藤井聡太五段、三間飛車退治。攻めの手番を渡さない勝負術。感想編



金銀は外堀。外堀を埋められた後の形を想定?

一局全体を振り返って印象に残ったところをピックアップしてみます。

序盤では、この局面でしょうか。この局面の後手の布陣を見てみますと、玉を固めるために金銀を寄せるというよりは、金銀をバランスよく配置する、という印象を受け取りました。後手陣は、62の銀と51の金が連結しています。

通常は、53銀と上がることが多いですし、金は31まで寄せるのが普通ではないかと思います。しかし、この局面の51金の役割は、41角とか、41銀とか、32の金を守るために配置されている感じがします。

62銀は、51の金に紐をつけ、やがての73桂馬を浮きゴマにしないようにしています。これは、私の中にある穴熊の感覚とは全く異なるものだと感じました。

極端にいいますと、63からと金で攻められたときに、仮に”51と金”と攻め込まれたとした場合、全く穴熊に手が付いていません。と金が1段目に進んでいくので、金としての働きも弱めて行く感じに見えます。つまりは、62銀と51金は、外堀のような役目を果たしていると感じました。

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飛車先素通しなのに・・・時が止まる瞬間。

次に印象に残った局面はこの局面です。

まったく後手の飛車先が開きっぱなしであるこの瞬間を捉えての端攻め。この一瞬の刹那、という感覚が中田将棋の魅力だと思います。桂馬をダイレクトに取られてしまって飛車が成りこまれる。こんな緊急の瞬間なのに、まるで時が止まったかのようです。

それだけ端が急所中の急所ということだとも痛感しました。端に味を付けておいて、飛車先を受ける、この呼吸がなんとも言えません。

根元を盤上から消し去る巧妙な受け

次はこの局面です。

この局面は、先手が攻めゴマ4枚を実現して、端に殺到するかと思われた局面です。まるで、相手の足もとを払うかのように、△84角▲同角△同飛、と根元の角を盤上から消し去りました。

この瞬間、先手は手番を握っているのですが、ここで▲66角と打たなかったのはなぜなのか、私の棋力では測れないところですが、先手で▲66角が打てれば先手の攻めはかなり厳しかったのではないかと思います。

自分なりに、仮に先手に▲66角と打たれた場合を考えたのですが、有望と思ったのは△75歩とつく手でした。この手は、飛車取りを防ぐと同時に、遠く▲34銀を防いでいます。仮に▲同角と取られてしまっても、角筋が逸れるため攻めが遅れます。

この手順を念頭に置いて、次に紹介しますが、▲64歩と突いたのかな、と。▲64歩△同歩を効かせておけば、△75歩を突いた後の、飛車の横効きが64歩で止まり、▲34銀が実現できるという意味ではないかと思いました。

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64歩が間に合わない?!

次に思ったのは、この局面です。▲64歩と突いたところですが、これを後手は手抜きます。ここから後手の猛攻が始まります。

 

△55桂と打たれてしまい、飛車の逃げ場が横しかありません。縦に逃げると、87に飛車を成られてしまうからです。先手の飛車が37に逃げた後、△57歩が秀逸でした。

これが先手の39の玉の位置を見事に咎めています。飛車以外の駒では87に飛車を成られてしまうのが痛いところです。

やむなく同飛車と取りますが、そこで△66角の王手飛車です。この王手飛車で、飛車を取ってから、87に飛車を成る手順が実現して、後手の攻めが止まらなくなりました。あれだけ耐久力のありそうな振り飛車陣を破って竜の侵入に成功した後手の手順が見事でした。

振り返りの続きは次回の記事で。

チャオ!

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