▲7三歩成 △7七桂成 ▲同 金 △6八銀 ▲6三と

先手も勢いで▲73歩成と飛車を取ります。飛車をくれるなら先手としても受け切る楽しみができます。

しかし、△77桂成から金を取られて、△68銀と打たれた手は相当に厳しいです。玉周辺の金駒をすべてはがされてしまいそうです。

先手は、右辺の攻め駒がまったく働いていません。先手は、△63と、とと金を活用していきます。根本の角まで取れるならば、入玉の楽しみも出てきますね。

後手が、△59銀と飛車を取ってくれるならば先手も角を取りながら、上部脱出に希望が出てきそうです。

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玉は包むように寄せよ

△7七銀成 ▲同 桂 △8六歩 ▲6八桂 △6六歩 ▲6四と △6七歩成

後手は、先手の飛車に目もくれず、△77銀成と要の金を取ります。これを▲同玉と取れば、後手から△76金と打たれて上部を押さえつけれられてしまいます。

なので、先手は▲同桂馬と取るしかありませんが、桂頭に弱点を抱えてしまいます。後手は△76歩と桂馬の弱点を攻めてくるのかなって思っていたのですが、△86歩と打たれた手が素晴らしい一手だと思いました。

もし▲86同歩と取らせることができれば、次の△76金が相当の厳しさです。この金を打たれてしまうと、次に△87歩と歩を使った攻めが効いてきます。

▲68桂馬は△76金を防いだ一手です。しかしここに桂馬を打つのでは相当に苦しいです。後手は角を逃げずに、△66歩と攻めてきます。6筋にと金を作るのが急所なんですね。角はその代償としては安いと見ているんですね。

上部脱出を狙う先手、それを阻止する後手

▲9七玉 △8七歩成 ▲同 玉 △8五歩 ▲同 桂 △7七金 ▲8六玉 △7六金打
▲同 桂 △同 金 ▲9七玉

先手は▲97玉と△87歩成を催促します。ここから上部に脱出しないと、勝ち目がありません。後手は△87歩成としますが、▲87玉として、天井が開いた感じになりました。

しかし、ここで後手が△85歩と打った手が参考になる一手です。これは▲85桂馬でただの歩なのですが、桂馬で取らせて蓋をさせたのが真の意味。先手も桂馬で取らなければ△86金と打たれて上部を押させつけられてしまいます。

△77金と打ち、先手が▲86玉と逃げます。ここでとどめの△76金打ちです。先手は▲76同桂と取りますが、同金と取り返した形が先手玉の上部脱出をあきらめさせた一手です。

端玉には端歩

△7七と ▲8八歩 △9五歩 ▲投了
まで102手で後手の勝ち

後手は、△77と金、とと金を寄せます。この一手が当然ですが厳しい一手です。万力で締め付けるような一手です。

先手は▲88歩と受けました。ここで△95歩と突いた手が、格言を地で行く一手です。『端玉には端歩』ですね。

ここで先手は投了しましたが、先手が仮に▲95同歩としても、△96歩▲同玉△84桂▲97玉△95香で詰みです。

後手の△96歩に対して▲98玉と逃げても、△86桂馬▲89玉△78と、で詰みます。

まとめ

後手の反撃が決まりました。改めて後手の陣形を見ますと、銀矢倉の堅陣は手付かずです。後手の飛車捨てから一気に反撃が成功しました。先手には攻め合いの選択肢も残りませんでした。

後手の攻めが成功したのは、中央の△55金が作り出した大きな厚みではないかと思います。この厚みのせいで、先手の陣形は左右に分断されてしまいました。

先手の左半分だけを攻め崩せばよいので、それに足りる攻め駒があればよいことになります。飛車や角を捨てても、十分に後手玉を詰ませるだけの攻め駒を用意できればいいわけです。

こういう見方は、『橋本崇載八段の本を読んで、将棋の考え方が変わる。』でも書きましたが、橋本八段の本の影響が大きいです。厚みというのはすごいですね。

実に将棋はおもしろい!

最後までお付き合いくださりありがとうございました。

あなたの将棋ライフが楽しく実りあるものでありますように!(*^_^*)!

他にも棋譜を並べています。よろしければご覧ください。→→『将棋(棋譜並べ)の目次

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