厚みを活かして勝ちたい!私が玉頭位取りを並べる理由。



玉頭位取りを並べる理由

有吉道夫先生の棋譜を並べています。なぜ有吉先生の棋譜なのか?それは玉頭位取りの大家であるからです。なぜ玉頭位取りなのか?それは将棋の厚みとな何たるかを知るのに一番良い戦法だと思うからです。

厚みについての興味については『『駒得は裏切らない』ではなく『厚みは裏切らない』。厚みの正体を調べる』で書きました。

玉頭位取りが厚みの将棋であるのかどうかについては、これは異論はないのではないかと思います。見るからに手厚いですから。

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今は指す人がいないから新しい戦法

さて、棋譜は1968年5月に行われた順位戦からの取材です。対局相手は、大友昇先生。もう生まれる前の棋譜です。古い棋譜ですが、学ぶことは多いです。

将棋って不思議だなって思うのは、その棋譜自体は、古い棋譜なのに、並べてみると、新鮮な気がするんです。これって、棋譜自体が持っている魅力だと思うんです。

特に玉頭位取りの将棋なんて、今指す棋士いないです。と言うことは、逆の見方をすれば、めちゃくちゃ新しいってことなのかもしれません。これから流行るかもしれないですから。

 

玉頭位取りvs四間飛車

玉頭位取りの将棋の出だしを見るといつも思うことですが、対振り飛車用の矢倉という印象があります。

通常の矢倉囲いは、どうしても相手の飛車が正面にいます。なので玉頭に手厚くする必要があるので、金の位置は玉の真横にいてもらわないと困ります。しかし対振り飛車では、その金の位置が微妙に変わります。

玉頭位取りにおいて、玉側の金の位置は、とても大事な要素の一つかなって思います。

局面までの手順は、次のとおりです。先手の大友先生は四間飛車、後手の有吉先生は玉頭位取りです。

▲7六歩 △8四歩 ▲7八銀 △3四歩 ▲6六歩 △6二銀 ▲6八飛 △4二玉 ▲4八玉 △3二玉
▲3八玉 △1四歩 ▲1六歩 △5四歩 ▲2八玉 △4二銀 ▲3八銀 △5二金右 ▲7七角 △3三銀
▲6七銀 △3五歩

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銀冠の余地を残す

▲4六歩 △5三銀 ▲5六銀 △3四銀 ▲2六歩 △4二金直 ▲5八金左 △7四歩

先手は、後手の△35歩を見て、高美濃囲いの余地を残しておかないと進展性を封じられてしまいます。なので▲46歩と▲26歩です。この歩を突いておくことで、将来、銀冠に組む余地が残ります。

裏を返すと後手の△35歩にはこれだけの対応を先手にさせる力があります。

注目すべき後手の金は、△42金直としました。この金は、△32金となる場合もあります。この違いは微妙ですが、先手が急戦を挑んでくる可能性がある場合、一手早く囲いが完成するメリットがあります。

後手一歩を持つ

▲6七金 △8五歩 ▲4七銀左 △4四歩 ▲2七銀 △4五歩 ▲同 歩 △同 銀 ▲4六歩 △3四銀

先手は金を開いて構えました。この手は、▲56銀を▲47銀左と守りに引き付けようという意図があります。玉の守りは金銀3枚と言われますが、その意味では、金が2枚でなくてはならないわけではありません。

後手は4筋の歩を交換しようと動いてきます。この4筋の歩交換を防ぐための▲56銀であったと思っていたのですが、先手はあっさりと歩交換を許しました。この歩交換、何気ないようでいて、重要な一手だと思います。

手厚い玉頭位取りの完成

▲3八飛 △4四銀 ▲8八飛 △6四歩 ▲3八金 △9四歩 ▲9六歩 △4三金右 ▲5六歩 △2四歩

先手は38飛車と袖飛車に構えて3筋の位奪還を企図してきます。しかし、△44銀がぴったりです。この2枚銀が実現できるのも4筋の歩交換の効果です。

先手は飛車の使い方に困ってしまいますね。飛車を振り戻し銀冠に構えましたが、何となく指す手がなくなってきた感じがします。

それに引き換え後手は△24歩と突いて、玉頭の厚みがどんどん増えていきます。

いよいよ先端を開く

▲6八飛 △3三角 ▲5七金 △7五歩

先手は手待ちを繰り返していますが、後手は△33角とした後、どうするか?ここで考えられるのは、玉をもっと深く囲うという方向性です。△22玉から△32金と寄れば姿がもっと美しい囲いになります。相居飛車で現れる矢倉と違いがありません。

個人的にはこの方が好きなのですが、玉が22に寄ると、先手の角が遠く睨んでいる筋に入ってしまいます。

その場合先手も▲65歩から角筋を開く手が将来の勝負手となりそうです。

後手は、△75歩と突きました。この手は、先手が▲57金と寄った手により、先手の角頭が薄くなったのを見越して決行したのだと思います。

取れば△76歩が飛んできます。その△76歩が打てるのも、4筋の歩交換の効果です。

いよいよ駒がぶつかり、本格的に戦が始まります。続きは次回に。

 

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