振り飛車は待ちの戦法
振り飛車の最低限の守備陣形について『将棋の初心者が振り飛車を指すなら最低限の守備陣形を覚えるべき!』で書きました。
最低限の守備陣形ができたらあとは好きなように攻めればいいのです。やがて逆転負けをするようになると、もっと守備力を強化したいという欲求に駆られます。
居飛車の時にも書きましたが、攻めるだけ攻めて逆転負けを喰らううちに守備力の強化を考えた方が、身になると思います。
ただ、振り飛車の場合、ちょっと考えが居飛車とは違うところがあります。
というのは、居飛車は自分から攻めていくことが多いのですが、振り飛車は相手からの攻めを待つことが多いのです。
石田流のように急戦振り飛車を採用する場合は別ですが、ほとんどの振り飛車は、持久戦を最初から思考していると言っても過言ではありません。
振り飛車の守備力強化の方法
振り飛車は飛車を好きな筋に振ったあと、王様を囲いに行きます。囲いに行かない戦法も中にはありますが、ほとんどの場合囲うのが自然です。
下図を基本図として、ここから囲いへの移行について書きたいと思います。
≪基本図≫

『将棋の初心者が振り飛車を指すなら最低限の守備陣形を覚えるべき!』の記事でも書きましたが、この基本図の形は、進展性があります。
ここから手をかければかけるほど、どんどん堅くなっていきますから、振り飛車としては、囲わないのは損です。
振り飛車:早囲い
基本図から一手銀を上がった囲いが早囲いです。

この囲いは、横から攻められた時に、いきなり王手にならないという点がメリットです。次に紹介する美濃囲いよりも1手早く囲うことができるため、超急戦の将棋に威力を発揮します。
しかし、よほどのことがない限り、居飛車も超急戦を挑んでこないので、こんな囲いがあるということを知っているだけで十分だと思います。
振り飛車:美濃囲い
振り飛車の本筋の囲いが、下図の美濃囲いです。

金銀二枚ですが、かなり守備力は堅いです。この形に玉を囲っておけば、ひとまず安心です。
この囲いができるまでに、5手かかっていますが、わずか5手とは思えないくらいの守備力を誇ります。
端歩を突いていますが、この端歩は突けるなら突いた方が良いです。
どんなに堅固な城でも、名将と呼ばれる人は必ず逃げ道を用意しておいたと言われます。この端歩を一手突いただけで、上部に王様が逃げ出す道を開いています。
振り飛車:金銀3枚の美濃囲い
先ほどの金銀2枚の美濃囲いに、金が一枚加わった美濃囲いです。これはさらに堅いです。
歩を一つ突いている(4六歩)のは、王様を角で睨まれるのを緩和した手です。
美濃囲いの弱点を防いだ歩ですが、美濃囲いの更なる強化を目指す手でもあります。
この金銀3枚で囲った美濃囲いが振り飛車の王道の囲いです。
玉の守りは金銀3枚と言われますが、先ほどの金銀2枚の美濃囲いよりも数段守備力が上がっています。
この形を見ていただくと分かりますが、横から飛車で攻められることを想定しています。
相手が居飛車なので上から攻められることはあまりありません。ほとんどが飛車による横からの攻めですから王様への進撃路を塞ぐように金銀を構えています。
まとめ
対居飛車における振り飛車の考え方は、居飛車よりも強力な守備陣形を布いておき、飛車でお互いを攻め合う将棋に持ち込むことです。
そうすれば最後は美濃囲いの堅さが活きて勝つことができるという考えです。
飛車による攻めにどっちの守備が堅いかを競う将棋と言い換えてもいいかもしれません。
居飛車が振り飛車よりも強力な守備陣形を築いたら別ですが、振り飛車は、居飛車よりも強力な守備陣形を布いて居飛車の攻撃を待ち、倍返しの反撃をして勝負をする将棋だと言えます。
美濃囲いの堅陣が好きだから振り飛車を指しているという人もいるくらいですから。
以上、振り飛車の最低限の囲いからワンステップ進んで、美濃囲いについて書きました。
あなたの将棋ライフが楽しく実りあるものでありますように!(*^_^*)!