偏るとダメ。攻めと受けのバランスをとる勝負の駆け引きが面白い。



攻めと受けのバランス

将棋は、攻めと受けのバランスが難しいと思います。実際に受けに偏って負けたとか、攻めに偏って負けたって人が多いのではないでしょうか?

バランスを取りながら攻めたり守ったりが難しい、この将棋を並べていると本当にそう思います。

この将棋は桐山清澄先生が先手振り飛車で石田流に構えて、対する後手は大山康晴十五世名人です。居飛車で指していますが、珍しいと思う方も多いのではないでしょうか?

大山先生は振り飛車の大家ですから。

前回までの局面では、先手の桐山先生の方が、自陣龍を実現して鉄壁の防衛陣を築いたところですが、対する大山先生がどうやって切り崩すのかが注目される局面です。

今回の記事は、第7回目です。前回までの記事は下記のとおりです。

1回目『守りきって勝つ。受けの技術を磨くために。位を取って持久戦、の研究。
2回目『攻めに強い石田流を相手にどう戦う?位をとって戦う戦略
3回目『振り飛車に対して位取りを使って勝つためのコツとは?
4回目『勝負のコツは、相手の意表を突く手を指すこと。動揺すると間違える。
5回目『将棋の受けを鍛える。何もしないことが受けにつながる?
6回目『受けの勝負手、自陣龍!専守防衛策は果たして成功するか?

前回の局面を再度掲載します。


 
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と金攻め

△6七歩 ▲8六歩 △7六馬 ▲4四桂△6八歩成 ▲6五銀
後手は△67歩と垂らしました。いわゆる『と金』攻めですね。これは自陣龍を先手がしたことで、先手の攻めが大きく遅くなると判断したことからだと思います。

龍は攻め駒として最強です。この駒による攻めが最も速いので、自陣内に敵の龍がいなければそれはそれは安心ですよね。

ここで先手が、▲86歩とした手が馬筋を変えようとしたのかなって思ったのですが、△68歩成とさせてから、▲65銀と馬を攻めました。『大駒は近づけて受けよ』ということでしょうが、とてもつらい一手に見えました。

 

敵に金は渡さない!

△5八と ▲同 歩 △4四銀 ▲同 角 △3三銀 ▲同角成 △同 桂


後手はとにかく攻めます。と金を銀と交換しました。銀得です。と金攻めは、守りに偏った相手に対してはとても有効な手段となります。と金を使って攻められると、受けが効きません。

と金を使ってじわじわと攻められると、どうしても相手を攻めつぶそうと動いてしまいますが当然の反応ですよね。なので冒頭の話にもどりますが、攻めと受けのバランスがとても大事であるということになります。

後手は、△44銀から桂馬を取り、△33銀とガッチリ受けて、先手の攻め駒を盤上から消してしまいました。

この技術が受けの技術ですね。先手は後手陣にかけていた攻めの手管をすべて断ち切られてしまった格好です。しかも、注目すべきは、後手は先手に金を渡していません。

ここがとても大事なところなのではないかと思います。

 
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美濃囲い崩しの秘技、繋ぎ桂

▲7六銀 △4四桂 ▲5五角 △5六歩 ▲6七龍 △3六桂打


先手も後手の馬を▲76銀と取りました。当然その銀を取り返すと思いきや、▲44桂と打った手が凄い手です。

この△44桂のすごさは、まず、先手玉のこびんを狙っています。△36桂馬は最強の美濃崩しの手ですから、どこかで決行されると、先手は一気に詰まされてしまいます。

この桂馬は、先手から▲55角と打たれたら打つことはできません。なので、銀を取るよりも、ここに桂馬を先着する方が価値が高いということなのだと思います。

しかもこの桂馬は、△56歩を一つ効かせています。この効かしはとても大きいと思います。龍取りの先手ですから、先手は龍を逃がしますが、そうしておいてから△36桂馬打つと二枚目の桂馬を投入してきます。これが『繋ぎ桂』です。

これが△44桂馬のすごさです。言うなれば、『44桂は銀一枚以上の価値がある』ということでしょうか。

将棋のおもしろいところは、順調に攻めていたけれど、王手をされた瞬間にその攻めが止まるということだと思います。『王手は先手』と言われる所以ですが、この言葉、あまりに当たり前すぎてとおりすぎていきますが、実は奥の深いことばだと思います。

 

攻めの石田流に対抗して四筋位取り。玉頭に据えた香車の迫力!』のページに戻る

追伸

攻めと受けのバランスについて冒頭に書きましたが、将棋の受けを鍛えるということで考えてきましたが、受けに偏ってもいけないということが何となくではありますが心に残ります。

それにしても受けていたかと思えば、攻めに転じ、攻めていたかと思えば受けに転じる・・・。

現在では、『一貫性がない』と、断じられてしまいそうな雰囲気がありますが、私はこの駆け引きというのは、おもしろいな~って思います。

『一筋縄ではいかない』そんな言葉がよぎります。

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