銀ばさみで銀得。駒得を活かした安定した指し回し。



巨人、木村義雄十四世名人

かつて将棋界において、巨人と呼ばれた人がいました。木村義雄十四世名人です。

木村義雄名人は、若き日の升田幸三、大山康晴の兄弟弟子の目標でした。後世に黄金時代を築いた二人に目標とされるくらいにすごい棋士だったのです。

木村名人から名人位を奪って、関東から関西にタイトルを持ってくるというのが大きな目標でした。
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木村定跡は角換わりの教科書

木村義雄名人と聞いて真っ先に思い浮かぶのは『木村定跡』と呼ばれる角換わりの必勝手順です。角換わりという戦型はこの木村定跡を工夫したり、回避したりと、下地になって進化してきた面が大きいと私は思います。

『角換わりを採用するのは怖い』と言う人がいますが、これは局面によっては終盤詰みまであると言われるくらいに奥深く研究されているからです。

逆に角換わりを積極的に採用する方もいます。これは角換わりに絶大の自信を持っていると言っても過言ではありません。

もっと言うと、先手の角換わり将棋を後手で受ける棋士は、それ以上にかっこいいと言えます。ただでさえも後手で不利なのに、相手の得意の角換わりに正面から受け止めるその度胸。私はこんな棋士が大好きです。

木村名人を倒した男、塚田正夫

ここまで木村義雄名人の凄さを書いてきました。しかし、その木村名人から名人を奪ったのは、升田、大山ではなかったのです。

塚田正夫先生です。塚田名人は、すごく有名というわけではありません。しかし、その実力たるや凄まじく、のちに受けの大山と称される大山名人を簡単に攻めつぶしてしまうのですから。

今回並べる棋譜は、もちろん大山名人の受けを勉強するというコンセプトではありますが、先手に塚田正夫名人を迎えます。この将棋、最後は塚田名人が勝つのですが、『こんなにも塚田名人が強いのか!』そんな思いを抱かせる棋譜です。私はこの棋譜から、大山先生の受け将棋は塚田名人からのDNAも受けついでいるのではないかと思いました。
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銀ばさみ

この将棋の中では、大山名人は後手で急戦策をとってきます。二枚銀で攻め込んでくるのですが、巧みに先手の塚田名人は、銀ばさみをかけて、銀をただ取りしてしまいます。

あの駒得を重視する大山名人が簡単に銀ばさみにかかって銀を一枚失うというのは、あまりにも信じがたい光景です。

実際に、銀得してからの先手の指し回しがまた素晴らしく、終盤、自陣にあった銀が、中段に逃げてきた玉を上部から抑え込むように出ていく局面があるのですが、本当に万力で締め付けるような感じの攻めだと思いました。

下記に棋譜記事を掲載していますので、ぜひ盤に並べて鑑賞してみてくださいませ。

味わい深い将棋で、おすすめです。
戦型:相矢倉 先手:塚田正夫
後手:大山康晴
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