藤井聡太四段、佐藤天彦名人を破る。歩得を活かした先手横歩の持久戦。若くも老練な一面を見せた15歳。



名人に勝つ!

2018年1月14日朝日杯将棋オープン戦藤井聡太四段が、佐藤天彦名人に勝ちました。

戦型は横歩取りで先手が藤井四段です。

手数は121手ですが、横歩取りの将棋にしては長手数な印象があります。

実際に棋譜を並べてみると、先手が横歩をとって歩得した後、持久戦にして歩得を活かそうとして指しているように見えました。極めて合理的な戦略と思います。しかし持久戦に持ち込むこと自体が難しい。しかも相手は名人。

結局、藤井四段の戦略の通り、後手の佐藤名人は戦期を捉えられず、じり貧に陥ってしまったという感じに思えました。

棋譜の中で、すさまじいと私が感じた局面を抜粋したいと思います。

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力強い金上がり

この3八金から2七金と上がった局面が相手の仕掛けを逆用したような金上がりで力強い印象とは裏腹、自玉から金が離れて行くようで指しづらく思いました。しかし、この金が最後、敵飛車と角を抑え込む形になりました。

次に印象に残った局面がこちら。

玉の周りに集まる金銀~ふくよかな堅さ

 △6五歩    ▲5七銀    △5二玉    ▲6八金    △6二金 ▲7九飛 

こんな感じで駒を玉の周りに寄せていきます。ここまでになった局面をみると下記のようになります。

この局面を見ると、藤井玉の安定感が分かります。玉頭を二枚の銀で守り、横腹を金で守り、玉の下段を飛車がきれいに効きを広げて守っています。

穴熊などの玉の堅さとは全く異なる、柔らかくも堅い感じ、いわば、ふくよかな堅さと表現したくなる玉の守りです。これを戦いながら組み上げるところがすごいところです。

次に、

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飛車に目が眩まない

この局面は、5四桂と両取りに打たれた局面。一見困ったように思ったのですが、2四に飛車がいるので、最後飛車取りになって先手は取れるのかな、って思いました。しかしこの後の手順が圧巻でした。並べて見ますと、

  △5四桂 ▲5七角 △7三桂 ▲5五銀  △同銀 ▲同歩 △6五桂 ▲5四歩 △5七桂成 ▲同金  

となります。

この変化で、すごいと思ったのは、△7三桂と桂馬の交換を挑まれて、その桂馬を取るのかなと思いました。実際に、8五にある桂馬で交換しないと、△6五桂と飛ばれて中央に桂馬を使われて損すると思いました。でも、取らないんです。ずっと8五の桂馬は7三の地点に効かせておいた結果、最後の詰めに効いてきます。

逃げない角

そして、もっとすごいのは、5七の角が2四の飛車を取れる状態で睨んでいるのです。そこに手順に△6五桂馬と跳ねてきました。後手としては、遊んでいた桂馬が中央に跳ね出して、敵角に当てることができました。

普通、角で飛車を取りたくなると思います。遊び桂と角の交換では納得いきません。飛車を簡単に取れるのですから、取るのは半ば当然と思っていました。しかし取らないのです。角は微動だにしませんでした。

えーーーって感じです。

これがすごいと思いました。

だって飛車取れるんですよ!飛車とるでしょ、今でしょ、今!

この藤井四段の感覚がすごいとほんとに思いました。

この後、藤井四段は見事な収束を見せます。自分の飛車が取られるタイミングで敵玉を詰ますという呼吸です。

横歩取りは、後手の戦型では有望です。しかも相手は、横歩の専門中の専門の佐藤天彦名人。

横綱相撲のような、寄り切りで圧倒的な強さを見せた15歳の藤井聡太四段。次の羽生永世7冠との大一番が楽しみです。

ちなみに佐藤名人の前に、藤井四段は澤田六段に快勝しています。澤田六段と言えば、藤井四段の連勝記録を一瞬止めるのかって思わせたほどの将棋を指した棋士です。その時の記事『藤井聡太四段28連勝!印象的な八方睨みの自陣角。澤田真吾六段敗れる。』を書きました。よろしかったら覗いてください。

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