『駒得は裏切らない』ではなく『厚みは裏切らない』。厚みの正体を調べる



”厚み”や”位”とは何ぞや?

よく将棋を指していると、『プロは手厚い陣形を好む』とか言われているのを聞いたりすると思います。また、『位負けするな』と教わったりしたかもしれません。でもこの厚みとか位とかって漠然としていて、よくわからないって思いませんか?

この厚みや位とはいったい何だろうって疑問を持っている人や、この厚みや位が具体的にどういう風に役に立つのか疑問に思っている人、逆に厚みや位がもたらすデメリットを知らない人にとってはかなり役立つと思います。

もしこれらを知ることができれば、手厚い陣形や位を活かした戦い方ができるようになると思いますし、今まで漠然としていた厚みをもっと身近に感じられるようになると思います。

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美濃囲いがつぶされてしまった!

升田式石田流やごきげん中飛車などの角交換型の振り飛車を得意戦法にしていると、玉を美濃囲いに組む展開が多いと思います。

相手が後手の居飛車で左美濃に組む展開がよくあるケースだと思いますが、持久戦になると局面が手詰まり状態になり、先手振り飛車側に仕掛けがないと、後手は位を取って待ちます。

相手が位をとっている間、何とかして飛車交換を狙いに行きますが、後手が位を取り終わってたりすると、後半に後手居飛車側から位を活かして美濃囲いの上部から攻められます。

その時、いとも簡単につぶされてしまったりした経験はありませんか?あんなに堅かった美濃囲いが、まるで岩が上部から落っこちてきたかのような衝撃で押しつぶされてしまうという状態です。

厚みを詳しく説明してくれた(*^_^*)

私は、『橋本崇載の勝利をつかむ受け』を読んでハッとしました。これまで漠然としていた厚みについて、詳しく書かれていたからでした。具体的な例があって、その例を一つ一つが重ねていくとよく理解しやすいです。

厚みや位がどれほど強力なものなのか、今までそんな本は希少でした。私もいろいろ将棋の本を読みましたが、厚みについてよく言われていたのは、故米長邦雄先生でした。

自身の棋譜解説の中で、玉頭位取りの将棋を解説されており、その中で厚みを築くことの有利さを説いておられました。しかし、非常に高度であり、棋力の乏しい自分には、理解に足りませんでした。

この橋本先生の本を読んで、厚みがこれほど威力があるので、あのように米永先生は厚みを強調されていたのだな、と思い出したりしました。

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厚みの長所と短所

本の一部を少し引用させていただきます。

厚みのメリットは玉が広いことと、上部からの攻めに強いこと。 ここではデメリットも挙げておきます。 厚みは上部に対して強いもの。裏を返せば、背後を突かれる、つまり下段から攻 められるとモロさを露呈します。たとえ ば自陣の最下段に飛車を打たれると、とたんに厚みの効力は消えてしまうのです。

『橋本崇載の勝利をつかむ受け』p150 より引用。

上記のように、厚みの長所と短所について語られています。この文章を示す具体的な局面が掲載されていて、詳しく厚みについて説明されています。実際に、私は、米長先生の影響から玉頭位取りが好きでよく指します。

負けるときは、たいがい横から攻められてしまっています。逆に勝つときは、相手の美濃囲いの△73の地点(振り飛車後手の場合)あたりから押しつぶす形になります。この押しつぶす感じはちょうどラグビーのスクラムトライのイメージです。

厚みは裏切らない

厚みとは五段目に歩がいて、それを下からしっかりと支える形のことです。「位」とも言います。

~略~

「駒得は裏切らない」という格言がありますが、私は「厚みは裏切らない」という格言を提唱したいぐらいです。

『橋本崇載の勝利をつかむ受け』p151 より引用。

そして、『厚みは裏切らない』と、ここまで厚みについて重要視しています。そんなに厚みというのはすごいものなのか!そう目から鱗でした。

先ほどの美濃囲いを例にすれば、自分が振り飛車で相手が居飛車玉頭位取りであった場合に、厚みを築かれたとき、居飛車から攻めが来ないときは平穏な感じです。

しかし終盤、居飛車に攻め駒が手に入った時は、居飛車はなりふりかまわず駒の損得を無視して殺到してきます。まるで雪崩を起こそうとするかのようです。

そうなると受けが全く効かないという状況になったりします。駒の損得にのみ注意を払って相手の厚みを軽視していると、表には見えませんが、とんでもない大損をしていることに気づかない危険があります。

厚みを活かされてしまえば、銀や桂馬一枚くらいでは取り返しがつきません。それがきっと『駒得は裏切らない』ならぬ『厚みは裏切らない』の真意かと思います。

まとめ

厚みについて書きました。厚みは将棋を指していると必ずぶつかる将棋の表現の一つです。あまりに漠然としていて、どれほどの価値があるのか、駒の損得のようにうまく測定することができません。

しかし、『厚みは裏切らない』という表現があまりにも新鮮で、『本当の価値は目に見えない』とはよく言われますが、それに似た風合いを持った響きです。

この格言が感得できるようになれば、また駒一枚棋力が上がるのでは、と思うと、将棋の奥深さを感じます。

ちょっと厚みをテーマに棋譜並べをしてみようかな、そう思う今日この頃です。

厚みについては『橋本崇載八段の本を読んで、将棋の考え方が変わる。』の記事にも書きましたが、急所の位を維持するためならば、駒の損得をわきに置いておいても維持しなければならないというのが、厚みの偉大さを知ることでよりわかる気がします。

あなたの将棋ライフが楽しく実りあるものでありますように!(*^_^*)!

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