藤井聡太五段、三間飛車退治。攻めの手番を渡さない勝負術。後編



「4枚の攻めは切れない」急所に集中する圧力にどう対応するか。

前回の記事は、先手三間飛車の攻め駒が、後手藤井陣の穴熊の玉頭に集中してきていて、「4枚の攻めは切れない」と言われる状況になりつつある、というところで終えました。

私が後手の立場なら、攻め合いの競争になれば負けてしまうのではないか、と不安や焦りを覚えてしまいます。対して、藤井五段はどのように対応するのか、そこが注目していたところです。

前局面を再掲載します。

先手の攻めゴマをあらためて数えてみますと、66角、45銀、25桂、19香、と4枚あります。45銀が他の駒とくらべてすこし遠い感じがしますが、これが間に合うと、受けが難しくなるのではないか、と、見ていますと・・・

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敵の攻めゴマを盤上から消す!

△66角です。

攻め駒の根元である、角を盤上から消してしまおうという手です。こうすることで、攻めゴマを相手の4枚から3枚に減らすことに繋がり、攻めの継続を阻止するという手でした。

これは手抜けません。ちょうど先手玉が角のラインに入っているので、このまま放置して▲45銀と出ると、△66角▲同飛車△84角で王手飛車が厳しいです。

△同 飛 ▲6四歩

この局面を図で乗せたのは、実は、最も印象的になったのがここからの展開だったからです。結論からいいますと、ここから藤井五段の攻めが止まりません。ほとんど藤井五段の攻めの手番で終わったと言ってもかいいと思います。この歩、普通取りませんか?

・・・

とらないんです!

・・・

爆発する攻め。王手飛車がかかる!

△5五桂 ▲3七飛 △5七歩▲同 飛 △6六角

55桂が非常に大きな一手だったと思います。この桂馬は、先手が先に66に角を打った後では、打てません。64歩の突き捨てが入らないとすれば、先手は66角を打っておかなくてはならなかったのではないか、というのが私の考えです。

△55桂に対し、先手は飛車を37に逃がしますが、△57歩がまさしく手裏剣のような手でした。これ、飛車以外でとると、△87飛車成りが受かりません。87歩を支えているのは飛車の横効きしかないので、先手はやむを得ず▲57同飛車と指した感じでした。

この局面まで来て、やっと後手の狙いが見えてくるかと思います。私も皆さんも打ちたくなるのが、王手飛車です。待望の△66角打ち。

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66角は天王山?!盤上で働く角、駒台で遊ぶ角。

この△66角を見ると、先手も後手もこの地点に角を打つのが急所だったのではないかと思えてきます。まさしく羽柴秀吉と明智光秀が戦った山崎の合戦に見る天下分け目の天王山です。そう考えるとなおさら不思議なのは、なぜ先手が66角と打たずに64歩と突いたのか、です。

▲4八角 △5七角成 ▲同 金 △8七飛成

先手は▲48角と守りに打たざるを得なかったところ、後手は、飛車を取って、勇躍△87飛車成りを実現します。

この局面で、先手の攻めゴマを数えてみると、45銀と25桂馬と19香車の3枚です。66角が盤上から消えたので1枚減ということになるでしょうか。

この時に思うのですが、よく持ち駒の方が、盤上にある駒よりも働きが上という考えがあると思います。しかし時と場合によるな~って思うのがこんな局面を目にした時です。

先手は66角として盤上に合ったらどれだけ有効に働いてくれていたか?駒台で角が遊んでいるように見えてしまうのは私だけでしょうか?

自分が自陣角が好きなのは、こういうふうに思ってしまうことも理由かも、って思います

逆に後手の攻めゴマを数えてみます。87竜、55桂。この2枚ですね。パッと見える駒は。しかし、潜在的な攻めゴマとして、持ち駒の飛車と、73の桂馬があります。

このバランスがどのように変化していくのでしょうか。

続きは次回の記事で。

チャオ。

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