将棋の厚みとは何かを勉強する!有吉道夫の玉頭位取りを並べてみた。



『玉頭位取り戦法 対振飛車必勝戦法』

これは、有吉道夫先生が、1983年に著した玉頭位取りの指し方を書いた本です。この本が、今将棋界のトップ棋士が若きころに大変参考にした著書であることは知る人ぞ知る話です。


玉頭位取り戦法 対振飛車必勝戦法

有吉先生は、玉頭位取りの大家であることは、著書にも書いていることでわかります。でも実際にどんな将棋を指していたのか、やっぱり並べてみないとわかりません。

私はこの本を読みたいとは思っていますが、アマゾンで4,000円を超えている価格です。手が届きそうもありません。『情熱が薄い』そう言われてしまいそうで怖いですが、そもそも好きではあっても、玉頭位取りを実戦で指す機会はあまりなく、形的に好きだなって思っているのですが、本格的に勉強してみようとまでは思っていませんでした。

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将棋の厚みとは何か?

なぜ玉頭位取りに注目するようになったのか?

『駒得は裏切らない』ではなく『厚みは裏切らない』。厚みの正体を調べる

でも書きましたが、将棋の厚みという要素を知りたくてたまらなくなったからです。

厚みと聞いて思い浮かぶのは、矢倉です。手厚い囲いとか、手厚い一手とか言われるのは、大体金銀が盛り上がっていく形に多いです。

矢倉は好きですから何度も並べますが、いまいち厚みを活かすということが分かっていません。

別の角度から厚みを勉強してみたいと思った時、次に思い浮かんだのは玉頭位取りでした。対振り飛車に銀立ち矢倉の形の構えがいったいどれだけ振り飛車の美濃囲いに脅威を与えるか?

この視点が、厚みがどれだけ強力なのかを知る手がかりではないのかな、と思うわけです。

有吉道夫の玉頭位取りを並べてみた

というわけで前置きが長くなりましたが、有吉先生の玉頭位取りを並べてみたいと思います。さて、参考とする棋譜は、1970年6月30日に行われた順位戦、先手は有吉道夫、後手は花村元司です。

資料図までの手順は、下記となります。

▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △4四歩 ▲4八銀 △3二銀 ▲5八金右 △4三銀 ▲6八玉 △5四歩
▲7八玉 △5二飛 ▲5六歩 △6二玉 ▲9六歩 △7二玉 ▲6八銀 △8二玉 ▲5七銀右 △7二銀
▲7五歩

典型的な中飛車対玉頭位取りの出だしです。後手は端歩を突かない点が少し違うかもしれません。

先手の▲75歩を初めて見る人は、なんとも不思議な手であると思うかもしれません。なんせ、序盤早々、玉の前の歩を伸ばすのですから、違和感を感じないわけがないんです。

この歩をどうしてこんなに早い段階で伸ばす必要があるのか?『要衝占拠』これに尽きると思います。後手に△74歩と突かれたあとでは、伸ばせませんから。

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おとなしく飛車をひく

 △4二金 ▲7七銀 △5五歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲5六歩

後手は、先手の▲77銀で角筋が止まったことから、△55歩から飛車先の歩交換をします。先手は素直に▲56歩と受けましたが、横っ飛びに△75飛車と歩をかすめ取られてしまう手が心配になります。

結局後手は、75歩を取らずに飛車をおとなしく引きました。取るとどうなのか?▲97角と出られて、飛車が逃げると、△42金を取られてしまいます。

細かいところですが、▲97角と出られるように、▲96歩と突いておくことが重要ですね。

玉頭の盛り上がり

△5二飛 ▲6六歩 △5四銀 ▲6七金 △6四歩 ▲7六銀 △5三金 ▲8六歩

先手は、どんどん歩を盛り上げていきます。その後ろに金銀を敷き詰めて、強力な厚みを作り出そうとしていますが、後手も△54銀と出た形は好形ですね。ここから△53金は、高美濃囲いを堅固にする狙いだと思います。

中でも印象に残る手は、最後の▲86歩です。この歩が、先手の駒組の中ではもっと後まわしになるのかなって思っていたのですが、この段階で突くとは思いませんでした。

玉頭位取りの完成

 △9四歩 ▲8五歩 △6三銀左 ▲7七角 △5四金 ▲8八玉 △3三角 ▲7八金

なおも、先手が▲85歩を急いだのは、もしかしたら後手の銀冠を防いだ意味が大きいのかもしれません。後手が銀冠にしたからと言って、玉頭位取りにとっては、あまり大差ないように思っていたのですが、7筋と8筋の大きな位は、後手陣に与える圧力をものすごく感じます。

この▲78金までの手で先手の陣形は美しく玉頭位取りが完成となりました。先手は、飛車先の歩も伸ばしきっていません。

全てを玉頭方面に投資した感じです。

問題はここからです。ここまで組めたらしめたものって言われますが、ここからどう攻めるのか、よく分かっていない自分がいます。

続きは次回に。チャオ!

 

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