王手は先手になる道理。受けから攻めに転じるには王手をしよう!



王手は先手

王手が先手とは言われますが、王手をされると何がつらいって、その瞬間、せっかく攻めが順調につながっていたのに、急ブレーキをしなくてはならないということだと思います。

王様は絶対に相手に渡してはいけない駒なので、どうしても守るか逃げるしかありません。

逆に受けていた立場にしてみると、王手がかかる形を作っておけば、攻められっぱなしになるということはないわけです。

これって反撃を考える場合にとても重要な要素だと思うんです。

王手がかけられれば、詰めろ(次に詰ますぞ!)をかけられた時に、逆転の一手を放つことができます。王手がかけられなければ、そこで投了です。この差は大きいと思いませんか?

さて、今回の記事は第8回目です。これまでの記事は下記のとおりです。
1回目『守りきって勝つ。受けの技術を磨くために。位を取って持久戦、の研究。
2回目『攻めに強い石田流を相手にどう戦う?位をとって戦う戦略
3回目『振り飛車に対して位取りを使って勝つためのコツとは?
4回目『勝負のコツは、相手の意表を突く手を指すこと。動揺すると間違える。
5回目『将棋の受けを鍛える。何もしないことが受けにつながる?
6回目『受けの勝負手、自陣龍!専守防衛策は果たして成功するか?
7回目『偏るとダメ。攻めと受けのバランスをとる勝負の駆け引きが面白い。 』

局面を再度掲載します。


 
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美濃囲い攻城戦

▲同 歩 △同 桂 ▲1八玉 △7六飛成 ▲同 龍 △同 歩 ▲3七銀


先手は36同歩と桂馬を取りましたが、その歩をまた二枚目の桂馬が同桂馬と跳ねてきます。これが繋ぎ桂の手筋です。この繋ぎ桂を見ると、一見桂馬を一枚損して嫌な感じもしますが、桂馬一枚の犠牲で、相手の玉を窮地に追い詰めることができれば素晴らしい投資と言えます。

時にこの桂馬は、美濃囲いを崩す必殺の手です。

先手玉は▲18玉と逃げました。

この時、うっかりしやすいのですが、▲55角が守りについています。もし仮に▲55角が打たれていなかったとしたら、次のような手順で詰んでしまいます。

▲39玉と逃げると△28金で詰みます。また、▲17玉と逃げても詰みます。▲17玉△28角▲18玉△19角成▲同玉△28金です。

ちなみにここで一枚香車とか、前に進める駒があれば詰みます。例えば香車があるとして、▲17香車△同玉ならば、最初から▲17玉と逃げたとおなじなので詰みます。△17香▲同桂△28金打ちで詰みます。

余談でしたが、本題に戻すと、この局面では55角がきれいに玉を守っていますので、55角をどかして一枚の前に進む駒を手に入れれば後手は良いことになります。

そこで後手は△76飛車成と銀を取りました。そして▲同龍△同歩と駒をきれいに清算しました。

さて先手は後手にたくさん駒を渡しましたので▲37銀と受けました。

この手は28の地点に駒を足しながら、▲36銀と桂馬を外す手を見ています。

 

心を折る受けの一手

△3五銀 ▲7四飛 △4三金 ▲7一飛成


後手は、この桂馬を取らせるわけにはいきません。なので、△35銀と打ちました。このとき、▲36銀△同銀▲37歩とか守りに回ってはだめなのでしょうか?

こうすると、桂馬を一枚得することができると思うのですが、果たして△24香車が27の地点を狙っていますから、△27銀成から殺到されて相当玉が危険になると思います。

いずれにしてもこのままでは先手玉はかなり危険なので、先手は▲74飛車と打って▲34飛車から先手の攻撃陣を崩しにかかります。

ここで後手は△43金打つとしました。

この一手が相手の心を折る一手だと思いました。

後手陣の堅いこと。穴熊は堅いという表現がぴったりですが、この後手陣は、堅さに加えて厚みがあります。まるでゴムまりのようです。

先手は▲71飛車成と後手陣の足元を狙っていきます。この時先手に飛車か金があればいいのですが、どちらも手に入りずらい駒です。

 
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攻め駒を攻める一手

△5七歩成 ▲同 歩 △4六歩 ▲4五桂 △6七角


後手は△57歩成としました。この歩成は、守っては5筋の底歩を作り、攻めてはと金攻めを狙って損にならない手です。後手は5筋に続いて△46歩と突きました。この歩は意外でした。この歩をついたことにより、先手に▲45桂馬という攻め筋を与えてしまったからです。

しかし、先手の守りの命綱である55角の効きも玉に届かなくしていますから、この先厳しい攻めがあるのだろうなって思って見ていましたら、指されたのは△67角でした。

この角の一手は、45桂馬を見越して打たれた手なのかもしれないって思ったら、背筋が凍りました。というのは、相手の攻めてくるであろう手を予測して、その手をつぶしてやろうという手だと思ったからです。

先手からしたら、ここしか後手陣を攻める場所がありません。わざとそこから攻めさせて、その攻め駒を受けつぶすという戦術。

おそろしい・・・

 

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追伸

受けの手はとてもむずかしいと言われますが、この将棋を並べてみると、呼吸を感じます。まるで先手と後手の息遣いが伝わってくるように思います。

攻めているかと思いきや、受けに回って相手を催促。

受けに回っているかと思いきや、王手をかけて手番を奪って苛烈に攻める。

ぜひ盤に並べてみてください。楽しいですよ。

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