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うん?!55歩?これはいったい・・・
本譜に戻って、▲68飛車は桂はねを防いだ手です。そうしておいてから後手の指し手は
△55歩
これは一体・・・・・なんなんだ?っというところで前回は終わりました。
一応、前回までの局面を再度掲載します。

この局面でなぜ55歩と指されて私はびっくり?きょとんとしました。
どうしてか?
これは、後手陣がすでに攻撃準備完了の態勢であり、これ以上玉を固める手は指しませんよって意味に感じたからです。えッ、もう準備完了?もっと固めないの?って思いました。
低い穴熊。急戦仕様?
後手の穴熊は、まだ右金がくっついていません。銀も攻めに参加するのか、守りに参加するのか、まだ、何も動きをしめしていません。
これまでの私の常識で考えると、まず22銀と玉を穴に埋めればひとまず安心という感じで、あとは固められるだけ固めて、おもむろに攻めていくのが穴熊のセオリーと思っていました。
つまりは、低い穴熊、休戦仕様の穴熊ということなのです。厚みがない分、桂馬や端歩の圧力があまり感じれれず、主役の角が働く前に、いわば攻撃陣が整う前に、攻めてしまおう、という狙いです。
▲55同歩の変化はどうなる?
仮にこの△55歩を▲同歩と取ったらどうなるのか?
自分なりに変化を考えてみました。
▲同歩以下:△86歩▲同歩△同角▲88飛車△85歩▲66角△65桂▲48銀△64角
で次の△46角出を見て、歩を手に入れたら、△56歩を実現すれば、後手がよくなる感じがします。
三間飛車の受けの形。ちょっと珍しい。
脇道にそれましたが、本譜に戻ります。ちょっと余りにもびっくりしたので、1手進めた画像を用意しました。
▲6七飛
です。

いかがですか?すごくびっくりする形ではないですか?後手の飛車の侵入を防ぐには、何か頼りない感じがしませんか?
実際に飛車先を後手が攻めます。
△8六歩 ▲同 歩 △5六歩 ▲同 銀 △8六角▲6六角 △9五角

△86歩から5筋の取りこみも効かせて角が飛び出してきます。この角による飛車先の歩交換に対し、66角と先手が角の交換を避けました。そこで95角が、のちの角ぶつけも見た一手。飛車先が素通しで桂馬を取りながらダイレクトに成られてしまいます。
ここで単に守らない職人技。一瞬の利かしが巧妙。
先手は87歩の一手と見ていると、・・・・
▲1四歩 △同 歩 ▲1三歩 △同 香▲8七歩
端に味を付けておいてから、87歩と受けました。こういう一瞬の利かしが中田七段の職人技のような感じがします。

緩急自在の攻めの呼吸
この手を見て、先手が歩切れとなり、逆に後手は持ち歩が増えたこともあり、後手はギアを落としてゆっくり攻めるような感じがあります。
△8八歩 ▲2五桂 △8九歩成 ▲4五銀

「4枚の攻めは切れない」急所に集中する圧力。
先手は駒損なので少しでも攻めの糸口を探ります。桂馬を跳ねて、後手玉頭に圧力をかけて、▲45銀と出た形は、▲66角の睨みも効いて迫力があります。
実際に駒の効きが急所に集まってくると、私は焦ります。この局面を後手の側から見ていても、穴熊が金銀2枚での備えで、端の香車は桂馬にロックオンされています。
よく「4枚の攻めは切れない」と言われますが、先手の攻めゴマを数えてみますと、66角、45銀、25桂、19香、と4枚あります。45銀が他の駒とくらべてすこし遠い感じがしますが、これが間に合うと、受けが難しくなるのではないか、と心配していました。
次手、なるほどって思った手が出現します。
続きは次回に。チャオ。
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