将棋の受けを学ぶ。臨機応変、銀矢倉の柔軟性!



大山名人から受けを学び取る

大山康晴十五世名人の受けを学ぶという視点で書いた記事です。

受けとはどんなものなのか?それを学ぶのにもっとも手っ取り早い方法は、受けの達人の棋譜を並べることだと思います。

受けの達人と言えば、時代を超えて語られるのは大山康晴十五世名人です。

戦型は相矢倉を選びました。全攻め駒と全守り駒でぶつかりあう横綱相撲だからこそ、受けの妙技が垣間見えると思ったからです。相矢倉も大山名人は後手をもっている棋譜を選びました。

後手は急戦策か持久戦策がありますが、持久戦策を取った場合、たいてい受ける展開が予想されます。

そんな棋譜を並べてみたかったのです。

巻末に棋譜を掲載しています。それのまとめ的に書いていますので、それを並べていただいた後であれば、今回書いた内容が、どこのことを書いているのか分かると思いますので、まずそちらから見ていただければと思います。

ぜひ盤に並べてみていただければと思います。(*^_^*)

 

Sponsored Links

角による睨みが強すぎる

角による睨みによって、先手矢倉の攻めを牽制する方法は今では△64角からが自然ですが、当時はそうではなかったようです。

というのは、昔の矢倉では、5筋ではなくて6筋を突くことが多くあったからです。昔の棋譜と言いましたが、この棋譜は1950年12月20日に行われた先手が南口繁一先生対後手大山康晴先生の対局です。

戦後まもなくに行われた棋譜です。

矢倉の将棋は、角をどう使うかがものすごく大事だと思います。角の睨みが効いているだけで、先手の攻めは大きく限定されてしまいます。

6筋を突く矢倉は美しい

私的には、6筋を突いた矢倉がものすごく美しいって思っていて、後手が△65歩と位を取った形は最高です。この65歩の位取りには美しいという形だけのものだけではなく、いろいろなメリットがあると思います。少なくとも3つのメリットが浮かびます。

一つ目は、相手の▲66歩という手を消しています。先手は▲66歩から▲67金と金矢倉に組みたいところだと思います。この形にしておかないと、非常に銀頭が薄い気がします。ただでさえ△75歩から攻め込まれるところなので、銀一枚になっているのは将来的に傷ですね。

二つ目は、後手の角の効き筋ですね。△73角と据えることで角が安定します。この角をどかすのはかなり難しいと言えます。なので先手はこの角の睨みを避けつつ攻めることを強いられます。

三つ目は、後手が腰掛銀に構えていることです。腰掛銀は、65の位を守るために必要な駒ですが、状況によって、△43銀と引くことで、銀矢倉の堅陣を作ることもできます。

 

Sponsored Links

銀矢倉の堅陣と攻め駒の金

『大山の左金』と言う言葉が有名です。大山名人は金の使い方に定評があると言われていて、それを表現した言葉です。

他に有名なのは、『升田の角』、『中原の桂馬』でしょうか。昔の棋士は、その棋士の得意な駒をそのように表現していたのですね。今ではあまり聞かなくなったのは少し残念な気がします。

さて、大山の左金と言いますが、大山先生が振り飛車を指していた時に、攻め駒の側にいたのが左金だったのでそう表現されたと思いますが、今回矢倉ですから、大山流の左金は右の金になるかと思います。

後手は銀矢倉の堅陣に玉をおさめて、右の金を攻めに使います。銀とは違って金が攻めに参加したとき、どんな感じになるのか、それだけでも興味のあるところです。

この金の使い方がまさしく光を放っているんです。

攻めに転じるタイミング

今回学んだことは、先手が攻めてこなかったときの対応です。後手は、先手からの攻めがくれば受けきってしまう方針であったと思いますが、先手は攻めのきっかけをつかめず待機をしたため攻めることになります。

この場合も、しっかり銀矢倉に囲って、金を進軍させて攻めに厚みを加えます。先手は後手の攻めを待つ展開です。

後手は最も良い体制になるまで攻めません。待ちます。このあたりが受け将棋を基軸にしたときに感じる、落ち着きと言いましょうか、余裕と言いましょうか。『急いては事を仕損じる』。まさしくこの格言のとおりです。

例えば△55歩と歩を突いた後、取り返されるのを待っています。▲55同歩△同金となることを期待しているんですね。その辺が攻めばかりに気を取られると、すぐに5筋を取り込んでしまうと思います。

5筋を制圧!飛車を捨てる時。

5筋を制圧した金の圧力がすごいです。この金がいるせいで先手の陣形はへこまされてしまいました。このあと、先手は苦し紛れに攻めてきます。攻めるといっても▲39の角を活用して7筋しかありません。

これが△65の位を取った効果で、ここに来て効いてきます。むしろ後手から攻めていきたいところだと思いますが、先手から仕掛けてきたので、後手は手に乗って逆用していきます。

飛車の捨て時が参考になります。

矢倉は上からの攻めが主体ですから、上から攻める駒があれば大丈夫ですね。

ここからどんどん後手の攻めが加速していきます。その証拠に、後手は、先手からのと金攻めに一切対応しません。角取りも放置して、先手玉に攻めかかります。

小駒の寄せ 玉は包むように寄せよ

『玉は包むように寄せよ』は将棋の格言ですが、この包むように寄せるというのは、小駒しかない場合、余計に身に染みます。なんせ、上に抜けられてしまったら終わりですから。

とにかく、網をしぼるようにどんどん玉の逃げ道を封鎖しながら寄せていきます。

その場合に歩の使い方がとても参考になります。歩の効く攻めというのが一番強い攻めですが、矢倉ではこれが頻出します。

投了図から大山流の将棋を見てみますと、銀矢倉は手付かずです。自玉は堅く、敵玉は薄く。いつの間にかそんな感じで収束します。これが自然であることが凄味です。

 

戦型:相矢倉 先手:南口繁一
後手:大山康晴
1. 6筋を突く昔の矢倉は美しい。戦後まもなくの棋譜が教えてくれた角の使い方
2. 何もできずに終わった。もっと強くなるために守る技術を一層磨く!
3. 反撃があってこその受け。『端玉には端歩』で華麗なる収束。中央の金の厚みが局面を制す。
Sponsored Links