玉頭の迫力の攻防!勢いを止める受けが大事!



大山康晴名人の対振り飛車作戦

今回も受けを鍛えるという点では同じですが、戦型をこれまでの矢倉ではなく、振り飛車にしてみました。と言っても大山名人は後手の居飛車側を持ちます。相手は桐山清澄先生です。

対振り飛車と聞くと、攻める権利は居飛車側にあると思われますが、居飛車側が持久戦策を取った場合には、先手の振り飛車が手を作っていくことも多いです。

特に、先手が攻めの理想形である石田流に組んだ場合に注目してみました。

この記事は、巻末に棋譜を総括するように書いています。なので先にこちらの記事をお読みいただけると、どこのことを言っているのか、お分かりいただけると思います。ぜひ盤に並べながら見てみてくださいませ。

 
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石田流 攻めの理想形

先手側が攻める権利があると書きましたが、実は、先手は攻める義務も負っています。というのは、先手が攻めて手を作らず、手待ちを繰り返した場合、後手も同様に手待ちをすると、千日手になってしまいます。

千日手は、先後を変えて指し直すので、後手にとっては無理に打開する必要はありません。先手はせっかく攻めることができるのですから、みすみす千日手にはしたくありません。

なので先手が打開しなければならないという理屈になるのです。

先手で振り飛車戦法の場合、相手が急戦策を取ってきた場合は何の問題もないのですが、持久戦策を取られたときに、先行する形は限られてきます。

石田流は古来より攻めの理想形としてあり、振り飛車の最強の攻めの布陣です。

後手持久戦策は位取り

後手大山名人の採用した戦法は位取りです。位取りの将棋は何となく矢倉に似ています。矢倉って上部に厚い構えですよね。敵の攻めの核である飛車に対抗するための布陣ですから、上部を手厚くすることは理にかなっています。

しかし、対振り飛車においては、横から飛車で攻められることが予想されるため、上部に手厚くする必要はないようにも思えます。しかし、さにあらず。

終盤、横から飛車で攻められるのも強烈ですが、それと張るぐらい、位取りの上部からの攻めは強烈です。また、上部に逃げ道も開けてきますので、位取りは有力な戦法です。

 
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どの筋の位を取る?

今回、大山名人が取った位は4筋の位です。この筋の位は、3筋、5筋の位と比べて最良の位と言われます。

例えば、美濃囲いから高美濃囲いに進展するためには4筋の歩を突いておかないとなりません。しかしそれを位で制圧されてしまえば、高美濃囲いから銀冠へと囲いを強固にしていくことができません。

また、これにより、3筋の位も一緒に取りやすくなります。イメージしていただくとわかりますが、4筋の歩を突かずに3筋の歩を突いた美濃囲いは薄いと思いませんか?

今では珍しい4筋の位。そしてそれを大山名人がどう活用して勝ちに結び付けるのか?見てみたいとは思いませんか?

石田流の攻めをいなす受けと香車の威力

石田流の攻めは強烈です。それを受ける方は相当に気を使うと思います。大山流の受けは、巧みに歩を活用して先手の飛車をさばかせません。

先手も後手の飛車を抑え込みながら攻めを継続していきます。

注目すべきは角の使い方だと思います。角の使い方が非常に巧みで、石田流の攻めが空振りしたような感じです。

先手の石田流の攻めと五分の別れでさばきあったような印象ですが、直後の△24香車がかっこいいです。

私は個人的に位取りの将棋において、敵玉頭に香車を据える手が大好きです。

いつも忘れ去られてしまうような香車と言う駒が、どれほど玉頭戦で大活躍することか。

迫力ある玉頭戦

玉頭戦はめちゃくちゃ迫力あります。対振り飛車戦では位取りを採用した場合が一番、玉頭戦になりやすいです。この玉頭戦、勢力の多さで決まります。後手のゴムまりのような金の厚みが凄いです。美濃囲いに上部から圧力を加えて、先手の玉を押しつぶさんばかりの勢いです。

並べていて気付いたことがあります。

それは、一気に押しつぶさないってところです。もちろん簡単につぶせる場合は行くのでしょうが、大山流は、相手にも一呼吸する余裕を与えます。一もみにつぶそうとか思わないのだと思います。

一回敵陣に圧力を加えてから一呼吸開けます。するとその瞬間相手は必死に立て直しを図ります。しかしそれと同時に自玉の守りをそれ以上の好手順で補強します。

そうやって陣形の堅さに差をつけて、勝利に結びつけるというのが大山流の一面にあると思います。

実際に、一旦、先手玉を散々に追い詰めたあと一転してゆるめて、自玉を金3枚でがちがちに堅めました。彼我の陣形の差は一目瞭然です。

孫子の兵法を地で行く印象 勢いを止める受け!

敵に勢いを与えない、そんな受けの将棋を指しているのだと感じました。

攻めるときには勢いに乗って攻めるのが一番だと言います。

堰を切ったように、奔流が岩を押し流すように。

そういうイメージで攻めを考えると、勢いに乗った攻めがどれだけ強烈かが分かります。

しかし、裏を返すと、その勢いが生じないようにしてしまえば攻めは弱くなるということですよね。

最後の投了図を見ていただくと分かりますが、後手の大山陣に全く寄りがありません。角道は遮断され、飛車は玉の尻をさらっていますが、追撃の手がありません。

それに引き換え、先手の玉は受けが効きません。

自分が勢いを得て攻めるけれど、相手には勢いをつけさせない。

受けの極意だと感服いたしました。
戦型:石田流対4筋位取り 先手:桐山清澄
後手:大山康晴
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