組み上がったら既に攻めの理想形。玉頭位取りの圧倒的な勝ち方



玉頭位取りは組み上がった時点で攻めの理想形

『・玉頭位取りの戦い方を学んで厚みを活かして勝つ!』からの続きです。前回までの局面を再度掲載します。

先手が▲84歩と突いた局面ですが、この局面を見れば見るほど、せき止められた大水が奔流となって流れ出す瞬間を想起させます。たった一手▲84歩と突きだすだけで攻めになるということは、玉頭位取りは、組み上がった時点ですでに攻めの理想形になっているということですよね。

△同 歩 ▲7四歩 △6三歩 ▲6五歩 △5三銀 ▲7三歩成 △同 銀 ▲4六歩

玉頭に突き出された歩を放っておけないので後手の同歩は当然です。この後、▲74歩も突いていくのですが、後手はこの歩を取らずに△63歩と受けました。普通なら△74同歩と取るのが自然ですが、どうして取らないのかが不思議です。▲65歩から銀を追い払い、▲73歩成として、美濃囲いを形を乱します。

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逆モーションの攻め

こうしておいて、逆モーションの▲46歩。美濃囲いを崩しておいて、右辺で角を働かせようとするのです。玉頭方面で崩すだけ崩しておいて、持ち駒を増やしに右辺をいじる。そんな感じです。

△7五歩 ▲4五歩 △3四金 ▲4六角 △7二玉 ▲8七銀

後手は△75歩から、先手の角が▲46角と出てきたときに備えて、7筋をおさめにいきます。しかし先手は構わず▲45歩と金取りに歩を突きだします。銀を逃げない先手の手に勢いを感じます。『銀の一枚くらいまったく痛くありません』そんな声が聞こえてきます。

後手は、金を逃げましたが、銀を取るよりも、金一枚を先手に渡すことがマイナスだと思ったからだと思います。確かに、玉頭の勢いを考えると、後手には使う場所があまり見当たりませんが、先手には攻め筋がたくさんあります。

最強の角出。玉を睨む絶好の角

▲46角と出た手は最強の一手だと思います。この攻めの一手が勝負の決め手だったのではないかと思いました。後手はたまらず角の睨みを避けて玉を寄りました。先手もそれを見て、▲87銀と引きました。

後手を引かされた感じの銀を引いた局面を見てもらうと、先手の玉が銀冠の堅陣におさまっていることと、飛車角が存分に働いていることが分かると思います。

持ち駒の勘定では、一歩損です。手番は後手です。何もいいところがないようですが、駒の効率で言うと段違いに先手です。

これこそが玉頭位取りの本領なんだと思います。

 

△2六歩 ▲2五歩 △5一角 ▲3五歩 △2五金 ▲同 桂 △同 飛 ▲7四歩

後手はとにかく飛車と角を働かせなくてはいけません。なので△26歩から強引に飛車を働かせにいきます。金を桂馬と交換してでも飛車先を突破する捨て身の特攻です。

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先手にとってやっぱり玉頭が主戦場

先手は、▲74歩と玉頭を反撃します。先手は右辺で手に入れた手駒を玉頭方面に転用していく構えです。後手は、その攻めをしのぎつつ飛車先を突破しようとしてきます。そのせめぎ合いです。

 

△8二銀 ▲4四歩 △同 銀 ▲7五銀 △5五歩 ▲4五歩 △3五銀 ▲5五角

角の睨みがあるので銀で歩を取ることができず銀を引くしかありません。▲44歩と突いた手は、と金づくりを見せて、同銀と取らせることで、玉から守り駒を遠ざけた手です。敵の銀をそっぽに行かせておいて、▲75銀と玉頭方面に進軍させます。

この手は、▲83歩が厳しいです。これを角の睨みが効いているので、同銀とはできません。なので同玉ととることになると思いますが、▲84銀と王手で銀を捨てます。同玉だと▲82角成と銀を取られて馬を作られます。

ただ一手▲75銀と出ただけなのに、すでに玉が危険になっています。遅そうでいて速いというのが玉頭位取りの攻めの呼吸です。後手は何とかして角筋を止めようとします。

ここでは急所の駒は角になっています。

睨み倒し!最強の勝ち方

△54歩とされて先手は角を引きます。おとなしく引いたように見えます。一気に角を切って寄せにいくのかなって思っていたのですが、じっと引く。この辺の呼吸が分からないところです。

後手はこの瞬間攻めに転じて飛車の活用を図ってきます。先手は、▲44歩からと金づくりを見せて、後手の角を封じます。

次に▲76金と金を手厚く盛り上げつつ、飛車の活用を図ります。後手が飛車を横に使おうとしているのに対し、先手は縦に飛車を使おうとするところが対照的です。

6筋の歩を突き捨てて▲57角と飛車先を通した手がゆっくりしているようで速い手です。先手の▲64銀を見て後手は投了しました。

投了には早いのでは?って思うところもありますが、先手の攻めが強すぎて防ぎきれないと思ったからだと思います。まさに睨み倒しからの理想的な勝ち方ですね。

投了図以下を考えてみると、▲63銀成と一回王手をして、△83玉と逃げると▲73成銀と王手をかけて、何でとっても▲61飛車成で金を取りつつ龍を作って後手は持たないと思います。

▲63成銀に対して△71玉と逃げると▲62歩から攻めて寄りです。

△5四歩 ▲6六角 △2七歩成 ▲6八飛 △3七と ▲4四歩 △4二歩 ▲7六金 △2九飛成 ▲6四歩 △同 歩 ▲5七角 △7七歩 ▲同 桂 △4四銀 ▲6四銀 △投了
まで131手で先手の勝ち

 

追伸

3回に渡って有吉道夫先生の玉頭位取りを並べてきました。玉頭位取りの理想的な一局と言えると思います。並べてみて玉頭位取りを指してみたいと心の底から思いました。

ある一定の局面まで組み上げることができれば、居飛車対振り飛車の典型的な、横からの攻め合い競争の展開とは全く異なる絵図が描けます。

居飛車党得意の縦の攻めです。玉頭は即急所ですから、速度計算は通常のそれとは一味も二味も違います。

もっと勉強したいと思います。

一緒に玉頭位取りを学んでいきましょう!

あなたの将棋ライフが楽しく実りあるものでありますように!(*^_^*)!

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