香車は飛車と同じで飛車以上。香車が主役になる玉頭位取り戦法



突き出された歩の威力

『・』からの続きです。前回までの局面を再掲載します。後手が怪しげな歩を伸ばしたところです。この△66歩、取らないとどうなるのか?そして取ったらどうなるのか?実戦で指されたら一瞬頭が真っ白になるような一手です。

▲7六飛

仮にこの歩を放置したらどうなるのか?ちょっと考えたいと思います。先手の一番指してみたい手は▲74歩だと思います。桂頭の弱点を突きたくなるところです。しかし、この瞬間△77歩の手裏剣が飛んできます。これを▲77同飛車と取ると、△65桂馬と跳ばれてしまい、飛車金の両取りがかかります。なので実戦は▲76飛車と先逃げしました。

▲66金と歩を取ったらどうなるのか?ここで▲66金と歩を取ると、4筋から玉頭方面に殺到された時、△22角の睨みの中に66金が入るため、どこかのタイミングで金取りがかかってしまうのが難点です。

一例を考えてみました。

▲66金△45歩▲74歩△46歩▲同銀△45銀直▲同桂△同桂。 この瞬間、角道が通るので金取りがかかります。

こんな玉頭戦真っ最中に金取りがかかってはたまりません。金が玉から離れて守備力が下がるのも問題です。

 

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堰を切った勢いの4筋攻め

△6五桂 ▲5八金 △4五歩 ▲同 歩 △同 桂 ▲同 桂 △同銀直 ▲4六歩 △3六銀 ▲4五桂 △同銀引 ▲同 歩

玉頭位取りの将棋で感じるのは、玉頭戦を有利に進めるには、飛車がいる側の丁寧な指しまわしが必要だということです。後手の攻め駒の銀は玉の周りにいるので、攻めに活用できるのは右の桂馬だけです。

この桂馬を65桂馬と跳ねた時、先手は▲66金とできないのがつらいところです。▲66金とすると銀の弱点を突かれて△57桂成とされてしまいます。なので、先手は△65桂馬に対して▲58金と引くしかありません。悔しいところです。差△66歩を取ることもできずに、大きな拠点を作られてしまいました。

後手は、執拗に4筋から攻めていきます。やはり銀二枚で圧力が強いところとして4筋で勝負したいと思うのは当然です。4筋から桂馬を交換し銀をぶつけていきます。

先手は45桂馬打と銀取りに打ちましたが、後手はかまわずこれを銀でむしり取りました。銀桂交換の駒損ですが、勢いが違います。こうなると△35歩の拠点が大きいです。

 

端玉には端歩

△6七歩成 ▲同 金 △9九角成 ▲7七桂 △3六桂 ▲1八玉 △1五歩

後手は△67歩成から角を成りこみます。香車を取りつつ馬を作りました。銀桂交換の駒損になったと話しましたが、銀と、桂馬と香車の二枚換えになるので、逆に駒得しています。馬も作れた分だけ相当に有利です。

玉頭位取りの凄さは、桂馬と香車の使い所がふんだんにあるところです。先手は馬を引かれると大変なので、▲77桂馬と馬道を塞ぎます。

後手は、露骨に△36桂馬の王手です。さっそく有効な桂馬の使い場所です。このいきなりの王手が効くところが凄いところです。

先手玉は▲37玉と逃げたくなります。この逃げ道は桂馬の死角に入るので一見安全に見えるところです。しかし、玉頭位取りの圧力が強い部分に近づくので危険と端に逃げます。

 

”端玉には端歩”と格言とおりの端歩突きです。

 

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香車の二段打ち

▲4四歩 △同 金 ▲7四歩 △7七桂成 ▲4二角成 △同 玉 ▲6六飛 △6七成桂 ▲6二飛成 △5二桂 ▲1五歩 △1二香

先手は、飛車を遮二無二成りこんで勝負をかけます。手始めに▲44歩と突いて、金の連結を崩します。その後▲74歩と角道を通しました。この角が遊んでいては勝てません。後手は△77桂成と駒を蓄えます。先手はこの瞬間角を切り、後手の守りの要の金をはがします。

そして桂馬も金も見捨てて、▲66飛車から▲62飛車成と飛車を成りこみました。大きな駒損の見返りに龍を作った先手です。

後手はしっかり△52桂馬と守ります。

先手はひとまず▲15歩と端歩を取りました。対して後手の12香打ちがかっこいい手です。香車を使うという展開は、玉頭位取りではけっこう現れます。香車は、持ち駒として使う場所が意外と地味な場合が多いです。華々しく攻めの主役となることはめったにありません。玉頭位取りにおいては、この香車が直接玉を攻めるために使われるのです。

いつもは日陰にいる目立たない駒の香車。この香車がひのき舞台に立てる戦法こそ玉頭位取りです。

 

続きは次回に!チャオ

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